Welcome to the Track! CBR1000RR-R FIREBLADEエンジニアトークWelcome to the Track! CBR1000RR-R FIREBLADEエンジニアトーク

空力

空気の力がマシンの振る舞いを変える

これまでのCBR-RRとは全く異なる部分として空力性能があります。

伊藤:当初は、こんなにいろいろと空力的な付加物があったらドラッグが増えてしまうんじゃないかというような心配もしたんですが、取り越し苦労でしたね。

開発の経緯としてはどのように?

横川:スタート地点は、2017年の初頭にMotoGPマシンのウィリー制御に関するアイディアが欲しい、と言われたことでした。時を同じくして、CBR1000RR-Rの開発が始まり、そのノウハウを共有していくことになりました。

横川 俊二(動力研究担当)

横川 俊二(動力研究担当)

98年からHondaのテストライダーとして従事し06年正社員として入社。CB1100やCTX等の開発責任者代行を歴任。空力は専門分野。13年に開発したCBR600RRではボンネビルスピードウィークに参戦。未だに最高速のレコードは破られていない。直線番長。

ちょうど足並みが揃った、またとない機会になったと。

横川:あとから空力パーツを付け加えていくのではなく、デザイナーにも空力についてのノウハウを伝えた上で、美しさと機能の両立を図っていきました。

横川 俊二(動力研究担当)

横川 俊二(動力研究担当)

98年からHondaのテストライダーとして従事し06年正社員として入社。CB1100やCTX等の開発責任者代行を歴任。空力は専門分野。13年に開発したCBR600RRではボンネビルスピードウィークに参戦。未だに最高速のレコードは破られていない。直線番長。

実際に、どんな効果が期待できるのでしょう?

横川:コーナーの中にいる時間が、短くなります。

というと?

横川:ウイングに迎え角が付いているので、ブレーキングでノーズが沈むと、フロントを押さえつける方向に力が生じて挙動が安定します。

伊藤:ブレーキをリリースしてバンクさせると押し返されるところを、そのまま一定の力で抑えてくれているので、接地感が保たれます。

横川:そうですね。これはデータからも明らかです。フロントタイヤを押さえる力が旋回力を引き出し、加速時はフロントリフトを抑制する。進入からフルバンク、立ち上がりと、トータルで見たときに同じ時間で長い距離を進むことができるんです。

理想的な装備ですね。

伊藤:乗ってみて感じるものも、「懐のあたりを押さえてくれている」感じというんでしょうか。いかにも「効いていますよ!」とフロントを押さえつけるのではなく、クルマ全体を均等に沈み込ませてくれる。自然で違和感がないんです。

Sekiya's Eye

空力特性が徹底的に追求されているのもFIREBLADEの大きな特徴だ。Cd値クラス最少を念頭に、デザインと空力解析がシンクロした結果、国産量産車では初めてのウィングレットを採用した。
FIREBLADEのウィングレットは、一見するとカウリングに内包されたトンネルの中に3枚のフィンが配置されているだけに見えるが、フィンの断面形状、取り付け角度、取り付け部の形状など、流体力学に基づいた理論によって非常に緻密に設計されている。細かく観察してみれば、単純なものではないことが理解できるはずだ。

まとめ

さあ、サーキットへ

それにしても、伊藤さんや皆さんが楽しそうに話すのが印象的です。

伊藤:私も長年テストライダーの仕事をしてきていますが、自分のキャリアの中でも「一番」と言っていい、本当にすごいものができたと思います。

伊藤さんが「ベタボメ」というのはあまり記憶がないので、言っていることは本当に信用できるな、と思いました(笑)。

伊藤:お世辞でもなんでもなく、これ以上のバイクって、なかなか無いんじゃないかと思いますよ。

このバイクに、一般のライダーが乗ったら、どんな世界が見えるでしょう?

伊藤:そうですね。サーキットで、乗る人をこれまでにない世界へ連れて行ってくれるバイクだと思います。実際に、ツインリンクもてぎで「ツルシ」の状態で乗って何年か前のコースレコードに迫るようなタイムも出てしまいましたが、これまでと同じように走っているつもりでも、気がついたら、いままでに無いようなタイムが出ている。「思ったより速い」んです。

それはすごいことです。

伊藤:私も「SP」を注文しました。久々に欲しいバイクだなと思って。

石川:開発陣も、たぶん全員注文を入れたと思います(笑)。苦労もしましたが、いいバイクができたと自信を持っています。今回、メインのステージをこれまでの「公道」から「サーキット」へと変えました。ある意味では方針転換ですが、「誰もが操る喜びを堪能できる」という根幹の部分は、何も変わっていません。

場所だけが変わった。

石川:そうです。初代の「FireBlade」がデビューした頃よりも、サーキットはずっと身近なものになりました。これは世界的に見てもそうです。ですから、ぜひひとりでも多くの方に、サーキットで思いのままにパフォーマンスを解放し、レーシングライダーが見ている世界の一端を体験してほしいと思っています。これまでサーキットなんて関係ないよ、と思っていた方もぜひ、「FIREBLADE」とともに、新しい世界を切り拓いてみてください。

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