本田技研工業(株)は、ワンボックス・カーの広い空間とセダンの快適さや走行性能を合わせ 持つ新しいコンセプトの6、7人乗りで乗用車感覚の新型車「オデッセイ」を発表、10月21 日よりホンダ四輪全ディーラーから発売する。
オデッセイは、多人数で快適に移動できるための新しい空間づくりに、ホンダが培ってきた高 性能セダンづくりの技術を活かし、ワンボックス・カーのスペース・ユーティリティとセダンの 爽快な走りや快適な乗り心地、安全性能を高次元で両立。 個々のライフスタイルを大切にしたクルマ選びを志向する方たちの幅広いニーズに応える商品とした。
具体的な開発目標と商品特長は、
- ・どの座席でも全員が楽しくコミュニケートできる、空間の使いやすさと快適性。
○ 日常の使い勝手に優れた低全高(1,645mm)にゆとりの室内高(1,200mm)を確保したうえで、センターウォークスルーやフラットフロアなどを可能にした広い居住空間。
○ 多彩なシートアレンジメントの6人乗り(キャプテンシート)と、7人乗り(ベンチシート)の2タイプ。
○ 乗降性に優れたセダンタイプの4枚ドアと低いフロア。 - ・セダンと同等の、爽快な走りと快適な乗り心地。
○ 高出力・高トルクの2.2lSOHC16バルブエンジン。しかも静粛性に優れたフロントエンジン・レイアウト。
○ 広い室内空間を持ちながらセダンと同等の乗り心地とハンドリングを実現した、新開発リア・インホイール形式ダブルウイッシュボーン・サスペンション。 - ・乗員すべてをしっかり守る、ハイレベルの安全性能。
○ 世界レベルの安全性を実現した全方位安全設計ボディ。
オデッセイの主な商品内容
居住性と空間機能性および各種装備
乗用車と同じフロントエンジン・レイアウトにより床を低くすることで、ワンボックス・カーのようなゆとりの空間を確保し、シートを3列配置。また、6人乗りと7人乗りの2つのシートタイプを設定した。
- ・センターウォークスルー
床をフラットにしてセンターウォークスルーを設けることで、ドライバーを孤立させることなくスムーズな座席間移動を可能にした。 - ・シアターフロア
シートを高めに設置したハイ・アイポイント設計に加え、後列にいくほどヒップポイントとフロアを少しずつ高くしたシアターフロア設計により、ワイドなグラスエリアとあいまって全座席からの良好な視界を確保している。 - ・セダンタイプの4枚ドア
低床に加えてセダンタイプの4枚ドアを採用することで、小さな子供やお年寄りでも楽に乗り降りできるようにした。 - ・ハイレベルな静粛性
一般のワンボックス・カーに見られる床下エンジン・レイアウトに対し、エンジンからの透過音や振動の遮断という面で優位性を持つフロントエンジン・レイアウトを活かしたうえで、細部にわたる徹底した騒音対策を実施。3列共にセダンに匹敵するハイレベルな静粛性を実現。 - ・シートアレンジメント
2列めのシートにキャプテンシート(6人乗り)とベンチシート(7人乗り)を設定。2つのタイプとも、それぞれ人数や目的に合わせてフレキシブルに対応できるよう、多彩なシートアレンジメントやカーゴスペースの活用を可能にしている。 - ・収納スペース
6名分のカップホルダーやインパネまわりの各種ボックスをはじめ、室内最後部にいたるまで、さまざまな収納スペースを豊富に設置。 - ・デュアル・エアコン
1列目から3列目まで快適温度が得られるよう、フロント・エアコンとリア・エアコンを組み合わせたデュアル・エアコンディショナーをSタイプ、Lタイプに装備(Bタイプはフロントのみディーラーオプション)。 - ・熱線吸収グリーンガラス
強い日差しでも熱線吸収効果が高く、紫外線カットにも有効なグリーンガラスを採用。Lタイプには、熱線吸収効果がさらに高いガラスをフロントウインドウ、フロントドア、テールゲートに採用し、それ以外にはプライバシー保護にも役立つより濃い色のガラスを採用した。 - ・キーレスエントリーシステム
フロントドア、リアドア、テールゲートのすべてが、車両の両サイドおよび後方の広範囲から同時に施錠・開錠できる、キーレスエントリーシステムを装備(Lタイプ)。 - ・新ホンダナビゲーションシステム
これまでにも研究を重ねながら積極的に採用してきたホンダの先進情報機能、ナビゲーションシステムをさらに進化させ、いっそう高機能で低価格を実現した新開発ホンダナビゲーションシステムとして採用。Sタイプ、Lタイプにメーカーオプション設定した。
主な特長は下記の通り。
○ 専用マイクロコンピュータ32ビット25MzのRISCチップや2倍速のCD-ROMドライブにより、さまざまな情報を高速処理。
○ 6インチの大型LCD(液晶ディスプレイ)の見やすい画面表示。
○ 目的地までの的確かつ、わかりやすい経路誘導機能。
○ 推奨ルート以外を走行した時に、自動的に推奨ルートを設定するオートリルート機能。
