序盤優勢から一転、接戦を制しフェルスタッペン4連覇
2024年4月7日
第4戦日本GP
桜咲き誇る鈴鹿で3年連続制覇
開幕4戦3度目の1-2フィニッシュ
© HRC2023年に歴史的な勝利を成し遂げ、大きな規定変更がない状況で2024年シーズン序盤もレッドブルとマックス・フェルスタッペンの優位は揺るがなかった。開幕戦、第2戦とフェルスタッペンが勝利し、レッドブルが1-2を決めると、前年同様の景色がサーキットを覆う。しかし、第3戦オーストラリアGPでフェルスタッペンはマシントラブルが発生しリタイア。前年から続く連勝は9でストップした。
アルファタウリは「ビザ・キャッシュアップ・RB」とチーム名を変え、前年途中に大きく変えた体制を踏襲し、育成チームからの脱却を図る。前身のトロロッソ創立から長く代表を務めてきたフランツ・トストは身を引き、ローレン・メキースが代表を務めることとなった。角田裕毅はこのチームで4年目を迎え、チームメイトは昨年シーズン途中から起用されたダニエル・リカルド。8回の優勝経験を持つベテランと、速さでは定評のある角田の組み合わせは新体制とともに期待を集めた。
Hondaはレッドブル・パワートレインズとの技術提携の下、パワーユニットの供給支援を継続。パワーユニットは2022年の段階で開発が凍結されているが、信頼性向上や使い方の熟成を進め、その努力はレッドブルの勝利に大きく貢献している。一方、Hondaは2026年シーズンからアストンマーティンに新規定で開発されるパワーユニットを供給し、F1活動を正式に再開することを前年5月に発表。ホンダ・レーシング(HRC)は、電気によるモーターアシストの領域が拡大される新たなパワーユニット開発に邁進していた。
© Red Bull Content Pool角田が母国戦初ポイントを獲得
1987年の初開催以来、従来秋に開催されていた日本GPは、この年から春開催に変更された。桜が咲き誇る鈴鹿サーキットでの第4戦日本GPは、その美しい光景が世界中から注目を浴びることとなった。連勝がストップしたレッドブルとフェルスタッペンだが、鈴鹿では再び圧倒的な速さを見せて予選を制圧。フェルスタッペンがポールポジションを獲得すると、セルジオ・ペレスが2番手につけ、レッドブルがフロントロウを独占した。RBでは角田が奮闘しQ3進出を果たして日本のファンを沸かせた。
決勝レースは、スタート直後にアクシデントが発生し赤旗中断となる。3周目からスタンディングスタートで再スタートが切られると、フェルスタッペンはトップを守り、その後2番手以下を突き放し、徐々に差をつけ始めた。2番手のペレスも首位に迫るのは難しいが、ポジションを脅かされることはなく、レースは1回目のタイヤ交換を迎えた。ピットインのタイミングで首位の座を一旦明け渡したフェルスタッペンだが、すぐさま定位置を奪い返し、ペレスもそれに続き、レッドブルの1-2はまったく揺るがずレースは終了。フェルスタッペンはシーズン3勝目を挙げ、日本GPで3年連続ポール・トゥ・ウインを決める快挙を成し遂げた。そしてレッドブルは4戦中3戦で1−2を決め、昨年同様1強の様相を見せつけた。
10番グリッドからスタートした角田は1周目に大きく順位を落としてしまっていたが、再スタート直後にポジションアップに成功し、粘り強いレースで10位入賞を果たした。マシンパフォーマンスとしては楽なレースではなかったが、最大限の結果を残して2戦連続の入賞と母国で初のポイント獲得を果たした。
© HRC2024年6月23日
第10戦スペインGP
王者の貫禄で追撃許さず
フェルスタッペン10戦7勝
© Rec Bull Content Pool第4戦日本GPでの優勝後、マックス・フェルスタッペンは第5戦中国GP、第7戦エミリア・ロマーニャGP、第9戦カナダGPも制し選手権を大きくリードしていた。しかし、昨年までのような圧倒的な勝利とはいかず、2024年型レッドブルRB20はアップデートがうまく機能しないことも多くなり、レッドブルは以前のようなアドバンテージを失いかけていた。フェルスタッペンは接戦や逆転でレースを制し実力を発揮したが、ライバル勢が王者との差を縮めているのは明らかだった。ライバル勢、特にマクラーレンの急伸は目覚ましく、第6戦マイアミGPでランド・ノリスがキャリア初優勝を挙げると、シーズンの流れは1強からトップチームによる接戦の状態となった。
第10戦スペインGPでは、予選から接戦となったシーズンの流れを象徴するポールポジション争いが展開された。予選Q3で、チームメイトのセルジオ・ペレスのトゥ(スリップストリーム)を使い飛び抜けたタイムを叩き出したフェルスタッペンを、ラストアタックでノリスが逆転。王者からポールポジションを奪取したのである。
決勝レースでも両者はスタート直後から激しいバトルを展開した。ターン1までにフェルスタッペンを牽制するかのようにマシンを寄せたノリスは、トップを死守する気合いを見せた。しかし、その間に加速に優ったメルセデスのジョージ・ラッセルが2台をアウトから抜き去りトップに立つ。1周目を終え、ノリスとの接近戦を制したフェルスタッペンは2番手に上がり、3周目にはラッセルをオーバーテイクしトップに立った。ノリスは2番手になったラッセルをなかなかパスできず、1回目のタイヤ交換のタイミングとなった。
© Red Bull Content Pool王者の貫禄でノリスの追撃を振り切る
