POINTこの記事でわかること
- Hondaは四輪事業の再構築に向け、コスト体質の改善、開発効率の向上、重点地域への経営資源集中による商品ラインアップ拡充に取り組む。
- 2027年から次世代ハイブリッドモデルの投入を開始し、2029年度までにグローバルで15車種を展開。Hondaならではの五感に響く上質・爽快な走りを提供する。
- 「2050年のカーボンニュートラル実現」に向け、EV、ハイブリッド、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速する。
2026年5月14日にHondaは都内で、四輪事業の再構築に向けた取り組みと今後の事業の方向性について説明会を開催しました。
三部社長は市場環境の変化を踏まえた四輪事業改革の方針を説明。コスト体質の改善や開発効率の向上、重点地域への経営資源の集中投入による魅力ある商品の拡充を通じ、競争力の向上を図る考えを示しました。あわせて、HondaとAcuraの次世代ハイブリッド車のプロトタイプを披露しました。
四輪事業再構築に向けた「3本の柱」
三部社長は、四輪事業再構築の鍵として、コスト体質の改善、開発効率の向上、そして重点地域への経営資源集中による商品ラインアップ拡充を挙げました。これらを通じて、四輪事業の収益力強化を図ります。
Hondaはその実現に向け、「経営資源の戦略的再配分」「ものづくり体質の徹底強化」「外部リソースの戦略的活用」を戦略の3本柱として取り組みます。
経営資源の戦略的再配分
「需要動向を見据えたパワートレーンポートフォリオの見直し」と「重点地域への商品ラインアップ拡充」の2つの施策に取り組みます。
「需要動向を見据えたパワートレーンポートフォリオの見直し」では、開発・生産リソースを、ハイブリッド車に再配分し、当初のハイブリッド車の投入計画よりもさらに前倒し、魅力ある商品の拡充につなげます。
2027年からは計画通り、ハイブリッドシステムとプラットフォームを共に刷新した、次世代ハイブリッド車の投入を開始。北米を中心に、2029年度までにグローバルで15車種を投入していき、ラインアップ拡充を図ります。また、米国オハイオの完成車工場では、余剰能力をすべてICE(内燃機関)車・ハイブリッド車に充てるとともに、北米すべての工場でハイブリッド車生産ができるようにします。
2年以内に発売予定の次世代ハイブリッド車のプロトタイプ「Honda Hybrid Sedan Prototype(ホンダ ハイブリッド セダン プロトタイプ)」(左)と「Acura Hybrid SUV Prototype(アキュラ ハイブリッド エスユーブイ プロトタイプ)」(右)
次世代ハイブリッドシステムでは、エンジンの高効率エリアの拡大と、ハイブリッドユニットの駆動効率の向上などにより、世界最高効率のパワートレーンを実現します。
操縦安定性などの全方位進化や、さらに軽量化した次世代プラットフォーム、電動AWDユニットを組み合わせることにより、10%以上の燃費向上と、Hondaならではの五感に響く上質・爽快な走りのさらなる進化を目指します。
また、新たな移動体験価値を提供する「次世代ADAS」は、2028年発売に向けて開発を進めており、その後5年間でグローバル15モデル以上のハイブリッド車に適用していきます。
ハイブリッド車へ搭載することで、ドライバーの意のままに「操る喜び」と、ストレスのない快適な移動体験の組み合わせによるHondaならではの提供価値を、より多くのお客様に体感いただきたいと考えています。
「重点地域への商品ラインアップ拡充」では、今後さらなる成長戦略を描く市場として、北米、日本、インド、そして抜本的な競争力強化に取り組む中国に対し、次のように取り組みます。
■北米
底堅い需要を持つ大型車については力強い走行・牽引性能に、環境性能も兼ね備えた、Dセグメント以上の大型ハイブリッドモデルを2029年に投入。Honda、Acura両ブランドで次世代ハイブリッド技術搭載モデルを投入し、ラインアップを拡充します。
■日本
軽自動車を中心にEVの拡充を図り、2028年にはN-BOX(エヌボックス) EVを投入予定です。
