概要 エンジンテクノロジー eSP

eSPとはenhanced(強化された、価値を高める) Smart(洗練された、精密で高感度な) Power(動力、エンジン)の略で、性能や品質を向上させながらも、軽量、コンパクト、低コスト。実用性の高い出力特性と優れた耐久性、静粛性と上質感といった高性能、そして低燃費性能を実現する小型スクーター用エンジンです。

eSPの構成

eSPは、以下のような技術から構成されています。

ローラータイプロッカーアーム

ロッカーアームを支持するシャフトには、耐久性にも配慮したシェル型ニードルベアリングを採用し、動弁系のフリクションの低減を実現しています。
また、ローラーサイズの小型・軽量化による動弁系の慣性マス低減に見合ったカムプロフィールと、バルブスプリング荷重の低減によっても、フリクションロスの低減を実現しています。

コンパクトな燃焼室と吸気ポート

125ccスクーターの実用域のトルク特性を重視したエンジンとなるよう、燃焼速度や冷却性を考慮したコンパクトな燃焼室設計としました。
さらに、吸気ポートと燃焼室のつながりをスムーズにすることでシリンダー内で強いタンブル流を発生させられるようにし、低・中速域からのスロットルのレスポンスを向上させています。

オフセットシリンダー+スパイニースリーブ

クランクシャフトに対してシリンダーの位置をオフセットさせる「オフセットシリンダー」でフリクションを低減。シリンダーのスリーブには、鋳鉄スリーブの外表面に細かな突起処理を施すことで冷却性の向上や運転中のシリンダーおよびボア内径のゆがみ低減を図るスパイニースリーブを採用しました。

軽量なピストン

俊敏なスロットルレスポンスを実現し、単気筒特有のエンジン振動を低減するため、ピストンなど往復運動部の徹底的な重量軽減を図っています。

クランクシャフトの高剛性化

クランクシャフトを支持する新設計の軸受けベアリングを採用することで、クランクケース軸受け部分の高剛性化とコンパクトなレイアウトを両立させています。

ブリーザー機構 (クランクケース等)

通常の単気筒のスクーターエンジンはカムチェーン室が、シリンダーヘッドからのオイルを戻す通路となると同時にブリーザー通路としても機能していますが、このエンジンではより高い実用性を目指し、カムチェーン室とは反対側に第二のブリーザー通路を設け、車体の傾斜に対するブリーザー機能のタフネス性を向上させています。

冷却系 <ビルトイン水冷システム>

エンジン右外側に一体化したラジエーターを装備し、その内側に取り付けたファンで冷却風を効果的に導入する「ビルトイン水冷システム」を採用。
エンジンとラジエーターを一体化することで、エンジンを軽量・コンパクトなものとしています。

V ベルト式無段変速機構<V マチック>

力強い発進からのスムーズな加速と、高回転域まで余裕のある走りを実現するため、ワイドレシオの V ベルト式無段変速機構<V マチック>を採用。スロットル低開度のパーシャル領域から全開時の高負荷領域まで効率よくエンジン出力を後輪に伝えています。ドライブベルトには、新開発の高弾性ゴムを採用し、耐久性とともに効率よく駆動力を伝達しています。

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