RB18

Oracle Red Bull Racing RB18

2022
F1新時代の始まりに、ダブルタイトルを獲得

グランドエフェクトカーが復活し、マシンは変貌を遂げる
HRCがテクニカルパートナーとして活動を継承

2021年シーズンでF1活動を終了したHondaだが、レッドブルの要請によりテクニカルパートナーとしてサポートを行うことになった。レッドブルはパワーユニットを自ら製造するために新会社レッドブル・パワートレインズ(R B P T)を立ち上げ、当初はHondaのパワーユニットを技術移転によって製造する計画だったが、製造技術や部品調達など多くの難題を解決することができず自らの製造を断念し、2022年シーズンはそれまで同様にHondaが製造し供給することとなる。しかし、パワーユニット名からHondaの名は消えてRBPTH 001という名称となった。

2022年F1は大きな変革のタイミングであり、レギュレーションの変更により車体は変貌を遂げた。最大の変化は、車体下部のエアロ効果でダウンフォースを発生させるグランドエフェクトカーの復活だった。同時にホイール18インチによるタイヤの大径化やエタノール含有率を高めたE10燃料の採用など、さまざまな変更により環境への配慮やオーバーテイク促進など、レースの醍醐味を高めるとともに時代の流れに沿ったF1へ舵を切ったのである。

新レギュレーションによって大きく生まれ変わったRB18は、チーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウェイが陣頭指揮をとって開発された傑作で、高度に洗練された空力デザインによるダウンフォースの最適化により、ライバルに大きなアドバンテージを得ていた。新車体にはバウンシングと呼ばれるグラウンドエフェクトに起因するマシンの上下動が発生し、挙動の不安定とドライバーへの身体的な負担の大きさが問題視され、各チームはその対策に追われていた。RB18は空力的な優位性と、比較的早い段階でバウンシングを抑える対策に成功し、アドバンテージを拡大して好結果を生み出している。

マシンフォルムの大きな特徴は、サイドポンツーンの大きなアンダーカットと上面が後部なるにつれ下がっていく「ダウンウォッシュ」デザイン。革新的だったこのソリューションは後にほぼすべてのチームが採用し、スタンダードとなっている。

フロントサスペンションにプルロッドを採用したことも特徴のひとつだった。サイドポンツーンアンダーカットへの空力効率向上を狙ったものだが、設計や構造が複雑になるマイナス面が大きく、新車体にプルロッドを採用したのはレッドブルとマクラーレンの2チームのみ。一方リヤサスペンションは長年採用していたプルロッドから、ディフューザーデザインの自由度を得るためにプッシュロッドに変更している。

RBPTH 001は、実際にはRA622Hとも言えるパワーユニットだった。2021年に飛躍的なパフォーマンスアップを果たしたRA621Hをベースに、E10燃料への対応とポテンシャルをさらに引き上げる改良を施した進化版で、その開発製造はHondaのモータースポーツ部門を集約し生まれ変わったHonda・レーシング(HRC)が全面的に行い、デリバリーや現場でのマネージメントなどほぼ前年までの体制と変わらない状態で活動している。

パワーユニットについては、2022年にホモロゲーションを受けた仕様での開発凍結がレギュレーションで決められ、2025年までは性能向上を目的として改良は認められなくなった。Hondaは、活動終了としたもののレッドブルとの関係継続が決まるとRA621Hの改良を行い、現仕様の最終形と言っていいパワーユニットを開発し、2022年シーズンの開幕に送り出している。

そして、シーズン中にHondaはレッドブルとの提携関係の延長を発表。当初2022年限りとしていたパワーユニットの供給を2025年シーズンまでHRCが続けることとなった。

新たな車体によるさまざまなトラブルや不具合が各チームを悩ませるシーズンとなったが、レッドブルはRB18とRBPTH 001のアドバンテージと、2021年に初のチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペンの成長により、圧倒的と言っていい成績を収め続けた。フェルスタッペンは年間17勝を挙げ、2年連続チャンピオンを獲得。セルジオ・ペレスも2勝を挙げ、22戦中19勝を成し遂げたレッドブルが、2位のフェラーリに200ポイント以上の差をつけ2013年以来のコンストラクターズチャンピオンに輝いた。

