Hondaは、国産の持続可能な航空燃料（SAF※1）の商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」に2023年8月に加盟しました。
ACT FOR SKYは、日本国内におけるSAFの商用化および普及・拡大のために「ACT＝行動を起こす」意志を持つ企業が連携し、SAFやカーボンニュートラル、資源循環の重要性を訴えながら、社会・企業の意識変革を通じて行動変容につなげていくことを目指しています。
Hondaは、今回の加盟により、他の参加メンバー企業との連携を含め、SAFの普及・拡大に向けた活動を一層強化していきます。
Hondaは、サステナブルな社会の実現に向けて、2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを全社目標として掲げています。航空領域では、ガスタービンと電動化技術による環境にやさしい新たなパワーユニットの開発に加え、化石燃料に代わるカーボンニュートラル燃料およびCCUS※2技術の活用に関する研究を行っています。独自の取り組みに加え、企業や団体との連携を図りながら技術を進化させ、実用化していくことでカーボンニュートラルの実現を目指していきます。
※1 Sustainable Aviation Fuel
※2 Carbon Capture, Utilization and Storage。大気中に排出されたCO2をエネルギー資源として循環活用する技術
HondaにおけるSAFの取り組み
Hondaは、SAFに関して「ルール化」「使う」「つくる」の3つの観点で取り組んでいます。
■SAFのルールをつくる
Hondaは、SAFの安全性を評価し規格化の支援を行う国際団体（FAA※3／OEM Review Panel）に2022年6月より加入しており、SAFの安全性担保と普及に向けて活動しています。
航空機および航空エンジンを開発・製造する立場から、新たに開発されたSAFについて他の参加企業とともに各種試験データのレビューを通じて安全性を評価し規格化を支援しています。
■SAFを使う
Hondaとゼネラル・エレクトリック社（GE）による合弁会社であるGE Honda エアロエンジンズは、将来100％のSAFを使用できるようになる時に備え、現在最も普及しているHEFA-SPK※4と呼ばれるSAFを100％使用したHF120ターボファンエンジンの試験を行い、成功しています。SAFの利用は、米国試験協会（ASTM International※5）による認可制となっており、現在は、既存ジェット燃料へSAFを混合できる割合は最大50％に制限されています。Hondaは、アルコールから製造するATJ-SPK※6と呼ばれるSAFを100％使用した試験も実施し、エンジン性能への影響を評価しています。
また、エンジンの開発のために研究所で行う試験においても、SAFを積極的に使用し、研究開発活動における二酸化炭素排出低減にも取り組んでいます。
■SAFをつくる
Hondaは、二酸化炭素と水素から燃料を直接合成する製法によるSAFの研究開発に取り組んでいます。SAFの実用化の可能性を探るべく、二酸化炭素から燃料への変換ロスを抑え、効率的に燃料を合成する触媒研究など、さまざまな研究開発に取り組んでいます。
Federal Aviation Administration、米国連邦航空局
Hydroprocessed Esters and Fatty Acids Synthetic Paraffinic Kerosene。動植物由来の油を水素化処理して合成される航空用燃料。既存の石油精製設備で製造でき、現在、最も普及しているSAFの一種
American Society for Testing and Materials International
Alcohol to Jet Synthetic Paraffinic Kerosene。穀物などを原料としたアルコールから製造される航空用燃料
■参考情報
Honda Stories：航空領域でのカーボンニュートラルへの挑戦
https://global.honda/jp/stories/058/
Honda、持続可能な航空燃料の評価団体へ加入
https://global.honda/jp/news/2022/c220623.html
GE Honda、持続可能な航空燃料（SAF）を100%使用した航空エンジン「HF120」の試験に成功
https://global.honda/jp/topics/2022/c_2022-10-18.html
Honda、SAFを100%使用した「HF120」のエンジン試験を日本で実施
https://www.honda.co.jp/aeroengine/releases/20230920/