○ 右左折や高速道路への進入を事前に案内する音声ガイド機能。
○ 地名やレジャー施設、交通施設など、13万件にもおよび充実したデータベース。
○ 自立航法とGPSの組み合わせにより、トンネルやビルの谷間などでも正確な自車位置の確認が可能。
そのほかにも、交差点拡大表示やナビ研ソフト対応も可能にするなど、実用性が高く、多彩な付加機能を搭載。そのうえ低価格を実現している。
エクステリア
低床・低全高で安定感があり、使い勝手の良さや走りの良さを感じさせる、新鮮なスタイ リング。市街地でも高速道路でも、レジャーからビジネスまであらゆるシーンに似合う、 知性的でアクティブなイメージに仕立て上げた。
- ・低床・低全高スタイリング
セダンと同レベルの乗降性や運転感覚が得られる、低床・低全高スタイリングとした。そのうえで広い居住空間や優れた機能性を確保している。 - ・空力フォルム
前面投影面積が小さく空気抵抗を低減させたうえで、ボディ全体を気流がスムーズに流れるフォルムにし、細部にわたって空力を考慮した形状にするなど、トータルで高い空力特性を獲得。
高速直進性を確保しながら燃費性能も向上。 - ・フロントコーナーラウンドデザイン
フロントのオーバーハングを短く設定してコーナーに丸みを持たせることで、実用最小回転半径を小さくし、ロングホイールベースでありながらも良好な取り回しを確保した。
エンジン
2.2l SOHC16バルブエンジン+PGM-FIを搭載し、ドライバーズ・カーとしての爽快な走りとともにセダンと同等のクリーン&エコノミーを実現。ハイレベルな静粛性も獲得している。
- ・高出力・高トルク
吸排気のバルブタイミングを最適設定し、大径デュアルエキゾーストマニホールドを採用することで高出力・高トルクを獲得。さらに、乗車人員や荷物の重量増に対応するために、トルクの発生するタイミングを最適化することで、発進時などでセダン並みのレスポンスを達成した。 - ・クリーン&エコノミー
大型排気コンバータを採用し、より高い排気ガス浄化性能を確保。またこれにより、PGM-FIのECUをエコノミー側にセッティングでき、10・15モード走行燃料消費率10.2km/l※(運輸省審査値)を達成するなど、良好な燃費を獲得している。
※ FF車で、車両重量が1,510kg以下の場合の値です。
トランスミッション
より人間の感覚に近いシフトフィーリングを実現する電子制御4速オートマチック、 プロスマテック(タイプII)に、専用チューニングを加え採用。またセレクトレバーをコラム式とした。
- ・登坂性能
登坂路におけるファジー制御の適用範囲を、従来までの3速-4速から、2速領域まで拡大。変速ポイントを連続的に変化させ、勾配に応じた最適なシフトを選択し、大勢が乗車した場合でも、よりスムーズでパワフルな走行を可能にする。 - ・降坂・市街地走行性能
降坂路では車速やブレーキ操作などから3速、さらに2速までシフトダウンし、軽いエンジンブレーキ効果を発揮。また市街地走行でも50km/h以上からの減速時に3速へ早めにシフトダウンし、ストレスのない再加速を可能にする。
サスペンション
しっかりとした操縦安定性としなやかな乗り心地の高度な両立で定評の、4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。フロントサスペンションはオデッセイ専用に熟成し、リアには新たにインホイール形式のサスペンションを開発し採用。セダンレベルの心地よさを獲得した。
- ・新開発リア・インホイールサスペンション
リアには3列目シートの居住性など空間効率を高めるために、コンパクトなインホイール形式のサスペンションを新開発。しかも、ダンピング性能やサスペンション横剛性を高めるなど、乗り心地や安定性を向上。 - ・乗り心地向上
HPV(ホンダ・プログレッシブ・バルブ)ダンパーの採用によりダンピング性能を高め、レーンチェンジ時などの揺り戻しの減少を図るなど、きわめて上質な乗り心地を実現。同時に、ロールの低減や安定感も確保している。
ボディ
- ・高剛性ボディ
基礎となるアンダーフレームを、大型断面の骨格を縦横に配したラダーフレーム構造とすることで、剛性を高めながらフラットフロアなどを可能にした。また、各構造体の断面形状やサイズを適正化するとともに適所に補強材を採用するなど、ボディ全体で高剛性化を図った。 - ・低重心・ロングホイールベース
セダン同様のシャシーレイアウトで低重心化を図るとともにロングホイールベースとし、サスペンション性能などとあいまって、ソフトでありながらフラットな乗り心地や優れた直進安定性を実現。また、“ゆさゆさ感”のない高いコーナリング安定性も獲得。
4WD
ホンダ独自のデュアルポンプシステムの導入により、4WDの頼もしい走りとFFの軽快な走行性能を両立した、先進のリアルタイム4WDを採用。
- ・軽快感&良好な燃費
