本田技研工業(株)は、大幅な軽量化を軸に、ホンダの最先端技術を結集し、動力性能と運転のしやすさを高い次元で両立させた、新世代のミッドシップ・スポーツカー「NSX」を全国のベルノ店を通じ、9月14日より発売する。
このNSXは、量産車として世界初のオールアルミ・モノコックボディをはじめとして、エンジン、シャシー、足廻り、シートの構造部材に至るまでアルミ合金を多用し、大幅な軽量化を実 現している。
さらに、コンパクトな新開発3.0l V型6気筒 DOHC VTECエンジンを搭載。4 チャンネルデジタル制御アンチロックブレーキシステムや、トランクションコントロールシステム、SRSエアバッグシステムなど数々の安全、快適な装備を採用した、高い運動性能を備えた スポーツカーとなっている。
NSX技術概要
ミッドシップエンジン・リアドライブ(M・R)方式の採用
高性能スポーツカーの運動性能を極限まで追求し、理想的な重量バランスによって駆動力を余すことなく路面に伝えるとともに、すぐれたハンドリングが得られるM・R方式を採用した。
また、V型6気筒エンジンを横置にし、トランスミッションを側方配置とすることにより全長4,430mm、ホイールベース2,530mmと、ミドルサイズのスポーツカーとして適切なパッケージングとするとともに、充分な居住空間を得ている。前後重量配分もM・R方式として理想的なフロント42:リア58(1名乗車時)となっている。
高い運動性能を成立させるために重要な車体の軽量化を、オールアルミ・モノコックボディの採用で実現している。
アルミ合金は鉄に対し1.4倍の板厚で同等の面剛性を得ることができ、比重は約3分の1と、車体軽量化には効果的な素材であり、NSXでは、オールアルミ・ボディにすることでホワイトボディ重量210kgと、従来のスチールボディに比べ、140kgの軽量化が図られるとともに、足廻りやその他の部分もアルミ化することにより、総重量では約200kgの軽量化を実現している。さらに、アルミの押し出し材を使用することなどで剛性面でもスチール製を上回るものとしている。
自然吸気エンジンでトップクラスの出力を誇るパワートレイン
- ●エンジン
軽量・コンパクトで高性能の新開発 3.0l 90°V型 6気筒 24バルブ DOHC VTECエンジンを搭載。
吸排気特性に優れたビッグボア(90mm)・ショートストローク(78mm)とし、高出力化のキーである高圧縮比10.2をセンタープラグのペントルーフ形燃焼室で可能としたスポーツ型エンジンとなっている。
3l自然吸気エンジンとしてはトップクラスの最大出力280ps/7,300rpm(5速車ネット値)、最大トルク30.0kgm/5,400rpmを達成している。 さらに、エンジンの高回転化を達成するためチタン・コンロッドを採用。ホンダは鍛造成形性と切削性を大幅に改善した新しいチタン(3アルミ・2バナジウム・サルファー)を開発する ことで実用化に成功し、約700回転分の高回転化を実現している。
加えて、ホンダの先進技術であるVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)ならびにチャンバー容量切り換えインテークマニホールドシステムの採用により、低・中速域から高回転域まで谷間のない出力特性と高レスポンスを実現している。 - ●高出力・高回転に対応したトランスミッション
5速マニュアルミッションはチェンジレバーのストロークを40mm超ショートストロークとし、手首の動きだけで素早いシフトが可能。
ストレスのかかりやすいセカンドギアにはダブルコーンシンクロを採用。各ギアとの最適バランスを図っている。
NSX専用に新開発した4速オートマチック(ホールド機構付)はフル電子制御・7ポジションで、平行3軸式の採用により高性能化とともに軽量・コンパクト化を達成。1、2、3速を ホールドタイプとすることでスポーティなマニュアル感覚のドライブをも可能にしており、高 回転、高出力に対応する高性能で高効率のオートマチックとなっている。
また、5速マニュアルミッション、4速オートマチックともに、ホンダ独自で開発したトラン スミッション内蔵型LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)を採用。悪条件下 でも優れた走行安定性を保つことが可能となっている。
軽量化とハイテク・デバイスを注ぎ込んだシャシー
- ●サスペンション
