
HRC トラックサイド・ゼネラルマネージャー
折原伸太郎インタビュー
2026年、アストンマーティンアラムコF1との新たな挑戦
Feb 4, 2026新シーズン解説
2003年に四輪エンジンのベンチテストエンジニアとして入社した折原は、幼少期に母国日本でHondaエンジンを搭載したF1マシンをテレビで見て感銘を受けた。10年間、量産車プロジェクトに従事した後、折原は2013年にレース部門へと転身し、その過程で渡英。2023年にはパワーユニット(PU)チーフエンジニアに就任し、Oracle Red Bull RacingおよびVisa Cash App Racing Bullsのプロジェクトをサポート。2026年はHRC F1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアとして、Aston Martin Aramco Formula One™ Teamをサポート。
- 数十年Hondaに勤務されていますが、そもそもなぜHondaに入社したいと思ったのですか?
- 中学生の頃、テレビでF1を見ていて特に際立っていたのが、Hondaエンジンを搭載したマクラーレンのマシンでした。その瞬間から、Hondaに入り、この素晴らしいスポーツの一部になりたいと思うようになりました。
2003年に入社し、最初の10年間は量産車プロジェクトに携わりました。それでもF1への愛と情熱は消えることなく、努力が実を結びました。2013年にレース部門へ異動し、夢を叶えることができたのです。
この間、F1エンジニアリングの極意を学び、激しい逆境の時も経験しましたが、最終的には栄光の思い出や素晴らしい時間を過ごすことができました。HondaとF1は私の人生の一部であると、自信を持って言えます。
- F1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアとしての責任について教えてください。
- 私の役割は多岐にわたりますが、最終的にはサーキットにおけるパワーユニット(PU)に関する最終決定を下すことです。また、管理職の視点からHonda Racing Corporation(HRC)の全トラックサイドメンバーを統括し、PUの準備状況を確認します。
レースに向けて出発する前に、日本のSakura(HRC Sakura)にいる同僚と一連の会議を行い、状況確認とイベントに向けた計画を立てます。通常、週の初めに移動し、サーキット到着時にメンテナンス後のエンジン状態を確認できるようにします。現場ではエンジニアと共に週末に向けた計画の微調整を行い、コンディションに応じた選択肢やシナリオを評価します。その後、Aston Martin Aramco Formula One™ Teamのエンジニアとミーティングを行い、細部に至るまで確認し合い、完全な統合を図ります。
セッションが始まると、マシンのPU操作は主に他のHondaスタッフが行います。私の仕事は、全体像と状況を俯瞰することです。私が判断を下し、無線を通じてチームとコミュニケーションを取ります。
一日の終わりには、現場およびSakuraのコントロールルームにいる同僚と内部のPUミーティングを行います。何が起きたかを振り返り、問題が発生した場合は対策を講じます。その後、チームに報告・協議し、認識の統一を図ります。
- Aston Martin Aramco Formula One™ Teamは、HondaのF1活動における重要なパートナーです。彼らとはどのような仕事をし、何を目標としているのでしょうか?
- 2026年は、私たちがサーキットでアストンマーティン・アラムコと共に学ぶ最初の年となります。パートナーシップ自体は2023年に発表されましたが、これまでは全て理論とシミュレーションに基づいて進められてきました。そのため、テストに対する期待は非常に大きいです。
したがって、第一の目標は、現場における両者の基礎的な関係を構築することです。そして第二に、走行距離(マイレージ)を重ねてデータを収集し、RA626HパワーユニットがAMR26という車体でどのように機能するかを理解することです。
- バーレーンでのF1®公式テストを前に、どのような思いですか?
- 正直なところ、待ち遠しかったです。長年の開発と努力が、ここで結実するのですから。Sakura、HRC UK、そしてアストンマーティン・アラムコは、開発、計画、そして製造のために休むことなく働き続けてきました。
バルセロナでのシェイクダウンは、私たちの関係における極めて重要な瞬間であり、正しい方向への大きな一歩となりました。次の目標は、我々のパワーユニットで走行距離を重ね、エンジンの信頼性を確認し、すべての機能をチェックすることです。
車体とパワーユニットがひとつのマシンとしてどのような挙動を見せるか、楽しみにしています。
キャリア概要
- ・2003年
- 株式会社本田技術研究所(栃木)入社。四輪エンジンベンチテストエンジニア
- ・2013年
- HRD F1プロジェクト(Sakura)、ベンチテストエンジニア
- ・2014年
- HRD F1プロジェクト(ミルトンキーンズ)、PUファクトリーマネージャー
- ・2018年
- HRC F1プロジェクト(Sakura)、PUテストチームリーダー
- ・2022年
- 株式会社ホンダ・レーシング(Sakura)、テストチームリーダー
- ・2023年
- 株式会社ホンダ・レーシング(F1活動)、PUチーフエンジニア
- ・2025年
- 株式会社ホンダ・レーシング、F1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア