ASIMO
ASIMOは、周囲の人の動きに合わせて自ら行動する「判断」能力を備えたことによって、これまでの「自動機械」から「自律機械」へと進化しました。
Hondaは、自律機械としてのロボットに必要な要素を3つに定め、これらを実現する技術を開発しました。
<Hondaが定めた自律機械としてのロボットに必要な要素>
1. とっさに足を出して姿勢を保つ「高次元姿勢バランス」
2. 周囲の人の動きなどの変化を複数のセンサーからの情報を総合して推定する「外界認識」
3. 集めた情報から予測して、人の操作の介在なしに自ら次の行動を判断する「自律行動生成」
これらの能力が備わったことで、ASIMOは人と共存する環境下での実用化に近づきました。
基本仕様
2011年11月時点
サイズ | 身長 | 130cm |
---|---|---|
幅 | 45cm | |
奥行 | 34cm | |
重量 | 48kg(従来比 -6kg) | |
性能 | 最大速度 | 9km/h(従来 時速6km) |
稼働時間 | 40分(歩行時)※自動充電機能により連続稼働が可能 | |
関節自由度 | 頭部 | 3 |
腕部 | 7×2 | |
手部 | 13×2 | |
腰部 | 2 | |
脚部 | 6×2 | |
合計 | 57自由度(従来比 +23自由度) |
ASIMOの主な技術
知的能力の進化
人間の視覚や聴覚、触覚などに相当する各種のセンサー入力情報を総合的に判断し、周囲の状況推定や、ロボットの対応行動を決定する知能化の基盤技術となるシステムを開発しました。この技術により、ASIMOは行動の途中であっても、相手の反応に応じて別の行動に変更したりなど、人の動きや状況に合わせた応対が可能となりました。さらに、視覚センサーと聴覚センサーを連動させ、顔と音声を同時に認識することで、人間では難しい、同時に複数人の発話を聞き分けることを可能としました。
他にも、空間センサーからの情報に基づいて、人の歩く方向を数秒先まで予測して、自らの移動予測位置と衝突する場合は、別の経路を瞬時に生成して歩くことなどが可能となりました。
音声同時認識 複数の人が同時に発話した内容を認識
人混在移動 動いている人を避けながら歩行する
お客様の対応 出迎え、誘導~作業実行中の対応-1
お客様の対応 出迎え、誘導~作業実行中の対応-2
身体能力の進化
ASIMOは、脚力のアップや脚の可動範囲を拡大したことに加え、動作中に着地位置を変更できる制御技術を取り入れたことで、歩行や走行、バック走行、片足ジャンプ(ケンケン)、両足ジャンプなどを連続して行えるようになりました。
この技術によって俊敏に動けるようになった結果、凸凹のある路面でも安定姿勢を保って踏破するなど、変化する外部の状況に柔軟に適応できるようになりました。
9km/hの走行
凹凸踏破
ボールキック
繋ぎ目のない動作変更
高速度カメラによる映像 9km/hの走行
高速度カメラによる映像 片脚ジャンプ
高速度カメラによる映像 片脚ジャンプ移動
高速度カメラによる映像 片脚ジャンプ旋回
高速度カメラによる映像 両脚ジャンプ旋回
高速度カメラによる映像 ボールキック
作業機能の向上
手のひらに接触センサーを、また5指それぞれに力センサーを内蔵し、各指を独立して制御する高機能小型多指ハンドを開発しました。ASIMOでは、視覚と触覚を合わせた物体認識技術と組み合わせることで、例えばビンを手に取ってふたをひねる、液体が注がれる柔らかい紙コップを潰さずに把持するなどの器用な作業を行うことが可能となりました。
他にも、複雑な指の動きを必要とする手話表現も可能となりました。