栄光を飾ったマシン

新規定マシンへの移行で停滞し、チームランキングはダウン

2022Scuderia AlphaTauri AT03

コーナーでのグリップ不足が頻発し成績は低迷
2年目を迎えた角田裕毅には試練のシーズンに

日本人レギュラードライバーとして2年目を迎えた角田裕毅の成長と、Honda製パワーユニットを引き続き使用することによってアルファタウリへの期待は高まったが、結果的に新レギュレーションに合わせて全面的にモデルチェンジされたAT03は、多くの問題を抱え、またその克服も進まずに残念なシーズンを送ることとなった。

AT03はレッドブルR18と共通するコンポーネントを多用し、グラウンドエフェクトフロアに合わせてリヤサスペンションとギヤボックスはレッドブルと共通部品を使用しながらも、フロントサスペンションは前年同様プッシュロッドを継続使用するなど、独自性を除かせてはいたが、成功したRB18にはまったく及ばないパフォーマンスが続きドライバーを苦労させた。特に全体的にダウンフォース発生量が足らず、コーナリング時のグリップや安定性、タイヤの消耗などが問題点だった。反面、ストレートスピードが唯一の武器となり、シーズン最速記録となる時速360kmを角田が第14戦ベルギーGPの最終ラップにマークしている。また、バウンシングについては他チームが克服に苦心するなか、AT03は早々にアップデートで対策することに成功している。

グラウンドエフェクトカー初年度に多くのチームが抱えていオーバーウエイト問題は、AT03でも影響が大きく、予選でタイムが伸び悩んだ原因とされている。オーバーウエイトはレッドブルも同様に持つ問題点であったが、高い空力性能でそれを克服したレッドブルと、空力面で及ばないアルファタウリには圧倒的なパフォーマンスの差が生じてしまった。レースではグリップ不足によりタイヤの保ちが悪く、ポジションを落とすことが多かった。信頼性不足によるトラブルも多く、度々投入されたアップデートもその効果は散発的で、マシンの根本的な改善には繋がらなかった。

Hondaが供給を継続したパワーユニットは、従来通りレッドブルの2台を含めて4台平等に扱われ、レッドブルが圧倒的な強さを見せつけたことでNo.1パワーユニットと認識されていた。それを搭載しながらも、この年の獲得ポイントは35にとどまり、コンストラクターズランキングは前年の6位から9位に順位を落としている。

2年目の成長を見せるチャンスだった角田にとっても厳しいシーズンとなった。安定しないマシンに苦しみ、序盤6戦で3回の入賞を果たしたものの、以降第19戦アメリカGPまで入賞はなく、最高位は第4戦エミリア・ロマーニャGPの7位に終わっている。チームメイトのピエール・ガスリーにとってもフラストレーションの溜まるシーズンだった。6回の入賞を果たし、最高位は第5戦アゼルバイジャンGPでの5位だが、マシンへの苛立ちかペナルティポイントを受けることが多く、シーズン終盤には出場停止が危ぶまれる状況となっている。ガスリーはこのシーズン限りでアルファタウリを離れ、2023年にアルピーヌへの移籍を発表、トロロッソ時代から5年在籍したチームに別れを告げた。

プッシュロッド式リヤサスペンションとギヤボックスケーシングを含むリヤエンドをレッドブルから供給され、効率よくグラウンドエフェクトカー初年度を迎えることができたAT03。だがフロントセクションは前年と同じくプッシュロッド式のままで、フロント部のエアロ効率の悪さに苦戦してしまった。

プッシュロッド式リヤサスペンションとギヤボックスケーシングを含むリヤエンドをレッドブルから供給され、効率よくグラウンドエフェクトカー初年度を迎えることができたAT03。だがフロントセクションは前年と同じくプッシュロッド式のままで、フロント部のエアロ効率の悪さに苦戦してしまった。

開幕当初はフロントウイングの中央部にノーズが潜り込むようなデザインだったが、終盤戦にはノーズをベースウイングの上に出し、シルエットも細身に改良。フロントウイング形状はトロロッソSTR14のような「への字」型を採用。ノーズ下のフロントウイングは地面に対してほぼフラットにした。

開幕当初はフロントウイングの中央部にノーズが潜り込むようなデザインだったが、終盤戦にはノーズをベースウイングの上に出し、シルエットも細身に改良。フロントウイング形状はトロロッソSTR14のような「への字」型を採用。ノーズ下のフロントウイングは地面に対してほぼフラットにした。

サイドポンツーン開口部はスクエアで、その形状のまま後方に向けて下げられていく手法をとる。フロア前半から空気を吐き出すサイドディフューザーデザインもシンプルで、ダウンフォース発生量はおのずと少なく見受けられる。そのぶん、ストレートスピードは新世代F1のなかではピカイチ。

サイドポンツーン開口部はスクエアで、その形状のまま後方に向けて下げられていく手法をとる。フロア前半から空気を吐き出すサイドディフューザーデザインもシンプルで、ダウンフォース発生量はおのずと少なく見受けられる。そのぶん、ストレートスピードは新世代F1のなかではピカイチ。

シャシー

シャシー AT03
モノコック スクーデリア・アルファタウリ製カーボン・コンポジット・モノコック
フロントサスペンション スクーデリア・アルファタウリ製カーボン・コンポジット・ウィッシュボーン、トラックロッド&アップライト・アッセンブリー、サスペンション・ロッカー、トーションバー&ダンパー
リヤサスペンション レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・ウィッシュボーン、インボードトーションバー&ダンパー
ブレーキダクト スクーデリア・アルファタウリ製(前後とも)
ステアリング スクーデリア・アルファタウリ製パワーアシスト式ラック&ピニオン
ギヤボックス レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・メインケース、縦置き、油圧式8速
ディファレンシャル 油圧式マルチプレート
クラッチ 油圧式カーボン・マルチプレート
エキゾースト レッドブル・パワートレインズ製(Honda)
ブレーキシステム スクーデリア・アルファタウリ/レッドブル・テクノロジー製
ドライバーズシート スクーデリア・アルファタウリ製ドライバー専用カーボン・コンポジット
タイヤ ピレリ製
燃料システム スクーデリア・アルファタウリ製
ホイール BBS製標準マグネシウムホイール
重量 795㎏(ドライバー含む、燃料除く)

パワーユニット

パワーユニット Red Bull Power Trains RBPTH001
シリンダー数 6(以下レギュレーションに準拠)
排気量 1,600cc
最高回転数 15,000rpm
バルブ数 1シリンダー4バルブ(インレット2、アウトレット2)
バンク角 90度
エンジン重量 150㎏
最高出力 未公表