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言い続けていればチャンスが訪れる──「やりたい」を叶えた若手駐在員が抱く希望

入社以来二輪事業本部で経験を積み、2020年からは駐在員としてイタリアで働く奥村 琴。Hondaでやりたいと考えていたことを次々と実現する背景には、本人の努力に加え周囲のバックアップがありました。入社してから歩んできたキャリアと今後の目標について、奥村が語ります。

奥村 琴Koto Okumura

ホンダモーターヨーロッパLtd.イタリア支店

2015年新卒入社。二輪事業本部で商品企画や事業管理の経験を積む。2020年7月からホンダモーターヨーロッパLtd.のイタリア支店へ駐在。現地での販売業務、現地情報の収集を担当。

バイク一家で育ち、Hondaのバイクを広めたいという強い意志を持って入社

▲家族との思い出写真(左が弟で右が奥村本人)

2015年に新卒入社した奥村は、昔からHondaに思い入れを持っていました。

奥村 「幼少期からモトクロスというバイクのレースをしていたので、ずっとHondaの競技用バイクに乗っていたんです。父がロードレースのプロレーサーだったこともきっかけで、家族で近所のモトクロスコースに通い始め、2人の弟とともにレースに参戦するようになりました。ライダーとしてはなかなか芽が出ませんでしたが、モトクロスを通してたくさんのことを学ばせてもらいました」

幼少期からHonda製品に触れてきた奥村。高校生の頃になると、「Hondaに入社したい」という想いを持つようになります。大学時代の留学は、その想いを強くする絶好の機会になりました。

奥村 「アメリカに留学して、留学後はヨーロッパを何ヵ月か旅していました。各国のレース会場での存在感はもちろんのこと、特にイタリアの街中がHondaのバイクだらけで驚いて。モータースポーツをはじめとする週末の娯楽から毎日の移動手段まで、Hondaのさまざまな種類のバイクが幅広い用途で使われている様子を自分の目で見て、『Hondaに就職して、バイクの販売や企画に携わりたい』と思いました」

実体験の他に、日本でも留学先でも「Hondaはユニークな人が多い会社だ」と聞いていたことも興味を持つきっかけになり、奥村はHondaで社会人生活を過ごすことを再度決意します。思い切って帰国後の就職活動はHonda1社に絞りました。そして、無事採用され、入社に至ったのです。

入社後、二輪事業本部に配属された奥村は、改めて二輪のおもしろさを目の当たりにしました。

奥村 「入社後も1ユーザーとして、Hondaのバイクに乗り続けているのですが、二輪事業本部はバイクが好きなメンバーが多かったので、よくツーリングに行きました。自分が知らなかったバイクの楽しみ方を知ることができ、おもしろかったですね。

また、入社後の配属先は埼玉県朝霞市にある二輪部門が集まる事業所で働いていたので、開発陣の方々とも交流する機会が多かったんです。社員が老若男女関係なく接してくれる風土も、Hondaの良いところですね」

営業から経理、そして憧れのプロジェクトリーダーへ

▲仲間たちとの一枚

二輪事業本部 営業部での基本業務習得後、半年ほどで、奥村は事業管理部に異動することになりました。

もともと商品企画を希望していたなかで、事業管理を担当することになり、「自分には合わない」と感じたこともあったといいます。

しかし、事業管理部では個性的な上司・先輩との出会いもありました。奥村は、各々の個性を発揮し働く先輩たちに支えられながら、次第にアサインされた仕事にやりがいを見出します。 会社の中でのお金の流れや、地域別・機種別の収益状況のまとめ方、見せ方など、金軸の知識を身に付けながら日々の業務を推進していきました。

経理領域の経験は、奥村のその後のキャリア形成にも大きく役立ちました。

奥村 「事業管理部での1年強を経て、入社以来関わりたかった商品企画の仕事をさせてもらいました。その際、商品企画を進めるうえで会計知識がとても役立ったんです。経理の仕事を経験できてありがたかったです。駐在してみて、以前にも増してそう思うようになりました。

また、事業管理部では経営陣に報告をする機会もあり、上位層がどのような観点で、質問や事業判断をしているのか知ることができました。さらに、説明の仕方によって事象やその背景など、情報の伝わり方が変わることも学ぶことができ、とても勉強になりましたね」

