POINTこの記事でわかること
- アコードは「クルマとして、真に必要なものは何か」に向き合い、乗る人への「ゆとり」と、クルマを取り巻く環境との「調和」を実現するモデルとして開発された。
- その革新は技術面にとどまらず、現地生産や地域最適化といった開発・生産の在り方にも影響を与え、グローバルモデルとして進化してきた。
- クルマの開発思想は現在にも受け継がれ、先進装備を通じて新たな価値を提供している。
1976年に誕生したACCORD(アコード)が目指したのは、「人と時代に調和するクルマ」。環境対応、安全性、使いやすさに走り。それらをクルマとして総合的に成立させることへの挑戦が出発点です。
その後、アコードは各時代に求められる価値や技術を取り入れながらグローバルモデルに成長。世界160を超える国と地域で累計2,500万台以上をお届けし、Hondaの成長を支えてきました。
ここでは、その50年の歩みを振り返ります。
『人と時代に調和したクルマ』の原点
1970年代、自動車を取り巻く環境は大きく変化していました。
排出ガス規制の強化や安全性への要求の高まりなど、社会からの要請が一段と厳しさを増していた時代です。これに加え、ユーティリティや走りのよさ、乗り心地といった「人にとっての使いやすさ」も同時に重視されていました。
Hondaは「社会への対応」と「人への価値」を両立させるべく、“クルマとして、真に必要なものは何か”に向き合い、一つのかたちになったのがアコードです。乗る人たちにとっての「ゆとり」と、クルマを取り巻くさまざまな環境との「調和」を叶えることが開発の軸となりました。
それを象徴する一つがCVCCです。燃焼制御によって排出ガスを低減しながら走行性能を維持するこのエンジンシステムは、当時としては画期的で、環境対応と走行性能の両立を実現しました。
また、安全性向上のため、“扱いやすさ”という感覚的価値を工学的に追求した先進的な試みにも積極的に取り組みました。これは事故時の安全性だけでなく、余裕を持ってトラブルを回避できること、運転に必要な情報をわかりやすく整理して伝え、すみやかに対応するための取り組みでした。
初代ACCORDハッチバック・LX
こうした思想は、その後の技術開発の方向性にも受け継がれ、「より自然に扱えること」「安心して運転できること」を実現する方向へと進化していきました。
たとえば2代目では、車速に応じて操舵力を変えるパワーステアリングや、ジャイロセンサーを用いた航法装置を実用化。運転の負担を軽減し、状況把握を助けることで、より安心して運転できる環境を整えていきます。
さらに3代目ではスポーツカー由来のサスペンション構造を採用し、走行性能を高めていきました。
こうした積み重ねにより、アコードは「走り」と「人のための空間」という基本価値を軸に進化を続けていきました。
現地で価値をつくる グローバルモデルとしての進化
アコードの進化は技術だけにとどまらず、「クルマのつくり方」そのものにも影響を与えました。
転機となったのが1982年から開始したアメリカ現地生産。Hondaは日本メーカーとして初めて※海外での本格生産に踏み出します。
その背景にあったのが、「3地域最適化」という考え方です。
同じクルマを世界に展開するのではなく、それぞれの地域にとって最適な価値をつくるというアプローチでした。
日本、北米、欧州――。
それぞれの市場で求められる価値は異なります。
北米では、ゆとりある走りと安定性。欧州では、応答性の高いハンドリング。日本では、効率性や取り回しのしやすさ。
「同じものを届けるクルマ」ではなく、「その土地に合った価値を届けるクルマ」へと進化していったのです。この考え方は、その後の開発にも受け継がれ、各地域のニーズに応じた技術や装備が積み重なり、商品としての完成度が高められていきました。
※Honda調べ
アメリカ仕様の6代目アコード(1998年)
アメリカで多くのお客様に支持されたアコードは、日本車初の全米乗用車販売No.1(1989〜1991)を獲得。さらに2018年にはアメリカにおける四輪車累計生産2,500万台を達成。その記念すべき一台となったのもアコードでした。
これまで160を超える国と地域のお客様に累計2,500万台以上お届けしてきたアコードは、Hondaを代表するグローバルモデルとして、今後も進化を続けていきます。
継承と進化 最新モデルに息づく思想
「人と時代に調和したクルマ」の思想は一貫して受け継がれています。
