2023.10.06 update

“モビリティリゾートもてぎ”が令和5年度の生物多様性保全区域「自然共生サイト」に認定

2023年10月6日、Hondaが所有するモビリティリゾートもてぎ(栃木県)の敷地が、環境省の定める生物多様性の保全区域「自然共生サイト※1」として認定されました。
Hondaは、2022年4月より環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画しており、Hondaの所有する敷地が自然共生サイトとして認定されたのは今回が初めてとなります。

※1 「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域で、
  OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録される

Hondaは、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画し、「自然共生サイト※1」の認定取得に向けて生物多様性の保全を推進しておりましたが、2023年9月22日、Hondaが100%を出資するモビリティリゾート(以下、もてぎ)が、「自然共生サイト」として環境省より認定されました。

※1 「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域で、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録される

モビリティリゾートもてぎでの「生物多様性」への取り組み

1997年の開業以来、人と自然とモビリティの共生をテーマに環境と調和した活動を行ってきました。サーキットを取り囲む森は全敷地約640haの約7割を占めており、自然の保全活動を行っています。そこで確認されている生物種は約5,800種あり、生息する生物のなかには希少種も多数含まれています。

開業前は、管理が行き届いていない雑木林や田んぼであった土地を、木を切り、森に光を取り込むことで環境改善を図り、棚田の水辺の再生を行い、絶滅が危惧されているハッチョウトンボの保護を行ってきました。
また、「環境改善は減らすことだけではなく、つくることも行う」という考えのもと、伐採などにより林内密度を減らし光や風を取り込むだけではなく、生き物のすみかなど多様な環境づくりも行っています。

自社生産拠点周辺における、生物多様性評価

Hondaは、事業活動によって生物多様性に影響を与える可能性について、 生物多様性評価ツールであるIBAT※2を用いて評価を行っています。
世界の自社生産拠点(86拠点)について、各拠点から半径50km圏内を調査対象とし、IUCN※3レッドリストの絶滅危惧種が生息するエリアとの近接状況を整理しています。また、生物多様性の取り組みを具体的化するに際し、IBATにある、KBA※4 ・ WDPA※5・IUCN絶滅危惧種・STAR※6の指標を使って、自社生産拠点の生物多様性リスクを統合的に評価を行っています。
今後は、優先拠点を定め、生物多様性保全の具体的な取り組みを検討していきます。

なお絶滅危惧種・優先拠点の評価・特定は、生物多様性評価の専門機関である、一般社団法人バードライフ・インターナショナル東京の協力のもとに行っています。

※ 2 IBAT:Integrated Biodiversity Assessment Tool(生物多様性評価ツール)の略。
※ 3 IUCN:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources(国際自然保護連合)の略。
※ 4 KBA:Key Biodiversity Area(生物多様性重要地域)の略。
※ 5 WDPA:The World Database on Protected Areas (世界保護地域 データベース)の略。
※ 6 STAR:Species Threat Abatement and Restoration(種の脅威の軽減と生息地の復元に関する指標)の略。

自社生産拠点周辺の絶滅危惧種評価
自社生産拠点の生物多様性優先拠点評価

その他の国や地域の取り組み

〈日本〉四輪完成車工場におけるビオトープ
2013年に操業を開始した埼玉製作所完成車工場には、ビオトープがあります。
ここにはトウキョウサンショウウオ・ホトケドジョウなどの絶滅危惧種が生息しており、
モニタリングや保全活動とともに、外来種であるアメリカザリガニ・ウシガエルの駆除等を行っています。
〈米国〉野生ミツバチの生息地保全
オハイオ州にある四輪製造および研究開発施設
(ホンダ・ディベロップメント・アンド・マニュファクチュアリング・オブ・アメリカ・エル・エル・シー)
の未使用地には、野生のミツバチが生息しています。ミツバチは、健全な生態系を支えるうえで重要な役割を果たし、顕花植物の約80%の受粉を助けます。ミツバチを守るため、
約5haを生息地として維持するとともに、養蜂場をつくりミツバチの研究を支援しています。
〈ブラジル〉テストコースの自然保全
リオ・プレト・ダ・エバにある二輪車のテストコース(モトホンダ・ダ・アマゾニア・リミターダ)は、アマゾンの熱帯雨林にあります。環境と調和するために、敷地内の約80%(802ha)を法定保護区として維持しています。ここでは農業プロジェクトとして果物や野菜の植え付けのほか、マホガニー、ローズウッド、ブラジルナッツなど、絶滅の危機に瀕している種の再生も行っています。
〈ベルギー〉物流拠点の生物多様性の保全
アールストにある物流拠点(ホンダモーターヨーロッパロジスティックス・エヌブイ)では、
生息地の劣化と遺伝的多様性の欠如によって絶滅の危機に瀕しているブラックポプラを植えて、緑地帯を拡大しました。また、池やインセクトホテル(昆虫のホテル)、給餌所を設置するなど、生息環境を整備することで、生物多様性の維持に貢献しています。
〈インド〉生物多様性を考慮した工場緑化
グジャラート州にある二輪車工場(ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディアプライベート・リミテッド)の敷地内には、生態系を守る豊かな自然環境づくりをめざして0.4haのミニフォレストを作りました。
この森は、「Sanjivani van※7」と名付けられ、24の異なるカテゴリの16,000本以上の木が植えられました。また、食品残渣を堆肥に変換してガーデニングに使用しています。

※7 Sanjivani van:ヒンズー語で、癒しの特性を持つハーブ「サンジバニ」に関連付けられた神話上の森を指し、ヒンズー教の神話で重要な意味を持つ。

<関連リンク>

・トピックス
URL:https://global.honda/jp/topics/2023/c_2023-10-06.html

・ESGデータブック
URL:https://www.honda.co.jp/sustainability/report/pdf/2023/Honda-SR-2023-jp-004.pdf

・森の自然体験ミュージアムハローウッズ モビリティリゾートもてぎ
URL:https://www.mr-motegi.jp/hellowoods/

・環境省 30by30 自然共生サイト
URL:https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/

(取材日 2023年10月6日)