第16戦 バーレーンGP in マレーシア プレビュー

バーレーンGPを9年ぶりのマレーシアで開催
2026年F1カレンダーの第4戦に予定されていたバーレーンGPは、世界情勢の悪化により当初のスケジュールから外れ、第16戦に改めて組み込まれました。しかし、状況は未だ安定しておらず、バーレーンGPはマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催されます。中東の大会を東南アジアで開催し、運営の大部分をバーレーンの主催者側が行うという、新たなF1開催のスタイルが実現しました。

セパン・インターナショナル・サーキットは、マレーシアの国策の下で1999年に建設が完了し、1999年から2017年までマレーシアGPが開催されていましたが、現在はF1カレンダーから外れています。ヘルマン・ティルケ設計による近代サーキットの先駆けとも言えるコースと施設は、自然の地形を生かし2本の長いストレートと多彩なコーナーで構成されています。近代的なピットやホスピタリティを併せ持ち、F1関係者からも評価の高いサーキットです。また、マレーシアは東南アジア独特の高温多湿と、スコールの多さという天候上の厳しさでも知られています。10月は乾季から雨季へ変わる時期となり、グランプリウィークも突然のスコールに見舞われるかもしれません。
2本の長いストレートでのバトルに注目
今シーズンのバーレーンGPの舞台となるセパン・インターナショナル・サーキットは、2本の長いストレートと多くの種類のコーナーが配されたバランス型のコースです。高速コーナーや中速S字、ヘアピンがバランス良くレイアウトされ、マシンの総合的な評価に適したコースとして高い評価を得ています。
メインストレートは約900m、スタートラインからは680mで、スタートダッシュ後のポジション争いが見どころです。ターン1とターン2はタイトなS字状の複合コーナーで、セパン最大の特徴であり、ターン1への進入が最大のオーバーテイクポイントとなります。
ターン3はほぼ全開の高速右コーナーで、ランカウイと呼ばれるほぼ直角の右コーナーのターン4は、マシンは急減速を強いられます。また、この先の高速区間でスピードを乗せるために、立ち上がりの加速性能が重要となります。

ターン5、6は高速S字コーナーで、ターン7、8は右複合コーナーとなります。この区間はハイスピードでのコーナリングとなり、マシンのバランスや空力性能が問われるセクションです。ターン9は上り勾配のヘアピンコーナーで、ブレーキング性能や低速からの立ち上がり加速が重要となります。
ターン10からターン13は中速の複合コーナーで、リズミカルなドライビングが求められるとともに、ほぼ全開の12、13ではバランスの良い空力性能が必要です。ターン14はバックストレートでのスピードを伸ばすために、ロスのないドライビングと立ち上がり加速が重要で、バックストレートとメインストレートを繋ぐタイトなターン15も同様です。ターン15もターン同様にオーバーテイクポイントですが、すぐ直後にメインストレートが控えているため再び抜き返される可能性も高く、2本のストレートでのバトルやオーバーテイクは大きな見どころです。

マシンの総合性能が試されるセパン
バーレーンGPのスケジュールと開催地の変更は7月末に発表され、バクーとシンガポールという性格の異なる市街地コースの間に入り、3週連続でのF1開催となりました。これによりは、チームとドライバーの負担は大きいものになりました。また、セパンでは2017年を最後にF1開催がなかったため、世代交代の進む現在のF1では、初めて走るドライバーも少なくありません。
全体的にバランス良くコーナーが配置されていますが、2本のストレートが折り返しで現れることから、エネルギーマネジメントは特に重要で、電力の使い方がラップタイムとオーバーテイクに大きな影響を及ぼすと思われます。
アストンマーティン・アラムコ・F1チームのフェルナンド・アロンソにとって、セパン・インターナショナル・サーキットはとても相性がよく、印象深いサーキットです。アロンソは、セパンで2003年に自身初のポールポジションを最年少記録(当時)で獲得し、2005年、2007年、2012年と優勝を飾っています。厳しい戦いが続くアストンマーティン・ホンダですが、アロンソの活躍に期待の持てる大会と言えそうです。

Honda F1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア 折原 伸太郎のコメント
マレーシアでのF1開催は9年ぶりとなります。新しい国やサーキットでのレースはいつも楽しみです。
今回はアゼルバイジャンGPからの連戦となるため、エンジニア陣は一度英国へ戻り、Aston Martin Aramco Formula One™ Teamと連携しながら、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーション(DIL)を活用してセパンに向けた最終準備を進めてきました。一方、メカニック陣はマシンの整備およびパワーユニットの組み立て作業を行うため、マレーシアへ直接移動しています。
マレーシアは非常に高温多湿な気候のため、冷却性能を確保しながら空力効果を得るための最適なバランスを見極めることが重要となります。
また、高い湿度は燃焼にも大きな影響を与えるため、安定した燃焼とドライバビリティを実現できるよう、現地の条件に合わせたデータセッティングの最適化が、これまで以上に求められます。