当時、11代目アコードの開発責任者を務めた横山 尚希(よこやま・なおき)は「いいクルマをつくりたい」という素直な想いを起点に開発を始め、アコードにふさわしい「いいクルマ」とは何かを掘り下げた結果、「ゆとり」や「懐の深さ」にたどり着きました。
横山はこれを「幅の広い平均台」と例え、限られた人だけが演技できるのではなく、その幅を広げることでより多くの人たちがその上で安心感持って自由に演技ができるようになることを目指したと言います。それはまるで懐の深さを備えた「相棒」のようなクルマで、搭載された制御がドライバーの運転を自然にサポートし、充実した移動体験を具現化しました。
たとえば、2モーターハイブリッドシステムe:HEV(イーエイチイーブイ)。モーター主体で走行し、状況に応じてエンジンを効率的に活用する「環境性能と走りの両立」は初代CVCCの思想を継承したものと言えます。
また、最新のe:HEVに装備されている全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360+(ホンダ センシング サンロクマルプラス)」は、安全性向上を目指した思想を受け継ぎ、安心して運転できる環境の実現に貢献しています。
環境性能と走る楽しさを両立し、新たな価値を提供できているか。その問いに向き合い続ける姿勢が、アコードの進化を支えてきました。
アコードはこれからも時代に応じた価値を取り入れながら進化し続けます。しかし、根底にある「人と時代に調和する」クルマづくりの思想が変わることはありません。
<参考>歴代アコードにおける主な技術・価値の進化
| 世代 | 技術・機能 | 概要 |
|---|---|---|
| 初代(1976年~) | CVCCエンジン | 当時の排出ガス規制もクリアする低公害性と低燃費を両立したエンジンを搭載 |
| サービスガイド表示機能 | 消耗品の定期交換時期や半ドア警告とブレーキランプの不灯などをメーター周りに表示する機能を先駆けて搭載 | |
| 2代目(1981年~) | 車速応動型/バリアブル パワーステアリング | 車速に応じてハンドルの操舵力を自動調整する独自技術を、世界初採用※ |
| 三次元リアダンパー | 路面の凹凸に応じ減衰力を変化させ、乗り心地と安定性を両立する構造を世界初採用※ | |
| エレクトロ・ジャイロケータ | 現代のカーナビゲーションシステムの原点。ジャイロセンサーを用いた航法装置を世界で初めて実用化し、搭載 | |
| クルーズコントロール | 設定した希望の速度を自動で維持しながら走行する機能。ステアリングホイールに操作スイッチを配置した形式を日本初標準装備※ | |
| 3代目(1985年~) | 4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション | スポーツカー由来のサスペンション構造技術をFF車で世界初採用※ |
| 4代目(1989年~) | ハニカムフロア、ハニカムルーフ | 世界初※、F1や航空機と同じハニカム(蜂の巣状)構造を車体に採用。軽量化と高剛性を両立し、静粛性も向上 |
| 6代目(1997年~) | ふらつき運転検知機能 | 高精度ナビゲーション技術を応用してふらつきを検知し、画面表示と警告音で警告するシステムを世界初搭載※ |
| EPS(電動パワーステアリング) | 油圧式に代わり、現在主流となっている電動式をアコードクラスのセダンとしてHonda初採用 | |
| VSA(車両挙動安定化制御システム) | 急激な車両の挙動変化を抑制する横滑り防止装置をHonda初採用 | |
| 7代目(2002年~) | HiDS(ホンダ・インテリジェント・ドライバーサポート) | 高速道路でステアリング操作をアシストするLKAS(車線維持支援システム)や追従型クルーズコントロール(IHCC:インテリジェント・ハイウェイ・クルーズコントロール)をHonda初搭載 |
| 8代目(2008年~) | モーションアダプティブEPS | EPSによるステアリングの操舵力をアシストに加え、VSAと協調して作動することで車両の挙動を安定方向に補正する制御を全タイプ標準装備 |
| 9代目(2013年~) | SPORT HYBRID i-MMD | 状況に応じて3つの走行モードの中から最も効率の良いモードを自動選択して走行する、2モーターハイブリッドシステムをHonda初搭載 |
| 11代目(2024年~) | Honda SENSING 360 | フロントセンサーカメラとミリ波レーダーの装備で360度センシングを実現した安全運転支援システムをHonda初搭載 |
※Honda調べ