2023 Season with Red Bull/AlphaTauri

22戦21勝!F1史上記録更新ラッシュで頂点へ

2023年5月7日
第5戦 マイアミGP

予選9位からフェルスタッペン3勝目
レッドブルは5戦中4度目の1-2

© Red Bull Content Pool

前年、シーズンを圧倒したレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、2023年シーズンもその勢いと無双状態を加速させていった。開幕戦で優勝を飾り、第2戦はチームメイトのセルジオ・ペレスが勝利、第3戦はフェルスタッペン、第4戦はペレスとレッドブルが連勝し、4戦中3戦でレッドブルは1-2フィニッシュを果たすという独壇場だった。

Hondaは2022年にホンダ・レーシング(HRC)の体制を整備し、2輪活動だけでなく4輪モータースポーツ活動をも集約し、Hondaのモータースポーツ活動全般を担う専門会社とした。レッドブル・パワートレインズ(RBPT)との技術提携は現行パワーユニット規定最終年の2025年まで延長され、HRCがこれを行うことが決まっていた。パワーユニットは2022年のホモロゲーションで、パフォーマンス向上に関する開発が凍結されていたが、HRCは信頼性向上の調整や現場でのオペレーションを通してパワーユニットのポテンシャルを最大限に発揮するチューニングを行い、最強レッドブルを支援している。

レッドブルと同じパワーユニットを搭載するアルファタウリは、前年の低迷から復調を図るもマシンの改善は進まず、厳しいシーズン序盤戦が続いた。3年目を迎えた角田裕毅のチームメイトには、ニック・デ・フリースが起用され第4戦では8位入賞を果たしたが、開幕以来苦戦が続いていた。

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チームメイトを突き放す逆転勝利

迎えた第5戦マイアミGPでは、予選で思わぬ事態がフェルスタッペンを襲う。Q3に進出しポールポジションを狙っていたフェルスタッペンは、1回目のアタックでミスし2回目にかけていたところで他車のアクシデントが起きセッションは赤旗中断に。そのまま予選は終了してしまい、ノータイムで9番グリッドからの決勝スタートとなってしまったのだ。一方でペレスはポールポジションを獲得。ペレスは前戦でスプリント&決勝とも優勝を遂げており、チャンピオンシップでも首位フェルスタッペンに6点差まで迫っていた。

1ストップが想定されたこのレースで、後方スタートとなったフェルスタッペンは、多くがミディアムタイヤを選択するなかハードタイヤでのスタートを選択した。ハードタイヤでもミディアム勢のペースに勝るフェルスタッペンは、スタート直後こそ一旦10番手に下がってしまうがオープニングラップのうちにポジションを回復。2周目には8番手に上がり、4周目のストレートで2台をオーバーテイクし6番手。その後も周回を重ねるごとに順位を上げて9周目には4番手に上がると、上位陣のタイヤ交換に入るのを横目に20周目にトップに立った。フェルスタッペンがハードタイヤからミディアムタイヤに交換したのはレース終盤となる45周目。ピットアウト後は代わってトップに立ったペレスの後方についた。

後半ハードタイヤで走り続けたペレスとフレッシュなミディアムを履いたフェルスタッペンとのペースの違いは明らかで、48周目のターン1であっさりペレスをパスして再び首位を奪い、その差を広げてチェッカーフラッグを受けた。フェルスタッペンは予選でのピンチを跳ね返し、シーズン3勝目を挙げた。2位にはペレスが入り、レッドブルは今季4度目の1-2フィニッシュ。だが、ここまでほぼ互角だったペレスとのタイトル争いは、この戦いの後、フェルスタッペン優勢に形勢を変えていく。

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2023年7月30日
第13戦ベルギーGP

開幕12連勝で前半戦折り返し
フェルスタッペン10勝で独壇場

© Rec Bull Content Pool

第6戦エミリア・ロマーニャGPが現地の大雨災害により中止となり、2023年シーズンは全22戦となった。第7戦モナコGPから第12戦ハンガリーGPまでマックス・フェルスタッペンは勝利を重ね7連勝。レッドブルは開幕から負けなしの11連勝で、前半戦の締めくくりとなる第13戦ベルギーGPを迎えた。

スプリントフォーマットで開催されたこのグランプリは、フリープラクティスが金曜日の1回のみ。午前中はヘビーレインに見舞われ、このセッションは各車ともほとんど周回しなかった。天候と路面は午後の予選までに回復傾向となり、Q2からはドライタイヤによるアタックが可能となった。連勝中のフェルスタッペンは、このレースはギヤボックス交換により5グリッド降格が決まっていた。それでも予選Q3では2戦ぶりにトップタイムを叩き出した。翌日はスプリント予選とスプリントが行われ、フェルスタッペンはスプリント予選でトップグリッドを獲得した。ウエットレースとなり、セーフティカー先導で15周のうち5周を消化してレースは11周に。ローリングスタート後にウエットタイヤからインターミディエイトへの交換タイミングでトップに立ったマクラーレンのオスカー・ピアストリをフェルスタッペンは6周目のケメルストレートでパスすると、そのまま危なげなく勝利を飾った。

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フェルスタッペン強し。6番グリッドから逆転8連勝

決勝レースはドライコンディションになった。6番グリッドスタートのフェルスタッペンは1周目に4番手に上がると、6周目、9周目と難なくオーバーテイクを決めて2番手となる。トップを走るチームメイトのセルジオ・ペレスは13周目にタイヤ交換のためピットイン。翌周にフェルスタッペンもピットインし2番手で復帰すると、ペースの違いを見せつけ17周目にペレスをオーバーテイクしてトップに立った。レース中盤は降雨に見舞われたが、フェルスタッペンの優位は揺るぐことなく、最後は2位ペレスに22秒の大差をつけて勝利し連勝を8に伸ばした。