構造部品のほとんどをアルミ化することで軽量化を図ったインホイール型サスペンション。軽量、低全高の4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンションの優れた基本特性を生かすと同時に、新開発のコンプライアンス・ピボットを採用することなどにより直進安定性とコーナリング性能、快適な乗り心地を両立している。 - ●ドライブシャフト
エンジンのハイパワーと高速走行に対応するためイン・アウトともに低振動のフラットローラータイプのジョイントとしたドライブシャフトで高回転域までトップレベルの低振動を実現させている。 - ●電動パワーステアリングEPS(エレクトリックパワーステアリングシステム)を4速オートマチックに装備
NSX専用に新開発した電動パワーステアリングは、スポーティな走行に最適な特性となるようプログラミングされたコンピュータと、それを駆動する電動モーターにより構成され、自然な操作フィーリングを得ている。 - ●NSX用TCS(トラクション・コントロール・システム)
TCSは駆動輪の余分な空転を防ぐ自動制御システムであり、NSXでは、加速制御、操安制御に加え、新たにグリップ制御を採用。M・R方式による優れた運動性能と動力性能を充分に引きだすことが可能となった。 - ●NSX用4チャンネル・デジタル制御A.L.B.(アンチロック・ブレーキシステム)
A.L.B.はM・R方式にふさわしい4輪全てを各々独立して制御する方式により、4つのタイヤから制動力をフルに引き出し、路面の状況に応じ、常に最適な制動力を発揮するブレーキ・コントロール・システムとなった。特に旋回時やスプリット路面での制動効果に優れた方向安定性と制動性能を実現している。
エクステリア
NSXは、超音速ジェット機をイメージしたもので、キャビンをフロントに大きく前進させて レイアウトしたM・R方式ならではの前進キャノピー・デザイン。しかも、高曲率大型ラウンド ガラスを採用することで、低く、短いコンパクト偏平ノーズと相まって、前方視界はもとより、後方視界も含めてミッドシップ・スポーツカーでトップクラスの視界を確保している。
また、空力テストを通じて最良のフオルムとしたフロント、気流に沿って絞り込んだリア、長 く低いテールエンド、前進キャノピーデザインによるなだらかな傾きのリアウインドウがすぐれた空力特性を実現している。
インテリア
NSXは、視界、ドライビング・ポジション、操縦性、安全性、快適性、さらに質感まで、全てをスポーツカーフィールとするとともに、クルマの性能と高い次元で調和させた居住空間を実現した。
- ●前進キャノピーデザインによる水平方向311.8°の全方位視界。
- ●ドライバーとパッセンジャーをインストルメントパネルに続く大型コンソールで分割し、最適空間を生み出す1 by 1のダブルサラウンドコクピット。
- ●様々な体形のドライバーが、自然な姿勢でスムーズなステアリング操作ができるよう調整が行なえるチルト&テレスコピック・ステアリング。
- ●SRSエアバックシステム
エアバック自体にシリコン新素材を採用、従来に比べ、バッグをコンパクトに収納でき、スポーティな小径3本スポークで、チルト&テレスコピック機構付のステアリングを実現している。 - ●新開発フルオート・エアコンディショナー
冷気と暖気をミックスするプレートをスライド式にすることなどにより、これまでと同等の冷暖房能力(冷房能力4,000kcal/h、暖房能力3,900kcal/h)を維持しながら30%も小型化。また、ユニットの配置を縦置きにすることにより、スポーツカーにふさわしい低全高と乗員の足もとスペースを充分に確保。合わせて通気抵抗、騒音をも低減している。 - ●大容量のトランクスペース
空力にも有効なロングテール部分をパッケージングにも活用。走りの性能を満足させながら、移動空間としての実用性も重視し、M・R方式としては大容量154l(VDA方式によるホンダ測定値)のトランクスペースを確保している。
高い性能と高品質のNSX生産専用工場
NSXの生産にあたり、高性能、高品質のシビアな条件を充たすため、新たに少量生産の専用工場を栃木に建設。
クラフトマンシップをフルに生かす生産システムで、高い品質に裏づけられた、高性能 新世代スポーツカーNSXが、1日25台の規模で生み出される。
販売計画(年間・予定)
国内 2,000台
希望小売価格表
(消費税含まず。単位 千円)
