苦戦続きも、フェルスタッペンの健闘光る
2025年4月6日
第3戦日本GP
シーズン序盤の劣勢を覆す初優勝
鈴鹿で4年連続ポール・トゥ・ウイン
© Red Bull Content Pool2025年、Hondaはレッドブルへの技術支援の最終年を迎えた。マックス・フェルスタッペンの4年連続ワールドチャンピオン、レッドブルの2度のコンストラクターズタイトル獲得という輝かしい成果を残したレッドブルとの歴史はこの年をもって幕を閉じる。レッドブルとHondaは、このラストイヤーもダブルタイトル奪還を目指してともに戦うことを誓い合った。
レッドブルは、4年間在籍したセルジオ・ペレスに替えて若手のリアム・ローソンを起用しシーズン開幕を迎えた。ローソンの昇格により、レーシングブルズはルーキーのアイザック・ハジャーを起用。チーム在籍5年目を迎える角田裕毅とともにさらなる飛躍を期した。
前年の混沌とした接戦ムードは、新たなシーズンでも変わらなかった。そのなかでマクラーレンの速さが頭ひとつ抜け出した状況で、プレシーズンテスト、そしてシーズン開幕戦でもマクラーレンの好調さが際立っていた。レッドブルは、マシンパフォーマンスの挽回がなかなか上手くいかず、フェルスタッペンがそれをリカバーする走りで開幕戦2位、第2戦4位と上位に入るが、優勝争いには届かない状態でシーズン序盤2戦を終えた。
第3戦日本GP直前に、レッドブルはフェルスタッペンのチームメイトを変更。ローソンと角田を入れ替える決定を下した。日本人ドライバーのトップチーム昇格のニュースに、日本のファンは大いに盛り上がった。
© HRCパートナーシップ最終年でも鈴鹿を制覇
2025年はHondaがF1初優勝を挙げて以来60周年に当たる。鈴鹿サーキットに現れたレッドブルRB21はHondaの初優勝マシンRA272をトリビュートし、ホワイト×レッドのカラーリングで登場した。フリープラクティスではなかなかタイムが伸びない状況が続いたフェルスタッペンだったが、予選ではQ3最後にスーパーラップを披露しシーズン初のポールポジションを獲得してチャンピオンの凄みを見せる。決勝レースでもマクラーレン有利との予想を覆し、フェルスタッペンがポールポジションから最後までトップを守り切りシーズン初優勝。猛追するマクラーレン勢を最後まで抑え込む力走で、Hondaと日本への強い思いを示したフェルスタッペンに、ファンは大きな声援と賛辞を送った。
© Red Bull Content Poolこの年レーシングブルズからF1デビューしたアイザック・ハジャーは初の予選Q3進出を果たし7番グリッドから8位と大健闘を見せた。14番グリッドからスタートした角田は、粘り強くレースを戦い抜き12位でフィニッシュ。ファン投票による「ドライバーズ・オブ・ザ・デイ」に初めて選出されている。
© HRC2025年5月18日
第7戦エミリア・ロマーニャGP
フェルスタッペン快心のレース
レッドブル通算400戦目を勝利で飾る
© Red Bull Content Pool日本GPでのシーズン初優勝を経て、マックス・フェルスタッペンにチャンスが来たのは第5戦サウジアラビアGPだった。マクラーレンのオスカー・ピアストリを100分の1秒抑えてポールポジションを獲得し、オーバーテイクの難さゆえにフェルスタッペン優位と見られた。スタート直後からフロントロウの2台は激しいバトルを展開し、ピアストリがトップを奪う。すぐさまフェルスタッペンはポジションを取り戻しに攻め立てオーバーテイクに成功する。しかし、このオーバテイクがコース外と裁定され、フェルスタッペンに5秒ペナルティが科され、追い上げ届かず2位に終わった。第6戦マイアミGPでもフェルスタッペンはポールポジションを獲得するが、レースではマクラーレン勢のハイペースに対抗できず。さらにバーチャルセーフティカー(VSC)をうまく利用してタイヤ交換したメルセデスのジョージ・ラッセルに3番手を奪われ、表彰台をも逃すことになった。
© Red Bull Content Pool全周回トップを明け渡さず
フラストレーションの溜まるレースが続いたフェルスタッペンだが、第7戦エミリア・ロマーニャGPでは快心のレースを見せる。予選ではQ3最初のアタックでトップタイムをマークするも、最終アタックでピアストリに0.034秒届かず2位。フロントロウからスタートしたフェルスタッペンはターン1までに予選3位のジョージ・ラッセルに並ばれたが、ターン2のブレーキングを大きく遅らせてポールポジションのピアストリにアウト側から並びかけると、ターン3までにパスしてトップに浮上。2周目には早くもピアストリに1秒以上の差をつけ首位を確保した。レースはVSC、セーフティカーが出るなど波乱含みの展開となり、首位を独走していたフェルスタッペンは46周目のセーフティカー導入で20秒近く差をつけていたリードを失ったが、54周目に再開されたレースから再びマージンを築き、2-3番手のマクラーレン勢を突き放す快走を見せつけた。マシンアップデート、戦略、ピットストップ、チームコミュニケーションとも理想的に進んだフェルスタッペンのシーズン2勝目は、全周回でトップの座を守り通した完璧な勝利だった。チームメイトの角田裕毅は予選の大クラッシュから挽回し10位入賞。レーシングブルズのルーキー、アイザック・ハジャーがこのレースでも好調で9位に食い込んだ。
