第6戦 モナコGP プレビュー戦いの舞台は北米からはヨーロッパへ
幕開けは伝統のモナコGP

ヨーロッパ・ラウンド開幕
2026年シーズンは、序盤中東2戦が中止になる不測の事態となりましたが、オセアニア・アジアから北米での戦いを経て、F1™の本場ヨーロッパへとその舞台を移します。従来はバルセロナがヨーロッパでの初戦となることが多かったのですが、今シーズンは開催時期が特定されるモナコGPが初戦となります。
伝統のモナコGPは、ドライバーにとって特別な大会です。モナコでの勝利は憧れであり、非常に名誉あるものとされ、「モナコGPでの1勝は他のグランプリ3勝の価値がある」と言われるほどです。華やかなで独特の雰囲気はシリーズのなかでも特別なもので、ヨーロッパ社交界の晴れ舞台であり、上流階級やスポンサーのパーティが開かれ、長い歴史を持つ伝統のレースとして「世界3大レース」のひとつとされています。

新規定下でも高い予選の重要性は変わらず
モナコGPの特殊性は、その雰囲気だけではありません。1950年、F1™が始まった当初から、市街地の公道を使ったコースは大きく変わらず、高速化が進んだ現代のF1™においても、ガードレールが迫り、一瞬のミスも許されない難しさをドライバーに突きつけます。そして、現代では追い抜きが極めて難しいコースとなり、レースはスタート順位がすべてを決める状況となっています。

今シーズン、F1™マシンは大きく変貌を遂げました。その新たなマシンがモナコでどのような変化を生み出すかは、大きな注目ポイントです。
車体は小型軽量化し、空力もダウンフォースが低下し、これまでとは大きく変わりました。そしてパワーユニットの電動化が進んだことも、レース展開に影響を与えることが予想されます。特にエネルギーマネージメントは独特の戦略が必要となります。全開区間が極端に短いモナコでは、回生と放出のバランス設定が戦略の勝負のカギとなりそうです。高速コーナーはなく、ブレーキングポイントが多いため、回生量自体は十分ですが、どこで使うかはチーム、ドライバーによって変わってきます。今年は新レギュレーションで初めての戦いなので、チーム、ドライバーはそれぞれ手探り状態で最適解を見つけなければならず、そのプロセスも見どころです。
マシンが小型化し、ダウンフォースが低下したことで、ドライビングは大きく変わることが予想できますが、追い抜きが困難な状況はまったく変わらないでしょう。したがって、予選の重要性は高く、変化したドライビングとエネルギーマネージメントを予選にどれだけ合わせ込めるかが勝敗を左右します。今年も、モナコGP最大の見どころは予選なのかもしれません。

ドライバーの力量を物語る難コース
モナコGPの大きな特徴は、ドライバーの力量が占める割合が大きいことです。極端な低速コースで、コーナーも低中速がほとんどであることから、マシンの戦闘力の差は大幅に縮小され、ドライバーのテクニックと闘志が勝敗を分ける大きな要素となります。
追い抜きが困難なコースで、レースは単調になりがちがことから、昨シーズンは2度のピットインを義務付けるルールが施行されました。ピットインを増やすことで、順位変動の機会を増やすことを狙ったルールでしたが、この機会増を利用してコース復帰のポジションをコントロールし、遅いペースで他車を抑え込む戦略が有効になっていましました。そのためこのルールは1年で廃止されています。
また、モナコGPは時に大波乱の展開を生み出すことでも有名で、その要因のひとつは天候です。予選、決勝で雨模様になると、タイヤ戦略の難しさやアクシデントのリスクが急激に高まり、単調なレースが一転、サバイバルレースになり意外な優勝者や上位者が誕生することがありました。比較的天候が安定した時期に開催されますが、雨が降ると状況が一変することにも注目です。

アロンソの豊富な経験値は大きな強み
Aston Martin Aramco Formula One Team(AMAF1)は、シーズン序盤の混乱から落ち着きを取り戻しつつあります。当初発生したパワーユニットの振動問題はHRC(ホンダ・レーシング)の懸命の努力で対策が進み、振動はほぼ解消されました。また、モナコでの走りに重要なパワーユニットのドライバビリティやエネルギーマネージメントについても、HRCは手応えを感じる向上を遂げています。
マシン全体の競争力はまだ向上が必要な状態ですが、ドライバーの力量が重要なモナコにおいて、フェルナンド・アロンソの活躍に期待が寄せられます。モナコGPで2度の優勝を含め5度の表彰台を獲得している実績を持つアロンソは、モナコでの戦い方を熟知しているドライバーです。今年のモナコGPでのアロンソの走りも、大きな注目ポイントのひとつです。

Honda F1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア 折原 伸太郎のコメント
モンテカルロ市街地サーキットは非常に特殊であり、その特性にPUを適応させるためには、専用の準備が求められます。エネルギーマネジメント最適化に向け、AMR Technology Campusで、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーター(DiL)を使ったセッションを実施しました。
また、低速区間が多いモナコでは冷却面も課題になります。クリーンエア時だけでなく、このサーキット特有のトラフィック下でも安定したPU性能を確保できるよう、Aston Martin Aramco Formula One™ Teamと連携して最適な冷却仕様を追求しています。
今週末は合計3時間のフリー走行が予定されており、エネルギーマネジメントの最適化と、走行プログラムを効率よくこなすことが極めて重要です。また、エネルギーマネジメントはドライバビリティに大きく影響するため、ドライバーからのフィードバックを得ることも最優先事項となります。低速コーナーが連続するモナコにおいて、ドライバーに最大限の自信を持って走ってもらえるようドライバビリティを高めることが、ラップタイム向上につながると考えています。