2026年1月の東京オートサロンで発表した「SPORT LINE」「TRAIL LINE」のラインアップ追加に加え、2027年からはSUVモデルを中心に次世代ハイブリッドモデルを投入。2028年以降は、新型VEZEL(ヴェゼル)を皮切りに、次世代ハイブリッド/次世代ADAS搭載モデルを展開します。
■インド
インドの特性・嗜好にあった商品をお届けするべく、インドベストの性能要件へ再定義し、全長4メートル未満のカテゴリー、ミッドサイズカテゴリーに対するインド向け戦略モデルを2028年から投入します。
■中国
現地の標準化部品、ADASなど次世代技術における現地技術の活用や、現地パートナーのプラットフォームを活用した新エネルギー車(NEV)を投入することで、中国での知能化の圧倒的な進化スピードを取り込み、お客様のニーズに応えます。
ものづくり体質の徹底強化と外部リソースの戦略的活用
高い競争力のもとで重点地域へ商品を届けていくため、「抜本的な原価低減」「徹底的な開発効率化」「環境変化に強い生産体質の構築」の3つの施策に取り組み、「ものづくり体質の徹底強化」を行います。
「抜本的な原価低減」では、Honda独自基準の見直しによる標準品の積極的な活用や、中国やインドの競争力の取り込みにより、グローバルで原価体質を高めます。
「徹底的な開発効率化」では、「開発費」「開発期間」「開発工数」の3つについて2025年比でそれぞれ半減する「トリプルハーフ」を実現します。デジタル環境やAIの活用により、設計・テスト・生産準備を効率化することに加え、開発要件そのものや企画・開発マネジメントの見直しなど、開発プロセス改革により、よりスピーディーに鮮度の高い商品を継続的に投入していきます。
「環境変化に強い生産体質の構築」では、市況が変動する中、新機種・設備投資の効率的な投入・配分、デジタル活用による業務の効率化・迅速化に取り組み、今後5年間で、生産効率の約2割向上を目指していきます。
外部リソースについても、中国やインドなどのコスト競争力、業界標準品の活用など外部リソースを柔軟かつ戦略的に活用します。
バッテリーについては、将来のEV需要拡大への対応も見据えながらも、当面は需要の高いハイブリッドやその他用途を取り込んだ運営効率化を進めるなど、北米での競争力を重視したバッテリー調達戦略をとります。
このように、自前のコア技術と外部リソースを組み合わせることで、不確実性の高い市場環境下で競争力強化を図ります。
Honda四輪事業 中長期の方向性
Hondaは、総合モビリティカンパニーの責務として、引き続き「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指します。その実現に向け、地域ごとの市場環境、需要動向を見極めながら、EV、ハイブリッド、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させます。
EVについては、今後需要が拡大したときに確実に対応できるよう、さらに競争力のあるEVハードウェアプラットフォームの導入や全固体電池の研究開発についても引き続き進めています。
また、「知能化」の強化による新たな移動体験およびキャビン体験の提供を目指し、「ASIMO OS」をEVだけでなくICE(内燃機関)、ハイブリッドにも適用し、移動価値の向上を目指します。
Hondaは、国ごとの違いや、お客様のニーズ・市場環境の変化、外部リソースの活用などに柔軟に対応しながら、お客様にタイムリーに新たな価値を提供し続けるため、柔軟性と競争力を両立した四輪事業の体質再構築に取り組みます。
今後は、まず3年を目処に四輪事業体質改善に集中的に取り組み、引き続き盤石な収益性を有する二輪や金融の事業成長と合わせて、2029年3月期には、過去最高の営業利益水準への回復を目指します。また、2027年から次世代ハイブリッドモデルを投入。注力地域である北米・日本・インドに対して、お客様のニーズを見極めながら、ラインアップが不足しているカテゴリーへ新たに商品を投入します。