© Red Bull Content Poolそしてこの勝利は、レッドブルにとってチーム創設以来、通算400戦目のメモリアルウインとなった。
© Red Bull Content Pool2025年10月19日
第19戦アメリカGP
後半戦、3度目のポール・トゥ・ウィンを果たしたフェルスタッペン
レッドブルの復調と、逆転タイトルに向けた勢いを示す
© HRCサマーブレイクが明け、シーズン後半に入るとレッドブルは明らかに戦闘力を回復し、フェルスタッペンは予選、決勝ともに好結果を出していた。第15戦オランダGPでは、母国連勝こそ逃したものの、予選、決勝ともに2位と速さと安定性を見せた。第16戦イタリアGPと第17戦アゼルバイジャンGPでは、ともにポール・トゥ・ウィンを果たした。超高速コースであるモンツァと市街地コースであるアゼルバイジャン、まったく性格の違うコースでの完勝は、レッドブルのマシンにかつてのような競争力が戻ったことを表していた。そして第18戦シンガポールGP。2023年に唯一レッドブルが取りこぼしたコースでも、フェルスタッペンは予選、決勝ともに2位となり、レッドブルの復調を見せつけている。
© HRCシーズン後半となり、各チームは2026年からの新規定マシンの開発に注力せざるを得ない状況となっていた。もちろんレッドブルも例外ではないが、それでもいま戦っているシーズンを諦めることなく、他に比べて大きなアップデートを施していた。空力パーツ、アンダーフロアなどできる限りの改善策によって、レッドブルとフェルスタッペンは勝利を追い求め、ドライバーズチャンピオン5連覇に向けて全力を尽くした。
その成果が明らかに見えたのが、第19戦アメリカGPだった。スプリントフォーマットで行われた大会で、フェルスタッペンはスプリントでポール・トゥ・ウィン。そして決勝レースでもポール・トゥ・ウィンを成し遂げ、完璧な勝利もものにした。決勝では、スタート直後のターン1で後続にアクシデントが発生したが、フェルスタッペンのトップは揺るぎないものだった。その後は、シーズン後半戦に挙げた2勝同様、まったく危なげなくトップを快走し、シーズン5勝目を挙げたのである。
© HRC苦しい戦いが続いていた角田裕毅もアメリカGPでは健闘を見せた。スプリント予選では、アタックのタイミングを失い18番手と大きく出遅れたが、スプリントでは1周目の混乱をうまく乗り越えて7位フィニッシュを果たし2ポイントを獲得した。決勝でも、予選がうまくいかず13番手からのスタートとなったが、やはりスタート直後の1コーナーでポジションを上げて、2周目には入賞圏内の10番手にポジションを上げた。その後は前方のアクシデントもあり、粘り強い走行を貫いて7位入賞を果たした。
フェルスタッペンはシーズン5勝目を挙げ、粘り強く重ねたポイントを合わせて、ランキングトップとの差を40ポイントにまで縮めた。シーズン残り5戦となり、この差はフェルスタッペンにとって十分射程範囲といえるものとなっている。
2025年12月7日
第24戦アブダビGP
最終戦までもつれたタイトル争い
ポール・トゥ・ウィンを果たしたフェルスタッペンが
パートナーシップの有終の美を飾る
© HRCシーズン終盤戦に入り、レッドブルとフェルスタッペンは競争力を高め、好成績を出し続けた。第20戦メキシGPと第21戦サンパウロGPで3位表彰台を獲得すると、第22戦ラスベガスGP、第23戦カタールGPで連勝を飾り、チャンピオン争いではトップに12ポイント差まで迫っていた。
© HRC逆転を期して臨んだ最終戦アブダビGP。勢いに乗るフェルスタッペンは、予選でポールポジションを得ると、決勝レースでも盤石のスタートでトップを守ると、危なげないレース運びで勝利を果たし、シーズン最多となる8勝目を挙げた。サマーブレイク明けの10戦で、6勝を含めすべてのレースで表彰台を獲得する驚異的な巻き返しだった。チャンピオンシップにおいて、100ポイント以上の大差から追い上げたフェルスタッペンだが、最後は2ポイント差まで迫ったものの、5連覇を成し遂げることはできなかった。
「やれることはすべてやった。結果はわずかに届かなかったが、最後までタイトル争いができたことを誇りに思うし、ガッカリはしていないよ」とレース後フェルスタッペンは語った。そしてHondaに対してはこれまでの献身的な努力に感謝するとともに「(Hondaとともに戦った)長い旅路を勝利で終えられたことは、本当に良かった」ともコメントした。
© HRC2018年にトロロッソと、そして2019年からレッドブルと結んだパートナーシップは2025年最終戦をもって幕を閉じた。この間、4度のドライバーズチャンピオンと、2度のコンストラクターズチャンピオン獲得に貢献し、F1のパワユニット開発製造でトップレベルに登り詰めたHonda F1はひとつの時代にピリオドを打ち、新たな歴史への挑戦の時を迎えることとなる。