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9代目ACCORD(2013年) – 2モーターハイブリッドシステム、SPORT HYBRID i-MMD
2013年にフルモデルチェンジされた9代目ACCORDには新しい2モーターハイブリッドシステム「i-MMD」が採用。i-MMDはe:HEVへと進化していく
2013年6月にフルモデルチェンジし9代目になったACCORD(アコード)は、磨き抜いたセダンの本質と革新的なハイブリッドシステムを掛け合わせることで、電動化時代の新たな調和を生み出しました。当時のプレス資料には、開発責任者がACCORDに込めた想いが次のように記されています。
「走る、曲がる、止まる。クルマの走行の基本となるすべてがドライバーの操作に対してリニアで、乗り心地や静粛性に優れ、日常走行からロングドライブまで、あらゆるシーンの移動を存分に楽しむことができる──。ACCORDが歴史の中で求め続けてきたその魅力を、革新的なまでに高めるにはどうするべきか。私たちは、このクルマを構成する要素を徹底的に磨き上げるとともに、パワープラントの『電動化』を手段として選択し、開発に取り組みました」
モーター駆動により低燃費と爽快な走りを両立させるi-MMDは、2つのモーターを用いる。2つ見えるモーターのうち右が発電用、左が駆動用モーター
アッパーミドルセダンのACCORDにふさわしいハイブリッドシステムとしてさまざまな可能性の中から最後に辿り着いたのが、「SPORT HYBRID i-MMD」です。低速から高速までの全域でモーターが車輪を駆動し、エンジンでの駆動は高速クルージング時に限定するこのシステムは、高い環境性能を実現。同時に、エンジンとトランスミッションを用いる限りは実現しなかった滑らかさと力強さを両立した走りをつくり出しました。前例のないシステムだけに開発には困難を伴いましたが、Hondaがそれまで培ってきた電動化技術を結集させることで狙いの性能を達成しています。
SPORT HYBRID i-MMDは、発電用モーターと走行用モーターの2つのモーターを備える、いわゆる2モーターハイブリッドですが、メカニズムは当時、世にあった既存のものと大きく異なります。発電用モーターはエンジンと、走行用モーターは駆動軸とそれぞれ直結。加えて、高速クルージング時にエンジンの動力を車輪へ直接伝えるエンジン直結クラッチをユニット内にコンパクトに配置。動力をミックスさせるための複雑な機構やトランスミッションなどの変速機構は存在しません。シンプルなメカニズムゆえにエネルギーのロスが少なく、燃費性能、走行性能を向上させることが可能なHonda独自のシステムです。このSPORT HYBRID i-MMDの搭載により、ACCORD HYBRIDは極めて高いエネルギー効率を実現し、ゆとりのボディサイズを持つアッパーミドルセダンながら、JC08モード※1で30.0km/Lという軽自動車トップクラス並み(当時)の低燃費を実現しました。さらに、回転し始めた瞬間から最大トルクを発生させるモーターの特性を活かすことで、従来のセダンでは味わえない力強い加速の立ち上がりと滑らかな加速特性を提供。静粛性にもこだわり、快適性を向上させました。
9代目ACCORDでは、「燃費が良くなるブレーキ」として、従来型の油圧ブースター式にかえて電動サーボブレーキシステムを採用しました。ペダル操作部とブレーキ動作部を独立させ、ブレーキの動作を電動化することでブレーキの踏み始めから停止間際までの減速エネルギーの回収ができるようになりました。その結果、約8%も回生量が向上しました。電動式にしたことで従来のシステムはできなかった緻密なブレーキ制御が可能になり、上級セダンにふさわしい上質なブレーキフィールを実現しました。電動サーボブレーキシステムが、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やヒルスタートアシストと連携することで、余分なモーター出力を低減、燃費の向上にもつながりました。
※1 JC08は2011年から2018年頃まで日本で採用されていた燃費測定基準。「Japan Cycle '08」の略称です。それ以前の「10・15モード」に代わって採用されました。2018年以降は国際規格である「WLTCモード」が使われています。
鉄とアルミを接合させる摩擦攪拌接合
フロントサスペンションを取り付けるサブフレームはアルミ製で、Hondaが世界で初めて骨格部品に適用した摩擦攪拌接合技術でつくられている