2つのオイルポンプと多板クラッチを組み合わせたこのシステムは、全油圧制御によるシンプル化とリアディファレンシャルとの一体化により、軽量・コンパクト化を達成。4WDを感じさせないほどの軽快感とともに良好な燃費も実現。 - ・最適な駆動力配分
2つのオイルポンプは前・後輪それぞれの回転数と同期して作動しており、発進・加速時や滑りやすい路面で、前輪回転数が後輪回転数を上回ると油圧が発生して多板クラッチを作動させ、回転数に応じた駆動力を後輪に伝達。余分な駆動力は自動制御しながらつねに最適な駆動力配分を行う。また通常走行時は、前・後輪の回転数がほぼ同じで油圧は発生せず、FF状態で走行する。これにより雪道や登坂路などの走破性と、低い走行抵抗による軽快な走りを可能にした。 - ・伝達トルク向上
車両重量増に対する雪道や登坂路での性能確保のために、専用チューニングを実施。多板クラッチを8枚から10枚に増やすとともにリリーフ油圧をアップして、後輪への伝達トルクを向上。またオイルポンプの効率をアップして、よりスムーズな発進フィーリングを実現した。 - ・低騒音・低振動
4WD車でも高い静粛性を確保するために、FF車の振動・騒音対策に加え、専用の対策を施した。5mmオフセットのハイポイドギアを採用し、トランスファーのギア音を低減。リアデフはダブルフローティングによる2重振動遮断構造とし、4WD車特有の駆動系のこもり音や振動を低減している。
安全性能
ホンダの安全思想に基づき、乗る人すべてに同等な、すなわち3列平等な全方位安全対策を実施。高水準な衝突安全に対応し、国内はもとよりアメリカやヨーロッパの乗用車安全基準も考慮した、世界レベルの安全性を実現。そのうえで、安全視界の確保や先進の安全装備の設定を施した。
- ・全方位安全対策
大型断面のストレートフレーム構造と、前後からの衝突エネルギーを分散させてスムーズに吸収する高効率クラッシャブル構造により、高強度・高剛性な全方位安全設計ボディを実現。1994年から設けられた国内向け国産乗用車に適用される「正面衝突時における乗員保護性能基準」を当然ながらクリアしているほか、1997年より米国で販売される乗用車に適用される、アメリカ連邦新側面衝突法規にも対応。さらにオフセット衝突や後面衝突にも対応するとともにロールオーバーによる事故までも対処している。 - ・安全視界確保
対向式の広払拭大型ワイパーやフロントコーナーガラス、ドアスキンマウント大型ドアミラーの採用により、雨天時などの安全視界を確保した。
SRSエアバッグ
運転席用&助手席用SRSエアバッグシステムをSタイプ、Lタイプに設定
(メーカーオプション)。 - ・ABS
ABS(4輪アンチロックブレーキシステム)をSタイプ、Lタイプに設定
(メーカーオプション)。 - ・コーナーセンサー&バックソナー
ボディ四隅の各コーナーと後方の障害物を感知し、メーターパネル内の表示灯と警告ブザーで知らせる、コーナーセンサー&バックソナーをSタイプ、Lタイプに設定した
(メーカーオプション)。
環境への配慮
- ・リサイクル化を推進
(1) バンパー、タイミングベルトカバー、エアクリーナーケース、レゾネーターチャンバーなどの部品にリサイクル可能な材料を使用。
(2) 100g以上の樹脂部品すべてに識別記号による材質表示を実施し、リサイクルを容易化。
(3) 市場から回収した樹脂部品をスプラッシュシールド、フューエルパイプカバー、リアアウトレットなどに再利用。
(4) バンパーなどの樹脂部品の着脱を容易にし、解体作業を簡易化。 - ・ノンフロン化を推進
地球環境にやさしいエアコン用新冷媒HFC134a(R134a)を採用。工場での製造行程でもノンフロン化を推進。
国内販売計画台数
3,000台(月間)
希望小売価格(消費税含まず・単位千円)
- ※エンジン/最高出力:2.2l SOHC16バルブ+PMG-FI/145PS
- ※全タイプ、オートマチックトランスミッション。
- ※エアコンディショナーは、
Lタイプは、フロント・エアコン(オート)&リア・エアコン(マニュアル)、
Sタイプは、フロント・エアコン(マニュアル)&リア・エアコン(マニュアル)
を標準装備。
Bタイプは、フロント・エアコン(マニュアル)のみディーラーオプション。
タイプ | 駆動方式 | 東京 | 名古屋 | 大阪 | 福岡 | 仙台 | 札幌 |
B(7人乗りのみ) | FF | 1,795 | 1,797 | 1,799 | 1,824 | 1,811 | 1,840 |
S(6人乗り/7人乗り) | FF | 2,055 | 2,057 | 2,059 | 2,084 | 2,071 | 2,100 |
L(6人乗り/7人乗り) | FF | 2,455 | 2,457 | 2,459 | 2,484 | 2,471 | 2,500 |
注) 同タイプの6人乗り、7人乗りは同価格。
4WD車は240千円高。