トップ6がピットインを終えた段階で、フェルスタッペンはトップを守り、後半での追い上げに懸けたノリスはピットインを引き延ばし5番手までポジションを落とした。しかし、その後ノリスは優勝を狙い猛追し、ピットインから10周後の35周目には2番手にポジションを挽回。約10秒先のフェルスタッペンとの差を詰め始める。2回目のピットインを終えた時点で、トップのフェルスタッペンと2番手ノリスの差は約8秒、残り周回数は19周だった。ペースを上げて追い上げるノリスは、その差5秒まで一気に詰めたがその後停滞。厳しい状況ながらもフェルスタッペンが、マージンをコントロールしながらペースを調整しているのは明らかだった。王者の貫禄とも言うべき巧みなレースコントロールで、フェルスタッペンは逃げ切りに成功し優勝。2秒差まで迫ったノリスだが、最後まで勝ちは見えなかった。
ノリスはこの2位でランキング2位まで浮上したが、フェルスタッペンは7勝目を挙げ、チャンピオンシップポイントで2位との差を69に広げた。
© Red Bull Content Pool2024年11月3日
第21戦サンパウロGP
フェルスタッペン4連覇に王手
雨の大波乱レースで劣勢覆す劇的勝利
© Red Bull Content Poolシーズン後半戦は、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが勝利を積み重ねた第10戦までと、まったく違う様相となった。フェルスタッペンは第11戦スペインGP以降、スプリントでの優勝はあったがグランプリで勝利を得られず、その間マクラーレン4勝、メルセデスとフェラーリがともに3勝を挙げるといった展開となり、シリーズは大混戦となっていた。それでも、フェルスタッペンは取りこぼしなくポイントを重ね、チャンピオンシップをリード。シーズンは残り4戦となり、ランキング2位ランド・ノリスとのポイント差は47。勢いは明らかにノリスにあったが、ポイント差はまだ大きいものだった。
シーズン終盤戦に勝負をかけるべく、フェルスタッペンは第21戦サンパウロGPで6基目のパワーユニットを投入。5グリッド降格を科されるが、タイトル4連覇に向けて避けられない選択だった。レースウイークはスプリントフォーマットで行われ、好調マクラーレンはこのスプリントで1−2を決める。レース終盤、トップを走るオスカー・ピアストリは、チャンピオン争いにかけるノリスにポジションを譲り、ノリスは8ポイントを加算。一方のフェルスタッペンは3番手でゴールしたものの、レース後に5秒加算のペナルティを科されて4位4ポイントに終わっている。
土曜午後からアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェは大雨に見舞われ、予選は決勝日の午前に順延される変則スケジュールとなった。決勝日も雨の影響が残り、路面コンディションが刻々と変わる難しい予選のなかで、チャンピオンシップの逆転にかけるノリスがポールポジションを獲得。フェルスタッペンはコンディションをうまく掴み切れずQ2敗退を喫し、グリッド降格も重なって17位からのスタートと、両者の明暗がはっきり分かれた予選となった。
RBの角田裕毅はコンディションが変わるなかで、タイミングよくアタックを敢行し3位で予選を終了。角田にとっては予選における自己最高位となり、日本人ドライバー4人目の表彰台獲得が期待された。
© Red Bull Content Pool雨の混乱からフェルスタッペン大逆転
決勝レースの行われる午後も雨の影響が続き、路面はウエットコンディション。フォーメーションラップ中にスピンするマシンが出るなど、レースは混乱のなかでスタートした。難しいコンディションとそれによる混乱は、17番グリッドスタートのフェルスタッペンにとってビッグチャンスとなった。1周目に11番手までポジションを上げると、11周目には6番手まで浮上。28周目にバーチャルセーフティカー(VSC)が発動されると、多くのマシンがタイヤ交換のためピットインを行なうなか、フェルスタッペンはステイアウトし2番手を走行する。その後、32周目にクラッシュが発生し、レースは赤旗中断となった。中断中にタイヤ交換ができるためステイアウト組は優位な状況となり、再スタート時にはエステバン・オコン(アルピーヌ)が首位で、2番手にフェルスタッペン、3番手にピエール・ガスリー(アルピーヌ)と上位ポジションは大きく変動。ローリングスタートで34周目からレースが再開されるが、39周目にアクシデントが発生してしまい再びセーフティカーが導入された。
一方で、この混乱によって大きなロスを被ったのが角田だった。レース序盤のレインタイヤでの走行では、3番手をキープする好ペースで周回を重ねたが、タイヤ交換直後の赤旗中断でポジションを失うこととなり8番手になってしまった。
43周目にレースは再開され、直後のターン1でフェルスタッペンはトップのオコンを豪快にオーバテイクし、ついにトップに立った。その後はフェルスタッペンの独走状態となり、実に11戦ぶりの優勝を飾った。逆転タイトルを狙うノリスは6位にとどまり、ポイント差は62に広がった。大波乱のレースを17番手スタートから制したフェルスタッペンは、ついに4連覇に王手をかける状況となった。
レース再開後も8番手からハイペースで追い上げた角田だったが、ポジションを上げることはできなかった。上位車のペナルティで繰り上がり7位となったが、角田にとっては悔しいレースに終わった。そして、チームメイトのリアム・ローソンも9位入賞を果たし、RBはシーズン初のダブル入賞を挙げた。

第22戦ラスベガスGPでらフェルスタッペンは5位でポイントを重ね、タイトル獲得を確定させた。シーズン前半に重ねた勝利と、苦しいレースでも粘り強くポイントを積み重ねた強さによってフェルスタッペンの4連覇は達成された。しかし、レッドブルは前年までのマシンアドバンテージを失い、コンストラクターズ選手権の連覇は果たせず、ランキング3位に終わっている。
© Red Bull Content Pool