フロントサスペンションを取り付けるフロントサブフレームを軽量なアルミ製としたのも9代目ACCORDの特徴です。このアルミ製サブフレームは、Hondaが骨格部品への適用で初めて成功させた摩擦攪拌接合により製造しています。金属を練り混ぜて接合するこの方法は、電気抵抗により発生した熱で金属を溶かして行う通常の溶接と比較して、より高精度な溶接が可能となり、サスペンションの作動性、アライメントの正確性向上に寄与しました。北米仕様のガソリンエンジン車のフロントサブフレームは鉄とアルミという異素材を摩擦攪拌接合していました。
10代目ACCORD(2020年) – 根本から見直したプラットフォームとe:HEVを採用
10代目ACCORDは、CFD(流体解析)やHRD Sakuraにある風洞を使って空力開発を行った。これにより美しいスタイルと高い空力性能を両立させている
ACCORDは10代目が発売された2020年2月の時点で、世界の120を超える国と地域で累計2000万台が販売されてきました。「人と社会との調和」を目指すACCORDの伝統を受け継いだ10代目は、9代目で採用した2モーターハイブリッドシステムをコアテクノロジーとして受け継ぎながら、クルマの基礎となるプラットフォームを構造から見直し、リニアで軽快な走りと燃費性能を高いレベルでバランスさせました。9代目で採用した「SPORT HYBRID i-MMD」は実用化して以来、エンジンやモーターなどの基幹技術はもちろん、ドライバビリティーに重要な制御技術の改良をたゆまず推進。そして、ドライバーの感性にマッチし操る楽しさを増幅するハイレベルなシステムへと進化させました。当時のプレス資料で、開発責任者は次のように10代目の開発にかける想いを述べています。
「10代目という節目のACCORDを開発するにあたり、私たち開発者が誓ったことは、まさに、『世界中の顧客の満足のために全力を尽くす』ということでした。そのために、プラットフォームをゼロからつくりあげてまで『クルマの在るべき姿』を追求したのです」
より優れた安全性能の実現、環境性能を追求するための電動パワートレーンへの移行、それらを自動車メーカーとして当然の課題として進めながら、より魅力的なクルマを創造し続けるために、Hondaはボディーやシャシーといったクルマの基本構造、いわゆるプラットフォームを根本から見直したのです。
新世代プラットフォームは、低重心・低慣性・軽量高剛性骨格を目指した。
その結果、重心高は約15mm低減、ロール慣性モーメントは7.2%、ヨー慣性モーメントは1.7%低減、車両重量は50kg軽量化された
10代目ACCORDの開発に先立ち、Hondaはプラットフォームの基礎研究プロジェクトをスタートさせ、「動体としてあるべき姿」をゼロから追求。安定した走りのカギとなる低い重心高と、余分な挙動変化を少なくする低慣性モーメントを最重要課題に据え、それらを軽量・高剛性な構造で成立させる難題に取り組みました。低重心はサイドフレーム、サイドシル、フロアクロスメンバーなどの主要骨格を従来に対し低く設定し実現。さらに、前後サスペンションの取り付け構造を含めて新たに開発し、従来モデルに対して約15mmの低重心化を達成しました。低重心化によって重心高とロール軸を近づけることで、従来プラットフォームに対しロール慣性モーメント※2を7.2%低減。また、重量物のバッテリーパックを後席下に搭載するとともに、サブフレームやサスペンションの軽量化を徹底することで、従来モデルに対しヨー慣性モーメント※3を1.7%低減しました。これらにより、旋回から直進への立ち上がりやダブルレーンチェンジなどで、クルマの余分な挙動が少なく一体感の高いドライブフィールの提供が可能になります。
※2 ロール軸まわりの回転運動の大きさ。一般に小さいほどドライバーのステアリング操作に対して素早く反応する。
※3 ヨー軸まわりの回転運動の大きさ。一般に小さいほどドライバーのステアリング操作に対して素早く旋回方向に反応する。
軽量で強度の高い高張力鋼板をボディ骨格の49%に採用(黄・緑・青の部分)
また、ボディ骨格を構造そのものから見直したのに加え、超高張力鋼板の適用範囲を拡大。前後サブフレームやサスペンションの軽量化などにより、完成車重量を従来モデルに対し50kg軽量化しながら、大幅な高剛性化を達成。動的性能の向上に大きく寄与しました。
11代目ACCORD(2024年) – 全方位安全運転支援システム、Honda SENSING 360+ 搭載
11代目ACCORDのエクステリアデザインは、伸びやかさと品格を高めたパッケージデザインを目指した
