製品 2023.11.17

世界中の二輪整備士が競い合う。技能コンテストの参加者たちが語るやりがいとプライド

世界中の二輪整備士が競い合う。技能コンテストの参加者たちが語るやりがいとプライド

世界中のHonda二輪販売店サービススタッフ(※1)(以下、サービススタッフ)の代表となった23名が日本に集まり、2023年10月8日に第1回「Honda Global Motorcycle Technician Contest(以下、テクニシャン・コンテスト)」が開催されました。技術的な知識やスキルを競い合うことで一人一人の技術力の向上を図り、お客様のさらなる満足度向上につなげることを目的にした技能コンテストです。本記事では、テクニシャン・コンテストの模様をはじめ、優勝者を含む計6名の大会出場者が日々の仕事を通じて抱いている熱い想いもお届けします。

※1:お客様のバイクの整備や修理を行う、メカニックスタッフ

そもそもテクニシャン・コンテストの最大の目的とは?

「Honda Global Motorcycle Technician Contest TOKYO」イメージ動画

ホンダテクニカルカレッジ関東(埼玉県ふじみ野市)で開催された本大会。これまでもサービススタッフの技能を競う大会は、各国・各地域で行われてきましたが、世界規模では今回が初。約8万9,000人いる全世界のサービススタッフから、各国・各地域の販売会社が開催する大会を勝ち抜いた23名が代表として選出され、その知識とスキルを競い合いました。まさにHonda二輪販売店サービススタッフの世界一を決める大会といえます。

日本を含む13の国と地域の販売会社を代表するファイナリストが集結した 日本を含む13の国と地域の販売会社を代表するファイナリストが集結した(ファイナリストの一覧情報はこちら)。

本大会の最大の目的は、全世界のHondaサービススタッフのさらなる技術向上と相互交流です。Hondaのバイクは、世界累計生産台数4億台を達成し、年間約2千万人のお客様に移動と生活の新たな価値をご提供しています。バイクを安心・安全・快適にお乗り続けていただくためには、販売店での点検・修理などのサービス活動は不可欠。

さらには近年の車両技術進化に伴い、サービススタッフに求められる技術力は年々高まっています。そうした状況下、お客様に対して質の高いサービスを提供するために、競い合いながら知識とスキルを高める場として開催されたのがこのテクニシャン・コンテストです。

今大会は、車両の排気量別にスーパーカブ110を競技車両とした「コミューター部門(250cc未満)」と、CB650Rを競技車両とした「ファン部門(250cc以上)」の2部門にわかれ、それぞれの部門でサービススタッフとして必要な正しい知識・技術・工程による、バイクの点検・診断・修理における確実性、速さを競いました。

左から、競技車両の「スーパーカブ110」と「CBR650R」 左から、競技車両の「スーパーカブ110」と「CBR650R」
競技の工程の制限時間なども細かく指定。実車競技は80分以内に故障診断と修理作業したのち、完成検査で正確さを競う。 単品競技は分解/組立、計測、調整などをそれぞれ10分以内に行い、速さと正確さを競う 競技の工程の制限時間なども細かく指定。実車競技は80分以内に故障診断と修理作業したのち、完成検査で正確さを競う。単品競技は分解/組立、計測、調整などをそれぞれ10分以内に行い、速さと正確さを競う(テクニシャン・コンテストの概要について詳しくはこちら)。

1日目に「知識競技(機構、整備知識)」を、2日目には「単品競技(分解・組立、計測、調整)」と「実車競技(車両の診断・修理・完成検査)」を実施。その総合得点により、Honda二輪整備士の頂点を決定します。実技を行う会場内は選手たちが作業に集中しやすいブースになっており、白熱した真剣勝負が繰り広げられました。

2日間にわたる競技の結果、コミューター部門ではインドネシアのマスムゥディン選手が、ファン部門では台湾のウ・チュンイー選手が1位となり、世界一のHonda二輪販売店サービススタッフという名誉を獲得しました。

また、盛大な演出の開会式をはじめ、大会終了後の夜には関係者たちが世界中の出場者をねぎらう懇親会も開催。開催期間を通じて、スケールの大きい第一回大会となりました。この世界規模のテクニシャン・コンテストは、今後も4年ごとの開催を予定しています。

テクニシャン・コンテストの当日の様子

優勝者へインタビュー。仕事の誇りや技術力の秘訣

世界大会という大舞台で各々の知識とスキルを競い合った世界のサービススタッフたち。選手たちはどのような思いでHondaのサービススタッフとなり、どのような思いを胸に各国・各地域の代表として参加したのでしょうか。今回、大会を制したマスムゥディン選手(コミューター部門)とウ・チュンイー選手(ファン部門)にそれぞれ、優勝の喜びの声はもちろん、当大会に向けてどんな準備をしたのか、さらにはサービススタッフを目指したきっかけや日頃の仕事で意識していることなど、話を聞きました。

コミューター部門1位:マスムゥディン選手(インドネシア)

マスムゥディン選手 マスムゥディン選手。専門学校の自動車科を卒業した後、2012年にHondaのインドネシアにおける二輪車生産・販売合弁会社PT. Astra Honda Motorの販売店「AHASS(Astra Honda Authorized Service Station)」に入社。2016年にピットテクニシャンとなり、2018年以降はサービスアドバイザーとして活動中。異音・振動などに関する診断が得意。

——そもそもHondaのサービススタッフになろうと思った理由を教えてください。

マスムゥディン

もともと専門学校で自動車を専攻していました。技術的なことへの強い興味と情熱があったので、AHASSに就職し、自分自身の技術スキル、特に異音・振動診断などに関する知識や技術力を向上させたいと考えました。インドネシア最大のバイクメーカーであり、最大のユーザーとアフターセールスネットワークを持っているHondaに関われていることが誇りです。

——サービススタッフとしてのやりがいや醍醐味をどんなところに感じていますか?

