Other2020/09/28
受け継がれるHondaのDNA─前例のない数ヶ月を経た2020卒の決意【技術系編】
2020年に入社したHondaの新入社員たち。彼ら彼女らが入社後に過ごしてきた数ヶ月は、従来、入社研修においても三現主義(※現場、現実、現物を重視する姿勢)を貫いてきたHondaにとって、これまでとは大きく異なる歩みでした。しかし、質・量ともに従来の研修を凌ぐ研修を経てそれぞれが抱いていた夢をより強く、そして明確にさせたのです。リモートという制約がありながらも、新入社員はどのように成長したのか。生の声をお届けします。
羽鳥 哲史Satoshi Hatori
株式会社 本田技術研究所 ライフクリエーションセンター 完成機開発室 知能制御BL
「高専ロボコン」をきっかけに、ロボットエンジニアに憧れ大学院まで一貫してロボット工学の学習に取り組む。人の活動する実環境でタフに働き、人と協調できる賢いロボットを作り上げることを夢見てHondaに入社。
米井 賢太郎Kentaro Yonei
四輪事業本部 ものづくりセンター電子制御開発統括部 IVI開発部Iシステム開発課
全ての人が楽しく車を運転する世界の創出を夢見てHondaへ入社。大学での研究テーマは「高速フェージング環境下におけるブロック符号を用いた無線通信の性能改善」
寺嶋 茜Akane Terashima
二輪事業本部 ものづくりセンター 完成車開発部完成車研究課
MotoGPのレースに帯同するHRCのエンジニアの一員として、「レースで世界一になること」を掲げるチームで一緒に戦うことを夢見てHondaに入社。
お客様が本当に欲しいと思える製品を開発し、社会を豊かに
羽鳥「手を動かしてものを作ることが好きで、学生時代からロボットコンテストやものづくり活動に長く打ち込んできました」
ロボットコンテストへの出場や研究を通してハードウェア開発の基礎を学び、大学院では自律移動ロボットのソフトウェアの開発に取り組んできた羽鳥 哲史。
学んでいる制御や自動化の知識を活かし、さまざまな製品をもっと便利に、そして使いやすくできないだろうか。そう考えるようになった羽鳥はロボット芝刈機「Miimo」やその他のロボットに触れることのできるHondaのインターンシップに参加しました。
羽鳥「そこで実際の製品や開発する様子を目の当たりにし、Hondaで働きたいという思いが強くなったんです」
自律作業機によって人手不足を解消し、暮らしを豊かにしたい──
インターンを経てより強くなった想いを糧に、羽鳥はHondaへの入社を実現させます。
大学院でも研究一筋で、もともと人見知りだったという羽鳥にとって、コロナ禍のオンライン研修はビジネスコミュニケーションのスキルを向上させるきっかけになりました。
また、数あるコンテンツのなかで羽鳥を最も大きな気づきを与えたのが、新事業を創出する方法を学ぶ研修でした。
羽鳥「他のグループの発表を聞きながら、いろいろな工夫や考え方を共有できたことで、Hondaを取り巻く環境やお客様の変化に目を向けて、本当に欲しいと思ってもらえる製品やサービスとはどういうものか、という思考を自分があまり持てていなかったことに気付かされました。そうした学びをすぐにアウトプットできる環境や多様な考え方や工夫の方法を共有できたことも、成長の助けになりましたね」
研修を終えた羽鳥は、量産を見据えた製品のためのソフトウェア研究や開発、テストなどを担う完成機開発室 知能制御BLへ配属。特に自律作業機能などの知能化や制御ソフトウェア部分の開発を担当しています。
羽鳥「学生時代に研究室で行ってきたものづくりと、製品開発とではまったく異なるものだということを痛感する毎日です。研修で身に着けた視点を生かし、お客様に欲しいと思ってもらい、喜んでもらえるような製品を開発していきたいです」
自己開示と挑戦の姿勢で、成長し続ける
Hondaは自動車会社じゃない──
面接で聞いた先輩の言葉が、米井賢太郎にHondaへの入社を決意させました。
米井「大学では無線通信の研究を行っていました。『無線通信を用いて何を繋げたら面白いか』『ソフトウェアの力で大きく進化するものは何か』を考え、自動車業界を志望していたのですが、4輪車に2輪車、さらにはロボットやジェット機など幅広い製品群を持つHondaなら、それらをひとつのシステムでつないだ新しいサービスを生み出せると思ったんです」
▲学生時代の米井。勉強とアルバイトを両立させながら自らの力で稼いだお金で行った初めての海外旅行(台湾)での一枚
コロナ禍のオンライン研修にあたって、先行きに不安を抱えていた米井の指針となったのも先輩たちの言葉でした。
米井「研修初日に人事の方が『600人の前で発表できる機会なんて人生でそうそうないよ』といってくださったことで、このオンライン研修を主体性の無かった自分を変える場所にしようと思ったんです」
