4ストロークエンジンを搭載したトライアル競技専用二輪市販車RTL250Fでは,軽量化のためにエンジン始動方式にキック始動可能なバッテリレスシステムを採用した.燃料噴射制御システムの中心となるECUには小型モータサイクル用に開発されたスロットルボデー一体型を流用した.燃料噴射制御システムを起動するための電力はキックスタータ操作時に発生するACジェネレータの起電力を用いている.トライアル二輪車に要求されるドライバビリティや微妙なスロットル操作と急激なスロットル操作の使い勝手を考慮した新たな制御システムを採用した.この制御システムは運転状態に応じた燃料噴射量と噴射タイミングを決定するために1回の燃焼行程に対して2回演算し燃料の吹き終わり位置を調整するロジックを有している.以上により,トライアル競技専用車としてのドライバビリティ向上を達成している.さらにユーザがECU内のデータを自由にセッティングできる機能を備えている.
Honda R&D Technical Review Vol.18 No.2 収録 (67 - 74)