本田技研工業(株)は、ナビゲーションシステムの機能を利用して、居眠り運転等の際発生するクルマの不自然な挙動に対して警告を与え、予防安全性を高めた世界初の『ふらつき運転検知機能』とインターネット通信方式を採用し双方向のコミュニケーションを可能にした『インターナビシステム』を装備した新世代「ホンダ・ナビゲーションシステム」を開発した。また機能を充実しながら、従来のナビゲーションシステムに比べ、大幅な値下げを実現した。なお、この新技術は秋の新型車への搭載を予定している。
新世代「ホンダ・ナビゲーションシステム」の主な特長
この新世代「ホンダ・ナビゲーションシステム」は、カーナビゲーションとしての「基本快適機能の向上」に加え、「セーフティー」と「コミュニケーション」という3つのテーマに重点を置いたものである。
基本快適機能の向上
- ・6インチ ワイドディスプレイの大型LCD(液晶ディスプレイ)による見やすい画面表示
- ・スケールの異なる2つの地図を2画面で表示する3Dツインマップ表示
- ・経由地を最大5つまで設定できる経路誘導機能
- ・高速道路走行中、自車位置から高速道路の各種施設(インターチェンジ、パーキングエリア、サービスエリア、ジャンクション等)までの距離を確認できる「高速道路ガイド」機能
- ・順次サービスエリアを拡大している道路交通情報システム(VICS)への対応機能(レシーバー別売)
アクティブセーフティー
安全運転の質を高める独自のシステム、世界初「ふらつき運転検知機能」
より安全なクルマづくりのための、ASV(Advanced Safety Vehicle)の技術として研究、開発をすすめてきた「ふらつき運転検知機能」を完成させたものである。
ホンダは安全技術の確立に取り組む中、重大な交通事故につながる居眠り運転などの、注意力が散漫になる運転の要因を分析。体にセンサーをつける方法や、カメラで目線を監視する方法の研究も重ねてきた。しかしながら、人間の体そのものの状態をチェックしなくても、居眠り運転などに至る前の集中力が低下したドライバーの多くに共通して、走行軌跡に微細なふらつきのパターンがあることに着目。これを精度の高いナビゲーションの技術を応用して検知し、ドライバーに音声と画面表示で警告する世界初のホンダ独自のシステムである。
また、既存のナビゲーションセンサーを利用するシステムのため、低コストでの実現が可能になった。
ふらつき運転判定アルゴリズム
「ふらつき運転検知機能」はナビゲーションシステムのセンサーである、振動ジャイロセンサーと車速センサーの信号から走行中の軌跡を求め、その軌跡から中心基準線を予測し、横ずれ量を検出することで、クルマのふらつきを検知してドライバーに知らせるホンダ独自のシステムである。 また、走行開始時点から、ドライバーの運転パターンをチェックし続けながら、学習して警報条件を設定するため、個々のドライバーの癖による誤報を少なくするとともに、注意力の低下に対応した適切な警報を発することを可能にした。
道路の形状にあわせて基準線を求め、横ずれ量を検出する
注)ふらつき検出機能は、あくまでもクルマの挙動を検知するもので「居眠り運転」や「脇見運転」そのものを検知するものではありません。
コミュニケーション
インターネット通信方式を用いて、目的地設定など世界初の機能や家庭のパソコンと連携した情報検索などができる双方向通信『インターナビシステム』
ホンダはクルマの情報環境の未来を考え、双方向通信によって外部と情報をやりとりできるナビゲーションシステムの開発にとりくみ、その方式として、全世界に広く普及しており、もっとも汎用性が高いインターネットの通信方式を採用した「インターナビシステム」を開発した。 お客様の携帯電話と対応アダプターを接続することで、通信が可能になる。
インターネットとナビゲーションの連携を実現する技術
新世代「ホンダ・ナビゲーションシステム」ではナビゲーションのデジタルマップとの連携を実現するため、位置情報をインターネットで伝達することができるナビゲーション専用WWWブラウザと「インターナビ拡張フォーマット」を世界で初めて開発。このフォーマットに則ったインターナビ情報ページにアクセスすることにより、ドライブに役立つさまざまな情報と同時に、位置情報をナビゲーションシステムに伝達でき、経路誘導を可能にした。
インターナビシステムの特長
- 1.リアルタイムでの情報の獲得
固定メディア(CD-ROMなど)では得られない最新のデータを入手できるため、行動範囲や楽しみ方にひろがりが生まれる。、 - 2.膨大な情報量
必要な情報だけをユーザーがセレクトして、経路誘導ができる。 - 3.家庭用パソコンの利用が可能
クルマからだけではなく、家庭用パソコンからインターネットを通じてインターナビ情報ページにアクセスすることが可能。事前にドライブプランを作成してクルマに送信することができる。
また、PCカードを介して、収集した情報を車載機で読み込むこともできる。 - 4.電子メールの受信、返信(定形文)が可能
- 1)インターナビフォーマットに則った情報サービスを提供する「インターナビ情報センター」は98年よりサービスを開始する予定です。
- 2)安全のため、走行中の操作は限定されます。
- 3)携帯電話によっては、使用できないタイプもあります。