Hondaの生産技術開発を担当する子会社、ホンダエンジニアリング(株)(社長:浜田昭雄、本社:埼玉県狭山市)は、従来の太陽電池に対し低コストな非シリコン系化合物を主要材料とする次世代型の薄膜太陽電池およびその量産化技術を独自開発した。
近年、クリーンなエネルギーとしてシリコン系太陽電池の普及が進んできているが、製造に要するエネルギーが嵩むために、トータルでのエネルギー消費を考えた場合、必ずしも環境にやさしいものとはなっていない。さらに発生電力に対する製造コストも高く、太陽電池のさらなる普及のためには一段の低コスト化(光電変換効率の向上と低コスト化の両立)が求められている。非シリコン系原料を使用した薄膜太陽電池は、こうした課題を解決するものとして注目されてきたが、これまで面内の性能均一性が悪いなどの欠点が課題となっていた。今回の次世代型薄膜太陽電池は、ホンダエンジニアリングが、そうした問題点を解決するプロセス技術を独自に開発したものである。
新型太陽電池の主な特徴は次の通り。
- ・素材に非シリコン系原料である銅-インジウム-ガリウム-セレン(CIGS)化合物薄膜を使用することで製造時過程で必要とされる消費エネルギーを、従来の結晶シリコン系太陽電池と比較して数分の1に抑えることが可能。
- ・薄膜電池としては最高レベルの光電変換効率を達成(アモルファス・シリコン系と比較して約20%UP)したことにより単位電力あたりの発電コストを一般家庭用電力料金以下とすることが可能。
ホンダエンジニアリングは、この新型太陽電池の実用化の第一ステップとして、2002年春より、静岡県細江町にあるHondaの細江船外機工場に同太陽電池の設置(年間積算発電量10万KWh)を開始する。今後は、国内外のHonda生産拠点への導入や、さらには大口需要者向けへの外販も検討していく。
種類 | 結晶シリコン | アモルファスシリコン | CIGS化合物 |
製造エネルギー | × | ◎ | ◎ |
発電コスト | △ | △ | ◎ |
変換効率 | ◎ | △ | ○ |
信頼性 | ◎ | △ | ◎ |
主な太陽電池種類