POINTこの記事でわかること
- Hondaは、2050年に全世界でHondaの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指している
- ドバイでデリバリーサービス需要が急増していることを受け、中東で初となるデリバリーライダー向けの安全運転研修を実施した
- 今後ドバイでの取り組みを中東の周辺諸国にも拡大し、安全運転普及に努めていく
全世界の交通事故死者数は年間119万人。急務となる交通安全への取り組み
全世界の交通事故死者数は年々増加の一途をたどっており、WHO(世界保健機関:World Health Organization)の調査によれば、年間約119万人※もの人々が交通事故で亡くなっていることが分かっています。1日あたり約3,200人、23秒に1人が命を落としている計算になります。そして、その死者の約3割は、バイク利用者です。
※出典:WHO Global status report on road safety 2023(Honda Report 2025)
Hondaでは2050年に全世界でHondaの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指しており、「人の能力(啓発活動)」、「モビリティの性能(技術開発)」、 「交通エコシステム(協働、システム/サービス開発)」という3つの要素を進化させ、組み合わせることで、全世界で長年にわたって交通安全への取り組みに力を入れています。
UAE(アラブ首長国連邦)ではデリバリーサービス需要の急増に伴い、特にドバイやアブダビの都市部でデリバリーライダーのバイク事故が増加しており、社会問題となっています。デリバリーライダーの技能レベルにバラつきがあり、一部ではスピード違反や危険な運転も見られ、またライダーの多くが外国人労働者で、安全に関する啓発を実施するにも言語・文化の壁が立ちはだかることが事故増の一因です。さらに、中東地域特有の酷暑や砂嵐など、過酷な気候によるドライバーの疲労や脱水、注意力低下なども事故の引き金となっています。
このような状況を受けて、アフリカ・中東地域全体を統括するHondaの拠点HAMER(Honda Africa and the Middle East Representative Office)では、デリバリーライダー向け安全研修と現地インストラクターの育成に力を入れ、交通事故削減に向けた取り組みを行っています。
ドバイのデリバリーライダー
ドバイでデリバリーライダー向け安全研修を開始
交通事故削減に向けたHAMERの取り組みの1つに、UAEのHonda販売代理店Al-Futtaimグループとドバイ道路交通局と連携して開始した、デリバリーライダー向けとして初の安全研修プログラムがあります。
初年度にあたる2025年は、9月にドバイのサーキット「ドバイ・オートドローム」で2日間にわたってプログラムを開催。Talabat(フードデリバリーサービス大手)、Noon(ECサイト運営)、Smiles(フードデリバリーサービス運営)など主要デリバリーサービスのライダーを対象にした安全運転研修に30名の参加者が集まりました。
また、今回はHondaグループの交通教育センター「レインボー浜名湖」よりインストラクターを招聘し、Hondaの安全思想に則った研修を実現し、現地インストラクターの育成にも取り組みました。
研修を受けるデリバリーライダーたち
研修は座学と実習に分かれ、座学パートでは雨や砂嵐の際のブレーキ操作の違いといった安全知識について講義を行い、実習パートでは実車を使いながら実際の運転技術のトレーニングを実施しました。例えば、運転時には空気中の湿度も影響し、路面の油やグリースを気付かずにカーブで前輪ブレーキをかけるとスリップや転倒の危険があるなど、運転時の危険性やその回避に向けた運転技術について解説しました。
座学の様子
実習の様子
また、デリバリーライダー向けに、QRコードで共有・ダウンロード可能な短編動画も制作しました。これにより、交通事故を未然に防ぐだけでなく、荷物の種類に応じた安全運転技術や注意力を維持するコツ、交通法規などを、いつでも学び直すことができます。
参加したデリバリーライダーからは「この機会に感謝している、ぜひ他の多くのライダー向けにも開催してほしい」との声が寄せられたほか、プログラムに参加したレインボー浜名湖のインストラクターからも「HAMERのトレーナーはレインボーのトレーナー養成方式を通じて育成されており、プログラムが単発で終わることなく他国でも持続的に展開される仕組みができつつある」といった期待の声が寄せられました。
研修終了証の授与式
今後、UAEでの実績を生かし、周辺諸国にも同様の研修を拡大していく予定です。
全ての交通参加者が共存できる安全・安心なモビリティ社会の実現を目指して ― 強い使命感を胸に、Hondaのアソシエイト(仲間)たちがここアフリカ・中東地域でも日々活動を続けています。