米井は、質問の場などでは積極的に手を挙げ発言することを意識。グループワークや先輩との会話でも自分の意見や感じたことを表現することができるようになり、結果、自分の仕事だけでなくチーム全体の仕事が前に進む手応えを得られたといいます。
また、配属先を決める面談に臨む米井にとっても、先輩のアドバイスが生きたといいます。
米井「就職活動をしていたときは、面接をすごく苦手としていたんです。プレッシャーから自分の意見をうまく伝えることができず、自己アピールも中途半端になることがほとんどでした。でも研修中に、先輩社員からいただいた『Hondaでは自己を主張しないと生きていけない』という言葉が自分を奮い立たせてくれたんです」
米井は面談前の2週間、自分はどんな夢を抱いてHondaに入社したのか、自分の意見とその根底の想いをひたすら紙に書いていきました。ルーズリーフ10枚分の意見を書き留め、ひたすら読み返し面談に臨みました。
米井「これまでの自分はなぜ自分がこれをやりたいのかを深掘りすることから逃げていました。それは自分に自信がなく、大したことのない考えを深掘りするのが恥ずかしいと考えていたからです。でも配属面談では、自分の意見を余すことなく伝えることができ、希望の部署に配属していただくことができました」
研修や先輩の言葉から学んだ主体的に自己を開示することの大切さ。そして面倒ごとから逃げずに、立ち向かうことで成長するという成功体験が、エンジニアとして歩みだした米井の支えになっているのです。
Hondaで夢を一つずつ叶えていきたい
バイク好きの両親の影響で、オートバイのレース「MotoGP」の熱狂的なファンとして育ってきた寺嶋 茜。10歳のころには、Honda創業者、本田宗一郎の伝記に出会い、Hondaで働きたいという夢が生まれました。
寺嶋「中学3年生の時に、母に誘われ高専のオープンキャンパスに参加したんです。そこでHondaの汎用エンジンを分解している先輩の姿を見て、高専への進学を決めました」
高専では機械工学科へ進学。機械工学を学びながらも、燃費を競う「エコラン」のドライバーとしても活動するなど、充実した高専生活を送ります。そしてMotoGPの本場であるヨーロッパへの語学留学を経て、彼女が選択した進路ははやく現場の技術者となる就職という道でした。
寺嶋「ついに、10年来の夢を叶える時がきたんです。ですからHondaへの入社が決まり、鈴鹿サーキットで行われるはずだった入社式が、中止になってしまったことは残念でなりませんでした」
しかし、入社式の中止に対し、先輩たちの粋な計らいが鬱屈とした気分を晴らしてくれました。
寺嶋「オンラインで入社式に臨む私たちのために素敵な入社式動画を作ってくださっていたんです。私もTEAM Hondaの一員であることを自覚でき、とてもうれしかったことを覚えています」
オンライン研修もポジティブにとらえ「この年の社員ならではの強みを持てるようになろう」と意識できたといいます。
寺嶋「とにかくコンテンツがとても濃くて驚きました。新しいコンテンツを絶えず追加されていましたし、毎日振り返りの機会を設けられていたことで、短期間で『考える力』が身につけられたと思います。それに「強制発想法」を試すワークショップでは、今まで自分にはできないと思っていた思考も、やり方ひとつでできるようになったことにとても感動しました」
研修後、念願かなって二輪事業本部の開発部門に配属された寺嶋。
こうしてMotoGPに関わる仕事をするという幼いころからの夢に大きく近づいた彼女ですが、入社を経て、新たな夢を抱くようになったといます。
寺嶋「私は小さい頃の夢をひとつかなえることができました。それは周りの大人たちが私を信じて、応援してくれたからだと思います。今度は私も夢を追いかける人を応援する人になりたいです。そして、私自身もいつまでも夢を持ち続け、一つずつ叶えていきたいです。
これまでも、そしてこれからもHondaが大好きなので、お客様に良い商品を届ける仕事を経験し、技術者としての夢を叶えたその先の将来で、Hondaで働く人を支える仕事がしたいと思っています。採用や研修に関わったり、組織をよりよくしたりすることで、Hondaで働く人がさらに誇りを持って働けるお手伝いができるのではないかと考えているんです」
新しく夢が見つかり、モチベーションをさらに高めるきっかけとなったオンライン研修。これからは、自分に夢を与えてくれたレースの世界で、自分が開発するマシンで夢を与える側になりたいと意気込んでいます。
入社からの数ヶ月を経てHondaの社員らしい主体性を学び、そしてそれぞれの夢の実現に向けて歩み出した3人の新入社員たち。彼らの姿勢は、リモートであっても、HondaのDNAを伝えていけることを証明しているのです。
今回は【技術系(理系)】の新卒3名をご紹介しました。
次回[後編]では、【事務系(文系)】のメンバーの声をお届けいたします。
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