その後、奥村は再び営業部に異動しました。奥村はそこで、入社当初から目指していたセールスプロジェクトリーダー(以下SPL)として、ヨーロッパ向けに販売しているスクーターの商品企画とロシアとウクライナの国担当業務に携わります。

SPLは、海外営業の中で、商品企画も行うポジションです。入社当初から営業担当としてモノづくりに関わることができるSPLに憧れていた奥村は、その仕事を通じてHondaらしさを感じていました。

奥村 「SPLは現場要望のとりまとめ、営業展開の検討・提案が主な業務ですが、時に様々な意見が飛び交う中、商品の発表・発売に向けてチームを引っ張る役割も担っていました。完成車工場はイタリアで、開発メンバーは日本にいて、部品供給元はベトナムやタイ……と拠点が点在しているため、毎日テレビ会議でグローバルな拠点をつなぎながら業務を進めました」

SPLの業務の中で一番印象に残っているのは、2019年の冬、担当していた新商品の販売拡大に向け、現地を巻き込んだ拡販施策を行ったことです。
競合他社に独占されていたセグメントに、Hondaにしかない技術を生かした新商品を投入するという事業戦略上重要な機会に、販売を最大化するキーとなる営業展開の企画を任されました。

奥村 「欧州現地の販売を担うメンバーと企画検討をしていくなかで、『本当に完成度の高い商品なのか?実物を見て乗ってみないと確信を持って売れない』という声があり、まずは現地メンバーに『これは絶対に売れる』と確信してもらう必要性を感じました。

そこで、新商品の営業展開キックオフ会議を提案したのです。これは発表前の試作車をバルセロナに輸送し、欧州各国の営業責任者が商品を試乗できる機会となります。私からマネジメントに提案して多くのハードルを乗り越え、なんとか実現につなげることができました」

開発チームで現地に向かい、試乗会を実現しました。商品を目の前にして販売現場である欧州メンバーで一丸となって施策案を話し合うことができました。その結果、商品に対する確信を持ってもらうことができて施策の精度が向上しました。

奥村 「コロナウイルスの感染が急拡大する直前のタイミングで、実現できて本当によかったです。現地で働いている今、『コロナも落ち着いてきたから、またあのイベントをやりたいね』と皆さんが口々に言ってくれているのが嬉しいですね」

前例がないことでも信念を持って行動を起こすこと、そして周りを巻き込んで賛同してくれる味方を増やしながら仕事を進めることの大切さを学べた経験でした。

奥村 「若手でも重要な仕事を任せてもらえるオープンさがあり、かつ自分自身で考えて行動しなければならない状況で、いろいろな国の人と考え方の違いにもぶつかりながら一生懸命コミュニケーションをはかっていました。それがすごくHondaらしいなと、仕事をしながら日々感じていましたね」

想いを伝え、行動し続けることで希望が叶う環境がある

「世界中の人に、Hondaのバイクを体験してもらいたい」入社前からそう思っていた奥村は、入社後も「わかったから待って」と上司に言われるほど、何度も海外の現場に行きたいと強く伝え続けていました。

その結果、入社6年目にして念願が叶います。イタリアの営業担当駐在が決定したのです。

また、ヨーロッパのなかでも最もバイクの市場が大きいイタリアへの駐在は、奥村の念願の異動でした。奥村はそのことを、キャリアプランを相談して行動に移せる環境がHondaにあったおかげだと振り返ります。

奥村 「Hondaでは、社員がライフステージのなかで自律的にキャリアを形成できるように、定期的に上司との1on1の面談『2way』という制度が設定されています。上司と相談し、目標やビジョンのために今はこれを頑張ろうという風にお互いの意思確認ができるんです」

実際に奥村は、『家庭を持つ前、自分ひとりのために時間を使うことができるあいだに海外営業でのキャリアを積みたいので、20代で駐在に出てスキルを身に付けたい』と上司に相談していました。面談を通じて、チャレンジングな役割を与えられても頑張りたいという意思表示をしていたのです。

奥村 「男女関係なく、ワークライフバランスが変わるタイミングがあるのは必然ですよね。そういった現実を踏まえたうえで、中長期的な目標に向けて、今やらなければならないことを明確にするための相談に乗ってもらってきました。進む方向を示してくれる仕組みがあるのは、素晴らしいことだと思いますね。

