
初代から感じた、「家族の一員」としての存在感
――レッド・ドット・デザイン賞の受賞について、率直な感想を聞かせてください。
大窪
開発メンバーに恵まれて製品の形にすることができ、その結果、Hondaとしてレッド・ドット・デザイン賞を5年連続で受賞できました。大変光栄に思っています。
審査員からは、使い勝手のみならず、人間工学を考慮した点についても評価していただきました。Miimoは単なる機械ではなく、お客さまと共に暮らすパートナーをイメージし、デザインしています。そういった点を高く評価していただいたことも、うれしく思います。


温もりあるデザインにしつつ、安全性も担保
――そのコンセプトを、どのように製品に落とし込んでいったのでしょうか?
大窪
まず、欧州のどのような家庭で使われるかをイメージしました。一般的な家庭では、芝生の生えた広大な庭で、子どもと遊んだり、本を読んだりするのが、よくある過ごし方なのだと聞きました。例えば、休日に両親が庭でバーベキューをしていて、その傍らでは子どもたちと犬が遊んでいる。その風景にロボット芝刈機を溶け込ませるには、温かみのあるデザインがいいと考えました。
この温かみを表現するべく、車体の色はウォーム系のホワイトを採用。Miimoのために作られた新色で、芝の上に置くと程よい白さに見えるのです。また、汚れや雨染みを目立ちにくくする意図もあります。パートナーといっても実際は作業機なので、洗車しなくても汚れが目立ちにくく、長く使ってもらうための工夫を施しました。


――初代Miimoからデザイン面で引き継いだことは?
大窪
初代Miimoが持っていた“親しみやすさ”は残したいと思っていました。作業機としての信頼性がありながら、機械的な冷たさは控えめ。二代目にそれを引き継ぎつつ、パッと見て違いがわかるようにもしたい。何度もデザインを修正し、そのバランスを取っていきました。
初代と二代目を比べると、大きさや形はそこまで大きく変わりません。ただ、配色も含めて色には大きな変化を持たせました。初代はホワイトとブラックではっきり分かれていて、上面から見ると白い車体の中心に、黒くて大きい三角形が乗っているようなデザインでした。対して二代目は、白の車体にラインが入っているだけ。カラーバランスを大胆に変え、初代以上に庭の雰囲気に溶け込む配色を意識しました。
安全面でも、初代から引き継いでいる要素があります。例えば、他社商品だと後ろのタイヤが露出しているものが多いのですが、Miimoは全面がカバーされています。設計上不利な点もあるのですが、安全性を優先した結果です。安全性は、デザインにおいても、Miimoで最も大切にしている要素になっています。
機能面だと、赤いSTOPボタンの位置がわかりやすい変更点です。初代は車体の中心にSTOPボタンがついていたのですが、二代目では車体の後方に配置しました。刈刃の回転と走行を止めたい時に使うボタンですが、配置を変えたことで操作パネルへのアクセスがしやすくなっています。
p また、フロントの部品をプラスチック製からラバー製に変更しました。車体が何かにぶつかっても傷つけにくく、車体自体も傷つきにくいので、きれいな状態を保ちやすくなります。ストーリーを生み出すHondaデザインを原点に
――Hondaのデザインアイデンティティを感じさせる部分はどういったところでしょうか。
大窪
人を起点に発想するデザインがHondaのアイデンティティだと思います。庭が華やかになって、家族や友人との暮らしが豊かになる。二代目Miimoは、そのような場面をイメージして開発されています。人の生活を邪魔しないように、芝生に置いた時に存在感が出過ぎないデザインを意識しました。高性能でありながら、人の生活に寄り添い、溶け込むデザインであること。これが“Hondaらしさ”だと言えます。


Profiles

大窪 清春
モーターサイクル・パワープロダクツ
プロダクトデザイナー