ミッション | 栃木 | 東京 | 名古屋 | 大阪 | 福岡 | 仙台 | 札幌 |
5速マニュアル | 8,000 | 8,003 | 8,014 | 8,018 | 8,030 | 8,007 | 8,044 |
4速オートマチック | 8,600 | 8,603 | 8,614 | 8,618 | 8,630 | 8,607 | 8,644 |
※4速オートマチック車は、新開発電動パワーステアリングとセット価格。
主要諸元
車名・型式 | 5速マニュアル | 4速オートマチック |
ホンダ・E-NAI | ホンダ・E-NAI | |
寸法・重量 全長×全幅×全高(m) | 4.430×1.810×1.170 | 4.430×1.810×1.170 |
寸法・重量 ホイールベース(m) | 2.530 | 2.530 |
寸法・重量 トレッド(m) 前 | 1.510 | 1.510 |
寸法・重量 トレッド(m) 後 | 1.530 | 1.530 |
寸法・重量 最低地上高(m) | 0.135 | 0.135 |
寸法・重量 車両重量(kg) | 1,350 | 1,390 |
寸法・重量 乗車定員(名) | 2 | 2 |
寸法・重量 客室内寸法(m) 長さ | 0.970 | 0.970 |
寸法・重量 客室内寸法(m) 幅 | 1.460 | 1.460 |
寸法・重量 客室内寸法(m) 高さ | 0.980 | 0.980 |
エンジン エンジン型式 | C30A | C30A |
エンジン エンジン種類・シリンダー数 | 水冷V型6気筒横置(無鉛プレミアムガソリン使用) | 水冷V型6気筒横置(無鉛プレミアムガソリン使用) |
エンジン 燃焼室形式 | ペントルーフ形 | ペントルーフ形 |
エンジン 弁機構 | DOHCベルト駆動 吸気2 排気2 | DOHCベルト駆動 吸気2 排気2 |
エンジン 総排気量(cm3) | 2,977 | 2,977 |
エンジン 内径×行程(mm) | 90.0×78.0 | 90.0×78.0 |
エンジン 圧縮比 | 10.2 | 10.2 |
エンジン 燃料供給装置形式 | 電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI) | 電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI) |
エンジン 燃料ポンプ形式 | 電動式 | 電動式 |
エンジン 燃料タンク容量(l) | 70 | 70 |
エンジン 潤滑油容量(l) | 6.3 | 6.3 |
エンジン 潤滑方式 | 圧送式 | 圧送式 |
エンジン 点火装置形式 | フル・トランジスタ式バッテリー点火 | フル・トランジスタ式バッテリー点火 |
性能 最高出力(PS/rpm)ネット値(*) | 280/7,300 | 265/6,800 |
性能 最大トルク(kgm/rpm)ネット値 | 30.0/5,400 | 30.0/5,400 |
性能 燃料消費率(km/l) 10モード走行(運輸省審査値) | 8.3 | 7.1 |
性能 燃料消費率(km/l) 60km/h定地走行(運輸省届出値) | 16.0 | 15.3 |
性能 最小回転半径(m) | 5.8 | 5.8 |
性能 制動停止距離(m)初速50km/h時 | 13.0 | 13.0 |
動力伝達・走行装置 クラッチ形式 | 乾式複板ダイヤフラム | 3要素1段2相形(ロックアップクラッチ付) |
動力伝達・走行装置 変速機形式 | 常時噛合式 | 常時噛合式 |
動力伝達・走行装置 変速機操作方式 | フロア・チェンジ式 | フロア・チェンジ式 |
動力伝達・走行装置 変速比 1速 | 3.071 | 2.611 |
動力伝達・走行装置 変速比 2速 | 1.952 | 1.466 |
動力伝達・走行装置 変速比 3速 | 1.400 | 1.025 |
動力伝達・走行装置 変速比 4速 | 1.033 | 0.777 |
動力伝達・走行装置 変速比 5速 | 0.771 | - |
動力伝達・走行装置 変速比 後退 | 3.186 | 1.909 |
動力伝達・走行装置 減速比 | 4.062 | 4.066 |
動力伝達・走行装置 カジ取り形式 | ラック・ピニオン式 | ラック・ピニオン式(パワーステアリング仕様) |
