HondaモータサイクルのグランドツアラモデルであるGold Wingは,走りの快適性とスポーツ性の両面をバランスさせ高い評価を得てきた.2018年モデルGold Wing GL1800では,その両面を正常進化するだけでなく,スポーツ走行,郊外路走行,雨天走行などの走行シーンにおいても,さらに意のままに操れる特性をライダに提供することで,ライダが享受できる性能領域をより拡大することを目指した.それを実現するためには,出力応答特性など多くの要素を変更させる必要がある.しかし,変更する要素を増やした場合,ライダがそれらの要素を組み合わせて走行シーンに適した設定に合わせ込むことは容易ではない.そこで,本モデルでは,市販二輪車初となる(Honda調べ)五つの要素(出力応答特性,駆動力特性,変速特性,サスペンションの減衰力特性,ブレーキの前後制動力配分特性)を統合制御したシーン別ライディングモードを確立した.これにより,ライダがそれぞれのシーンでさらに意のままに操れる走り特性の提供をおこなうことを実現した.
Honda R&D Technical Review Vol.30 No.2 収録 (36 - 43)