また、私は入社して、駐在先に子どもを連れて行ったり、駐在後日本で家族との時間を大切にしながら海外経験を活かして働いたりする先輩の姿や、多くの女性駐在員を見てきました。今後育児で仕事を離れるタイミングがあっても、駐在での現場経験を活かし職場で活躍できる自分でいたいと思っています。そういった考えを、常に上司と認識を合わせておける安心感があります」

念願かなった奥村のイタリア駐在生活は、2020年7月から始まりました。主な役割は、イタリア国内の二輪事業における営業企画を推進しながら、各地の販売店を訪問し、お客様傾向の変化、競合情報など、商品企画や戦略立案に必要な現場の最新情報を日本やヨーロッパ本社に共有することです。

しかし、イタリアでは新型コロナウイルス感染症対策でロックダウンが続いていました。ある期間は居住地域から外に出ることができず、自宅とオフィス間の移動しかできない状況でした。赴任後1年ほど経ってから、ようやく販売現場に出向けるようになりました。

奥村 「イタリアの仕事で苦労しているのは、文化と言葉の違いです。オフィスでは基本的には英語でやり取りしますが、現地スタッフ同士の会話は全部イタリア語なので、実務の重要な会話なはずなのに何を話しているのかわからないのが最初はとても不安でした。

仕事の話もプライベートの話も自分が参加しないとイタリア語で交わされるので、無理矢理にでも会話に入って英語で会話してもらうことで話を理解していましたね(笑)。

『予定通りに物事が進まなくて当たり前』という考えのもとに社会が回っていることを感じます。ポジティブ・ネガティブの両面で日本と大きく異なります。確認事項はダブルチェックでは足りないので、実際に手を動かす実務担当者と、自らの言葉で直接確認すること、それでもイレギュラーは起きるものとして構えることの大切さを日々実感しています。フレキシブルに現場対応するスキルをイタリアに鍛えてもらっていますね」

初のイタリア女性駐在員として、未来をつくる

バイク文化が盛んな国であるイタリアに赴任してからも、奥村には、心がけていることがあります。

それは、奥村自身もバイクを所有するひとりのユーザーとなり、常にお客様目線に立つこと。

奥村 「自分もユーザーとしてバイクに乗っていると、お客様と話す機会が増えて、販売店を訪れるだけではわからない現場の情報やお客様の本音を聞けるようになりました。
業務外の時間で得た情報をオフィスに持ち帰り、課題があれば克服に向けた議論をし、熟練スタッフに相談することもあります。試行錯誤と学びの日々です。

今の職場の皆もバイク好きでマニア並に詳しいので、自分もマニアにならないと全く話についていけないほどです(笑)。
ライダーであることがわかった瞬間、現地スタッフや販売店の方々が一気にフレンドリーに話してくれるようになるのは、趣味性が高い二輪業界ならではかと思います」

実は最年少かつ初のイタリア女性駐在員として、イタリアに行くことになった奥村ですが、駐在経験を通じて、Hondaが性別も年齢も関係なくひとりの人間として接してくれる会社だと改めて実感しています。

奥村 「年齢や性別に関係なく、皆ひとりの人間として接してくれます。日本でもそうでしたが、違う国に来てもその文化は変わりません。『若手の意見が聞きたいんだけど、どう思う?』と新しい視点を求めて意見に耳を傾けてくれる人も多いですね。それもHondaに居て心地よいと感じる理由だと思います。

一方で、若手駐在員として自分が仕事をやり遂げて実績を作らないと、後に続かないと思っています。後輩や入社を検討している方に、入社年次が浅くても女性でも、粘り強く目の前の仕事に向き合いながら、やりたいことを周囲に訴え続ければ、活躍できる機会が与えられる会社だと思ってもらえたら嬉しいです」

奥村のイタリアでの挑戦は、まだ始まったばかり。今後はもっとイタリアの人々に、Hondaのバイクを広めていきたいと考えています。

奥村 「イタリアのバイク市場でのシェアを、10年後に30%にしようという目標を掲げて日々活動しています。また、イタリアで女性ライダーを増やすことも個人的な目標です。その目標達成に向けた地盤づくりのために、自分が現場でやるべきことをやり遂げたいです」

「挑戦したい」と言い続け行動すればチャンスが与えられる環境のHondaで、周囲に支えられながら、商品企画の経験やイタリアへの駐在を叶えてきた奥村。

今後も、イタリアでの目標達成に向けて日々のチャレンジに向き合いながら、現場経験を積み上げていきます。

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