動力伝達・走行装置 タイヤ(前・後) | 前:205/50ZR15・後:225/50ZR16 | 前:205/50ZR15・後:225/50ZR16 |
動力伝達・走行装置 主ブレーキの種類・形式 制動倍力装置 | 真空倍力式 | 真空倍力式 |
動力伝達・走行装置 主ブレーキの種類・形式 前後 | 油圧式ベンチレーテッドディスク | 油圧式ベンチレーテッドディスク |
動力伝達・走行装置 主ブレーキの種類・形式 作動系統及び制動車輪 | 2系統式 前右1輪-後左1輪・前左1輪-後右1輪 | 2系統式 前右1輪-後左1輪・前左1輪-後右1輪 |
動力伝達・走行装置 主ブレーキの種類・形式 制動力制御装置形式 | スキッド・コントロール装置 | スキッド・コントロール装置 |
動力伝達・走行装置 懸架方式(独立懸架) | ダブルウイッシュボーン式(前後) | ダブルウイッシュボーン式(前後) |
動力伝達・走行装置 スタビライザー形式 | トーション・バー式(前後) | トーション・バー式(前後) |
*エンジン出力表示には、ネット値とグロス値があります。「グロス」はエンジン単体で測定したものであり「ネット」とはエンジンを車両に搭載した状態とほぼ同条件で測定したものです。同じエンジンで測定した場合、「ネット」は、「グロス」よりも約15%程度低い値(自工会調べ)となっています。
●燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。実際の走行時には、この条件(気象、道路、車両、運転、整備などの状況)が異なってきますので、それに応じて燃料消費率が異なります。
●PGM-FI、A.L.B.は本田技研工業株式会社の登録商標です。VTECは商標です。
●道路運送車両法による型式指定申請書数値
●製造事業者/本田技研工業株式会社
主要装備
快適装備
●電動パワーステアリング(4速オートマチック車)
●チルト&テレスコピック機構
●パワードアロック
●パワーウインドウ(運転席側キーオフ・オペレーション機構付)
●電動リモコンドアミラー
●クルーズコントロール
●フルオート・エアコンディショナー
●ホンダBOSEサウンドシステム(AM/FM電子チューナ+カセットデッキ+アンプ・イコライザー内蔵4スピーカー)
●オートアンテナ(ハーフスイッチ付)
●ダブルキーシステム
インストルメントパネル
●SRSエアバッグシステム
●本革巻ステアリングホイール
●6連メーター
●ライト消し忘れ警告ブザー
●デジタルクォーツ時計
●キー付グローブボックス(照明付)
●インパネ照明(アシュトレイ、オーディオパネル、タイマー付イグニションキーシリンダー、シガーライター)
●イルミネーションコントロール
シート
●本革表皮
●電動リクライニング、スライド
●3点式ELRシートベルト
●シート一体式シートベルトロアアンカー
インテリア
●センターアームレスト付コンソール
●バニティミラー付サンバイザー(助手席側)
●カーテシーランプ
●タイマー付フットランプ
●オープナー(フューエルリッド、フロントフード、リアウインドウ、トランク)
●フットレスト(運転席側)
●トランクランプ
エクステリア
●プロジェクター4灯ヘッドライト(リトラクタブル式)
●インテグレーテッド・リアスポイラー(ハイマウントストップランプ内蔵)
●フォグランプ
●フロント合わせガラス(ハーフシェイド)
●電熱線入り・リアウインドウデフォッガー
●バリアブル間欠付フロントワイパー(ミスト機構付)
●マフラーカッター
●サイドシルガーニッシュ
●フロントロアスカート
走行関連装備
●4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション
●TCS(トラクション・コントロール・システム)
●4チャンネルデジタル制御A.L.B.(4輪アンチロックブレーキ)
●4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ
タイヤ/ホイール
●スチールラジアルタイヤ フロント:205/50ZR15、リア:225/50ZR16
●アルミ鍛造ホイール フロント:15×6 1/2JJ、リア:16×8JJ
●フォールディングタイプテンパータイヤ 165/80D15FS、アルミホイール
●電動エアポンプ
●プレッシャーゲージ
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