第3期F1参戦に際しギヤボックスの開発に着手した.常時噛合い式7段変速のレギュレーション内で最大限競争力を向上させるためにはシフト時間の短縮が有効である.通常の変速プロセスは前段アウトギヤ,ニュートラル,そして次段インギヤだが,本開発のシームレスシフトは,次段インギヤ,前段アウトギヤとすることでアップシフト時の伝達トルク損失時間ゼロのシフトを実現した.通常このプロセスの場合,共噛みによる破損に至るが従来の機構とロック機能を付加したワンウェイクラッチを組み合わせ,共噛みを回避すると同時に減速トルク伝達にも対応した.この機構をギヤハブとメインシャフトの間に配置し選択的にワンウェイクラッチを使うことと,エンジンとの協調制御により,全段シームレス化を実現した.その結果1ラップあたり0.4秒の短縮を達成し,F1業界初の機構として2005年からレースに投入した.また,シームレス機能を確保しながら,シフトフォーク,シフトリングを廃止し,ギヤ選択機構をメインシャフト内に収めることで全長短縮と軽量化を実現するシフト機構の開発についても紹介する.
Honda R&D Technical Review F1 Special (The third Era Activities) 収録 (112 - 117)