バーレーン・プレシーズンテスト1回目に姿を見せたRB18。まだサイドポンツーンに段差はなく、アンダーカットの抉れも大きい。あまり目立たないが、ここから細かくアップデートを続け、空力効率のベストを探り当てた。またデビュー当初はオーバーウェイトも課題で、軽量化も積極的に行われた。

バーレーン・プレシーズンテスト1回目に姿を見せたRB18。まだサイドポンツーンに段差はなく、アンダーカットの抉れも大きい。あまり目立たないが、ここから細かくアップデートを続け、空力効率のベストを探り当てた。またデビュー当初はオーバーウェイトも課題で、軽量化も積極的に行われた。

最終戦アブダビGP仕様。サイドポンツーンのアンダーカットは小さくなり、フロア先端は前方に広げられ、シーズン当初はフロアフェンス内に収まっていたサイドインパクトバーがフロア上面の波打ち形状として確認できる。またリヤタイヤ前のフロアエッジはシーズン中にさまざまな形状が試された。

最終戦アブダビGP仕様。サイドポンツーンのアンダーカットは小さくなり、フロア先端は前方に広げられ、シーズン当初はフロアフェンス内に収まっていたサイドインパクトバーがフロア上面の波打ち形状として確認できる。またリヤタイヤ前のフロアエッジはシーズン中にさまざまな形状が試された。

フロントサスペンションをプルロッド式に変更。フロア先端とサイドポンツーン・エアインレットに向かう空気流がうまく避けるようなレイアウトだ。またリヤロワアームにも少し空力効果を持たせ、そこへ導く空気流も極力阻害しない。新世代マシン初年度から細部までこだわった仕上がりを見せていた。

フロントサスペンションをプルロッド式に変更。フロア先端とサイドポンツーン・エアインレットに向かう空気流がうまく避けるようなレイアウトだ。またリヤロワアームにも少し空力効果を持たせ、そこへ導く空気流も極力阻害しない。新世代マシン初年度から細部までこだわった仕上がりを見せていた。

シャシー

シャシー RB18
モノコック 未発表
フロントサスペンション 未発表
リヤサスペンション 未発表
トランスミッション 未発表
ホイール BBS製
ブレーキキャリパー ブレンボ製
タイヤ ピレリ製
エレクトロニクス 未発表
燃料 エッソ・シナジー
規定最低重量 798㎏(うちドライバー分80kg/燃料は除く)

パワーユニット

パワーユニット Red Bull Power Trains RBPTH001
パワーユニットコンポーネント ICE(内燃エンジン)/TC(ターボチャージャー)/MGU-K/MGU-H/ES(エネルギー貯蔵装置)/CE(コントロールユニット)
シリンダー数 6(以下レギュレーションに準拠)
排気量 1,600cc
最高回転数 15,000rpm
バンク角 90度
バルブ数 24
最大回転数 15,000rpm
最大燃料流量 100kg/時(10,500rpm)
燃料搭載量 105kg
燃料噴射方式 直噴(1シリンダーあたり1噴射器、最大500bar)
過給機 同軸単段コンプレッサー、タービン
燃料、潤滑油 エクソン・モービル製
エンジン規定最低重量 150㎏
エネルギー回生システム
機構 モーター・ジェネレーター・ユニットによるハイブリッド・エネルギー回生。MGU-Kはクランクシャフトに、MGU-Hはターボチャージャーに接続
エネルギー貯蔵装置 リチウムイオンバッテリー(重量20~25kg)。1周あたり最大4MJを貯蔵
MGU-K

最大回転数
50,000rpm

最大出力
120kW

最大回生量
1周あたり2MJ

最大放出量
1周あたり4MJ

MGU-H

最大回転数
125,000rpm

最大出力
無制限

最大回生量
無制限

最大エネルギー放出量
無制限