栄光を飾ったマシン

体制刷新により光明を見出したアルファタウリ

2023Scuderia AlphaTauri AT04

シーズン終盤にパフォーマンス向上し連続入賞
名翁フランツ・トストがシーズン終了後に代表を退任

アルファタウリの苦難は2023年も続いた。新レギュレーションによって大きく変わったAT03は、レッドブルとの共用部分を多く持っていたが、そのポテンシャルは予想以上に低く、シーズン成績は低調に終わっていた。AT04は、パフォーマンス改善に向けて刷新されたマシンとはならず、基本的にはAT03をベースにリファインされた進化形として登場した。

ストレートは速く、コーナーではグリップ不足という特徴はAT03から変わらず、パフォーマンス不足が改善されないまま開幕戦を迎える。当然結果は出ずに、チーム代表のフランツ・トストは開幕戦後に空力担当のエンジニアを解任。そして親会社ともいえるレッドブルは4月にチーム体制を刷新することを発表。元フェラーリのローレン・メキースが翌年からチーム代表となり、チームCEOにピーター・バイエルが就任。そしてトストは2023年シーズンいっぱいで勇退することになった。レッドブル・グループからの助言が増え、エンジニアリングスタッフはコーナリング性能を上げるアップデートを精力的に投入し努力を続けたが、多くのアップデートパーツでも根本的な解決には至らず、かえって問題の原因特定を困難にしたと言われている。数多くのトライ&エラーを繰り返し、ようやくシーズン終盤には性能アップの糸口にたどり着き、その後成績が上がり連続入賞できるレベルとなった。

搭載されたパワーユニットは、連勝を続けるレッドブルと同じHonda RBPTH 001で、HRCはレッドブルと平等の対応を続けており、そのパフォーマンスの違いが話題にもなり、チームにとってはそれも大きなプレッシャだった。

アルファタウリは、移籍したピエール・ガスリーに代わってニック・デ・フリースを起用。2019年FIA F2選手権、2020-2021年フォーミュラEでチャンピオンになった実績を持ち、2022年第16戦イタリアG Pでウイリアムズから代打出場した際に9位入賞を果たす快挙を成し遂げた期待の新人だった。しかし、安定しないマシンに苦しみ、結果が出せないレースが続く。角田裕毅も同様で、第3戦オーストラリアGP、第4戦アゼルバイジャンGPと連続して10位入賞を果たすも、シーズン後半まで結果は低迷した。

成績不振を理由にデ・フリースは第11戦イギリスG Pまでの参戦で、事実上更迭されてしまう。代わって第12戦ハンガリーGPから、リザーブドライバーだったダニエル・リカルドが起用され残りのシーズンを戦うこととなった。

AT04のひとつの問題点として、コクピットのサイズがあった。ガスリーの体格をベースに設計されたAT03を引き継いだAT04は、小柄な角田には大きく、デ・フリースには大きすぎた。そしてシーズン途中から起用されたリカルドは大柄で、チームはドライバーの体格に合わせたポジション作りにも苦心させられた。

リカルドは復帰間もなく第14戦オランダGPフリー走行中でのクラッシュにより右手首を骨折し、リザーブドライバーのリアム・ローソンが土曜日から急遽参戦した。ローソンはリカルドが復帰した第19戦アメリカGPまでの5戦を戦い、第16戦シンガポールGPでは9位入賞を果たしている。

マシンのアップデート効果が出始め、アルファタウリはシーズン終盤に連続入賞を果たす。アメリカG Pから最終戦までの5戦で20ポイントを獲得し、コンストラクターズランキングを8位に押し上げることに成功した。

3年目となった角田は23戦中20回完走を果たしたものの、入賞6回、最高位8位と成績は振るわず、マシンに翻弄された悔しいシーズンとなった。しかし、第19戦アメリカG Pでは自身初のファステストラップを記録している。

グラウンドエフェクトカー時代2年目を迎え、ミルトン・キーンズの60%モデル風洞で空力テストが行えたことになり、より空力ソリューションを洗練させてきた。特徴的なのはサイドポンツーン内側を窪ませて、後方に向けてさらにダウンウォッシュを強めたところ。ノーズもより薄くスリムになった。

グラウンドエフェクトカー時代2年目を迎え、ミルトン・キーンズの60%モデル風洞で空力テストが行えたことになり、より空力ソリューションを洗練させてきた。特徴的なのはサイドポンツーン内側を窪ませて、後方に向けてさらにダウンウォッシュを強めたところ。ノーズもより薄くスリムになった。

前年同様フロントサスペンションはプッシュロッドを継続。ノーズダイブを抑えるアッパーアームマウント方式や、ステアリングロッドを前面に出しロワアームとほぼ高さを揃えるなど空力向上のリファインはしてきたものの、やはりリヤセクションとのマッチングがうまく得られず、翌年プルロッド式に。

前年同様フロントサスペンションはプッシュロッドを継続。ノーズダイブを抑えるアッパーアームマウント方式や、ステアリングロッドを前面に出しロワアームとほぼ高さを揃えるなど空力向上のリファインはしてきたものの、やはりリヤセクションとのマッチングがうまく得られず、翌年プルロッド式に。

リヤセクションは第16戦シンガポールGPからレッドブルRB19と同等のものを搭載。これまで悩まされてきたリヤのグリップ不足が一気に解消した。グラウンドエフェクトカーにおけるフロアとサスペンションの関係の重要さを理解したチームは、翌年のマシンで復活の道を切り開くきっかけを掴んだ。

リヤセクションは第16戦シンガポールGPからレッドブルRB19と同等のものを搭載。これまで悩まされてきたリヤのグリップ不足が一気に解消した。グラウンドエフェクトカーにおけるフロアとサスペンションの関係の重要さを理解したチームは、翌年のマシンで復活の道を切り開くきっかけを掴んだ。

シャシー

シャシー AT04
モノコック スクーデリア・アルファタウリ製カーボン・コンポジット・モノコック
フロントサスペンション スクーデリア・アルファタウリ製カーボン・コンポジット・ウィッシュボーン、トラックロッド&アップライト・アッセンブリー、サスペンション・ロッカー、トーションバー&ダンパー
リヤサスペンション レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・ウィッシュボーン、インボードトーションバー&ダンパー
ブレーキダクト スクーデリア・アルファタウリ製(前後とも)
ステアリング スクーデリア・アルファタウリ製パワーアシスト式
ギヤボックス レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・メインケース、縦置き、油圧式8速
ディファレンシャル 油圧式マルチプレート
クラッチ 油圧式カーボン・マルチプレート
エキゾースト レッドブル・パワートレインズ製(Honda)
ブレーキシステム スクーデリア・アルファタウリ/レッドブル・テクノロジー製
ドライバーズシート スクーデリア・アルファタウリ製ドライバー専用カーボン・コンポジット
タイヤ ピレリ製
燃料システム スクーデリア・アルファタウリ製
ホイール BBS製標準マグネシウムホイール
重量 798㎏(ドライバー含む、燃料除く)

パワーユニット

パワーユニット Red Bull RBPTH001
シリンダー数 6(以下レギュレーションに準拠)
排気量 1,600cc
最高回転数 15,000rpm
バルブ数 1シリンダー4バルブ(インレット2、アウトレット2)
バンク角 90度
エンジン重量 150㎏
最高出力 未公表