
予選・スプリント予選の基本
予選
プライドをかけ純粋な速さを競うセッション
F1の予選は、レースのスターティングポジションを決めるためのタイムトライアルです。また、1周における最速を決める戦いでもあり、チーム、パワーユニット(PU)マニュファクチャー、そしてドライバーにとって、その能力とプライドをかけた重要なセッションとなります。
通常予選はQ1、Q2、Q3の3セッション行われ、順位によって脱落するノックアウト方式が採られています。22台が参加する2026年シーズンは、Q2に進出できるのは16台、Q3進出は10台です。予選時間はQ1が18分、Q2が15分、Q3が13分で、セッション中に赤旗中断となった場合、時間計測はストップします。

予選ではセッションごとに2セットのタイヤを使い、2回のタイムアタックを行うのが一般的な戦い方です。セッション後半から終盤にかけて路面のコンディションが向上するので、多くのドライバーはなるべく遅いタイミングでアタックをしようとします。しかし、同じようなタイミングを狙うマシンでコース上が混雑するので、他車に影響されないクリアラップをとることが難しくなるほか、アクシデント発生によるイエローフラッグや赤旗中断などで、アタックが不発となるリスクが高まります。そのため、最後のアタックにかけたトップドライバーが、ラップの中断を余儀なくされてQ1やQ2で脱落するなど、予選下位に沈むこともあります。

予選におけるチームの重要な役割は主にふたつです。
まずは最速ラップを叩き出すマシンに仕上げることです。予選は搭載燃料量、エネルギーマネージメント、タイヤ選択など、決勝レースとはまったく違った状況でマシンをコースに送り出すことになります。当然、適切なタイヤの温度管理やドライビングのフィーリング変化など、予選ならではのものが求められるため、チームはフリー走行の間に予選向けのセットを確認し、データを収集しなければなりません。
もうひとつは最適なアタックの機会を見極めて、適切なタイミングとポジションをドライバーに指示することです。ウォームアップ周回のタイミングと他車の動向をドライバーに無線で伝えながら、クリアラップでアタックを完遂するためのサポートは欠かせないものです。特に、天候や路面の変化が著しい場合は、ドライバーへのアドバイスが重要になります。セッション終了ギリギリのアタックを狙ったものの、アタックラップに入る直前にチェッカーフラッグが振られ、計測できずに終わるシーンが見られることもありますが、これはチームの判断ミスによって起きることがほとんどです。

スプリント予選
セッション時間が短く、戦略も限定される
土曜日にショートレースのスプリントを行うスプリントフォーマットの大会では、グランプリ初日の金曜日にスプリント予選が行われます。スプリントはタイヤ交換義務がなく、走行距離も短いため、上位を狙うためには予選で好グリッドを得ることが必要不可欠です。

通常予選との違いはセッション時間が短いことで、SQ1が12分、SQ2が10分、SQ3が8分に設定されています。通常予選同様のノックアウト方式で行われますが、時間が短い分、アタックのタイミングや戦略的な選択肢はより限定的なものとなります。また、スプリント予選特有の使用タイヤが限定されるルールは、ドライバーのテクニックが強調される要素と言えるでしょう。タイヤはSQ1、SQ2が新品のミディアムタイヤ、SQ3がソフトタイヤを使用と規定されています。SQ3のソフトタイヤは新品か中古かを自由に選択できます。チームはレースで使用するタイヤ戦略を考慮しながら、新品タイヤの使いどころを決めることになります。

予選の見どころは、なんと言ってもセッション最終盤のラストアタックによって目まぐるしく順位が変わることです。時に1000分の1秒を争うアタックラップによって、ノックアウトの戦いやポールポジション争いが展開されます。セッション終了のチェッカーフラッグが振られた後、最速タイムを狙ったマシンがコントロールラインを通過する瞬間は目を離すことができず、これこそ予選の醍醐味と言えます。