レッドブルの1-2は第5戦マイアミGP以来4度目だったが、レッドブルは実に前半12戦を全勝で終えた。開幕12連勝は1988年マクラーレン・ホンダが樹立した11連勝を超える新記録。そのうちの10勝をフェルスタッペンが挙げており、ドライバーズ・チャンピオン3連覇は早くもほぼ確実となった。

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2023年9月17日
第16戦シンガポールGP

レッドブルがシーズン初黒星
フェルスタッペンの連勝もストップ

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サマーブレイクが明けても勢力図に大きな変化はなく、第14戦オランダGPでマックス・フェルスタッペンは母国グランプリ3連勝を果たすと第15戦イタリアGPでも勝利し、セバスチャン・ベッテルが2013年に記録したシーズン連勝記録を破る新記録の10連勝を果たした。レッドブルの連勝も継続中で、シーズン全勝の気配が漂い始めていた。

しかし、マリーナ・ベイ市街地コースで開催された第16戦シンガポールGPでは、レッドブルは走り出しからそれまでとはまったく違う状況に遭遇した。3回のフリープラクティスはすべてフェラーリがトップタイムをマークし、レッドブル2台はマシンの挙動に苦労し、見慣れた圧倒的なアドバンテージを発揮することができなかった。高速中速コーナーでは圧倒的な速さを見せてきたレッドブルRB19だったが、一方で低速コーナーでのパフォーマンスはあまり高くなく、路面の荒れたストリートコースではバンプや縁石などで挙動が安定しないと言われてきた懸念が一気に噴出したイメージで、予選ではフェルスタッペン11位、セルジオ・ペレス13位と、2台が揃ってQ2敗退という惨敗に終わってしまう。

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それでもレースに向けてレッドブルはセットアップを改善し、ハードタイヤでのロングラン戦略で状況打開を試みる。19周目のセーフティカータイミングでステイアウトし一時的に順位を上げるものの、ピットインしたライバル勢のフレッシュタイヤにペースで対抗できず、終盤にピットインを終えた時には大きく順位を落としてしまう。そこからミディアムタイヤで追い上げたものの、フェルスタッペン5位、ペレス8位が精一杯だった。Hondaが支援するパワーユニットを搭載するマシンで唯一有望だったのは、負傷欠場していたダニエル・リカルドの代役としてアルファタウリからF1デビューしていたリアム・ローソンが、デビュー3戦目となるこのレースで予選Q3に進出し(10位)、決勝でも9位に食い込み初ポイントを挙げたことだった。

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シーズン初黒星を喫したレッドブルの連勝記録は16(前年最終戦から)でストップし、シーズン全勝という前人未到の記録達成は、シンガポールで途絶えた。フェルスタッペンの連勝記録も10で終わったが、3連覇決定目前の状況に変わりはなかった。

2023年11月26日
第23戦アブダビGP

最終戦もフェルスタッペンが制しシーズン19勝
レッドブルは22戦21勝と大記録樹立

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シンガポールで連勝がストップしたレッドブルとマックス・フェルスタッペンだったが、第17戦日本GPでは圧倒的な速さと強さを取り戻して2年連続制覇を果たし、レッドブルはコンストラクターズ選手権2連覇を決めた。第18戦カタールGPでは、スプリントで着実に2位に入りポイントを積み重ねたフェルスタッペンが3連覇を確定。決勝レースでもフェルスタッペンが優勝し、第22戦ラスベガスGPまで6連勝。第22戦ではセルジオ・ペレスのランキング2位も確定し、レッドブル陣営は最終戦を前に完全制覇を成し遂げていた。

シーズン終盤になってレッドブルを追う勢力が台頭し、シーズン前半ほどの圧倒的なアドバンテージは影を潜めつつあった。それでもフェルスタッペンは次元の違う速さを見せ、最終戦でもシーズン12回目のポールポジションを獲得。一方でペレスはトラックリミット違反でタイム抹消され予選9位に終わった。ここで注目を浴びたのはアルファタウリの角田裕毅で、予選自己最高位となる6位を獲得した。前年同様マシンの挙動が安定せず苦しいシーズンを送ってきたアルファタウリだが、シーズン半ばに新体制が敷かれ、徐々にパフォーマンスは向上していた。その成果が最終戦で発揮され、角田は決勝でも果敢に1ストップ作戦を敢行しキャリア初のラップリーダーを経験、そのまま8位入賞を果たした。ドライバー・オブ・ザ・デイも獲得し、このアブダビGPでの好結果をチーム代表を勇退するフランツ・トストに捧げた。

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前人未到の新記録ラッシュ

これまでのシーズンを象徴するように、レースはフェルスタッペンがポールポジションからトップを堅持しての独壇場となり、2回のピットストップタイミングで首位を明け渡す以外は危なげなくトップを快走し優勝。自身の年間最多勝の記録を更新する19勝を挙げ、伝説的なシーズンを締め括った。レッドブルも22戦中21勝という圧倒的な勝利数で年間最多勝の新記録を更新。この年、フェルスタッペンとレッドブルはシーズン最多勝、連勝記録、最高勝率を更新。フェルスタッペンは最多ポール・トゥ・フィニッシュ、ラップリーダーなど多数の新記録を打ち立てた。またフェルスタッペンは年間レース完走率100%、全戦入賞記録もマーク。Honda RBPTH001パワーユニットの高いパフォーマンスと信頼性は、これらの大記録樹立に大きく貢献することができた。

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