成熟した日本の50 ccスクータカテゴリ市場において,既存ユーザの期待に応えると同時に,エントリーモデルとしての魅力も備えた,新たなスタンダードスクータの開発が求められていた.市場調査におけるお客さまの声からは,特定の特徴や個性を持たせるよりも,使い勝手の向上につながる柔軟性が重視されると考察された.すなわち,それぞれのユーザがベストなパートナとして使用できるニュートラルなモデルが求められているということであった.そこで,キーワードを「安心感」と定め,装飾的ではなく,機能や使い勝手から来る必然的なスタイリングデザインの創出を目指した.また,Hondaにとって初の50 ccスクータである初代Tactと,本モデルが目指すものが一致していたことから,ネーミングもTactが選択された.それにより,多くのマスコミからも取り上げられることとなり,ユーザや販売店にも,モデルのコンセプトをストレートに伝えることができた.ユーザの好みや持ち物に合わせて選択可能なカラーリングも含め,ユーザの良きパートナとして,生活を便利に,快適にサポートできるモデルに仕上げることができた.
Honda R&D Technical Review Vol.28 No.1 収録 (113 - 120)