2024年3月に発売した11代目ACCORDは「人と社会との調和」という初代から一貫して持ち続けてきた思想を継承しながら、Hondaの最新の安全技術や先進装備を搭載し、単なる移動の道具ではなく、お客様の充実した日常や人生の成功に向けて共に歩む存在となることを目指して開発しました。
11代目ACCORDに投入した革新技術は全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」です。Hondaは乗用車の販売を開始したときから「交通事故ゼロ」による「自由な移動の喜びを拡大」すべく、予防安全技術の拡大に取り組んできました。1982年には四輪ABSを日本車で初めて採用すると、1987年には日本車で初めて運転席SRSエアバッグを採用しています。
さらに、2003年にはCMBS(Collision Mitigation Braking System:衝突軽減ブレーキ)を世界で初めて実用化。2014年にはCMBSに加え、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付ACC、標識認識機能、誤発進抑制機能などの安全運転支援システムを「Honda SENSING」の名称に統合しました。これ以降も、後方誤発進抑制機能や近距離衝突軽減ブレーキなど、順次機能を付加していきました。
11代目ACCORDに搭載したHonda SENSING 360は従来のHonda SENSINGに対してセンシング範囲を全方位に拡大
11代目ACCORDでは、Honda SENSINGに対してセンシング範囲を全方位に拡大した「Honda SENSING 360」を国内モデルとして初搭載しました。約100度の水平視野角を持つフロントセンサーカメラに加え、フロント中央と各コーナーに計5台のミリ波レーダーを装備することにより360度センシングを実現しています。これによりHonda SENSINGの従来機能を大幅に進化させたのに加え、前方交差車両警報、車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能の3機能を新たに搭載しました。これらの新機能により、目視での確認が難しい前方交差車両や歩行者、後側方車両などの認知と衝突回避を支援し、より安心・安全な運転をサポートします。
Honda SENSING 360+のセンシング範囲。Honda SENSING 360よりセンサーの種類が増えセンシング範囲が広がっている
2025年5月には、Honda SENSING 360にハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能などを追加した「Honda SENSING 360+」を国内向けモデルとして初搭載しました。ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能は高速道路や自動車専用道路を走行中、システムがアクセル、ブレーキ、ステアリングを操作し、ドライバーがハンドルから手を離しても、車速や車線内の走行を維持できるよう支援し、ドライバーの運転負荷を軽減する機能です。この機能は高精度地図と全球測位衛星システム(GNSS)を活用して自車の位置を特定するとともに、道路情報を取得し、一定の条件下においてステアリングから手を離した状態(ハンズオフ)の運転を支援します。先行車がいない場合、ハンズオフでも設定した車速を保ちながら車線の中央を維持するように走行し、適切な車間距離を保って追従します。Honda SENSING 360+はこの他、レコメンド型車線変更支援機能、カーブ路外逸脱早期警報、降車時車両接近警報、ドライバー異常時対応システムを搭載。ドライバーの運転負荷をさらに軽減するシステムとなっています。
「人と社会との調和」を目指して時代とともに歩み続けてきたACCORDは、環境や安全、快適性や走り、燃費や電動化、運転支援システムなど、時代の要請に合わせて人と社会との調和を図る手段を変えながら、グローバルセダンとしての新たな価値の創造に挑戦してきました。世界累計2500万台超という販売台数が、世界でACCORDが支持されてきたことの証です。この先社会がどう変化しようとも、その変化を先取りし、人と社会とクルマを調和させるコンセプトを受け継ぎながら、Hondaが持つ最新の技術を結集しACCORDは進化を続けていきます。
テクノロジー ACCORD 50年の技術革新 ACCORDハイブリッド「革新技術」×「調和」の深化 Honda独自のハイブリッドシステムe:HEV、そしてHonda SENSING 360+へ