マスムゥディン

正確な作業を意識しながら、お客様の困りごとを解決する事でお客様に喜んでいただき、また来店したいと感じてくださったときに誇りと充実感を感じます

インドネシアにて普段の仕事の様子 インドネシアにて普段の仕事の様子

——テクニシャン・コンテストに出場すると決意した経緯は?

マスムゥディン

世界レベルの競争を経験するためです。世界中から参加する他のサービススタッフと競い合う中で自分のスキルレベルを確認したいと考えました。

——スキルアップのために日頃から実践していることはありますか?

マスムゥディン

大会3か月前からは週2回の体力トレーニング、実車競技と単品競技の練習などを行いました。今回の大会に向けては、さらに強化合宿を行い、競技にかかわるトレーニングに加え、メンタル面の強化も行い、高いモチベーションで挑みました。

——優勝された率直な感想をお聞かせください。

マスムゥディン

正直、自分が優勝できるとは思っていませんでした。知識とスキル双方を学び、体力面の強化も欠かさず、様々な練習を重ねてきたことが優勝につながった一番の要因だと考えています。

ファン部門1位:ウ・チュンイー選手(台湾)

ウ・チュンイー選手 写真の手前右側がウ・チュンイー選手。インターネットの動画サイトで、サービススタッフがCB550 FOURを修理している様子を見て、彼らと同じような仕事をしたいと思いHondaに入社。現在は一般修理班の班長を担任している。電装品の故障などに対するチェックや修理が得意。

——そもそもHondaのサービススタッフになろうと思った理由を教えてください。

18歳頃に125㏄のバイクを譲ってもらいましたが、車両状態が悪かったんです。当時は学生だったため十分なお金も無いので、資料を調べながら自分で修理を繰り返していたのですが、そのときの達成感が忘れられず、バイクのサービススタッフになりたいと思いました。

——サービススタッフとしてのやりがいや醍醐味をどんなところに感じていますか?

専門的な知識を用いて問題を解決し、そのバイク本来の性能を維持できるようにすることにやりがいを感じます。その大きな達成感が私にとってサービススタッフという仕事の醍醐味です。

台湾にて普段の仕事の様子 台湾にて普段の仕事の様子

——テクニシャン・コンテストに出場すると決意した経緯は?

各国の代表選手と交流したいという思いがありました。また、自分がHondaのサービススタッフたちの中でどのぐらいのレベルにいるのかを確認したかったからです。

——スキルアップのために日頃から実践していることはありますか?

マニュアルを読んだり、自分のバイクを修理したりしながら、いろいろと検証しています。「どのような技術者になりたいか」を考えて行動するよりも、一件一件の修理にきちんと向き合うことが大切だと思っています

——優勝された率直な感想をお聞かせください。

率直に嬉しいです。今大会の参加者の皆さんの技術力の高さを見て、自分が優勝できたことに驚いています。これで満足せず、これからももっと技術を磨き、仕事に活かしたいと感じています。

参加者4名にも聞く、サービススタッフの醍醐味とやりがい

惜しくも優勝は逃しましたが、誰もがサービススタッフとしての優れた知識と、高い技術を持っていました。競技中の真剣なまなざしは、まさに信頼できるサービススタッフであり、何よりバイクへの深い愛情が感じられました。そんな参加者を代表し、4名の出場者にもサービスにかける熱い想いを聞きました。

コミューター部門:シン・トゥチェィン選手(中国)

シン・トゥチェィン選手 2004年にHonda販売店へ入社。サービススタッフ、営業マンとして経験を積み、現在はアフターサービスの責任者を務める。今回のテクニシャン・コンテストでは、コミューター部門で第2位だった。電装系の燃料噴射装置「FI(Fuel Injection)」の診断、修理、整備が得意。

——サービススタッフとしてのやりがいや醍醐味をどんなところに感じていますか?

シン

修理した車両をお客様に渡したときに、「ありがとう」と喜ばれることにやりがいを感じます。また、困難な不具合を解決できた際にこの仕事の醍醐味を感じます。そして何よりバイクそのものと、その整備・修理といった一連の作業が好きですね。

ファン部門:ヨス・ポロス選手(オランダ)

ヨス・ポロス選手 10代の頃にバイクのテクノロジーに興味を持ち、Hondaのサービススタッフになることを決意。工業大学に通う傍ら、両親が経営するHondaの二輪販売店に勤務。今回のテクニシャン・コンテストでは、ファン部門で第2位だった。診断が得意。

——サービススタッフとしてのやりがいや醍醐味をどんなところに感じていますか?

ヨス

お客様に自分が整備したバイクで「一生の思い出に残る旅行ができた」などと言ってもらえたりするとモチベーションが上がります。そして、ほかのサービススタッフが原因究明できなかったトラブルを解決できたときにやりがいを感じます。それらを実現するためにスキルアップも必要ですが、バイクが好きだから、進んで努力してきました。また、常に人の命を預かる仕事なんだということを意識していますね

コミューター部門:クラシオ・ビエィラ・ダ・コスタ選手(ブラジル)

クラシオ・ビエィラ・ダ・コスタ選手 Honda販売店には2014年に入社。入社以来、ワークショップに勤務し、現在はワークショップのリーダーを務める。故障診断が得意。

——Hondaのサービススタッフになろうと思った理由を教えてください。

クラシオ

14歳頃に家の近くのワークショップで働くサービススタッフを見て以来、この仕事に親しみを感じていました。その中でもHondaの販売店で働くことが夢でした。

——スキルアップのために日頃から実践していることはありますか?

クラシオ

勤務時間外に整備マニュアルを読んだり、整備や修理に関する動画を見たりして勉強を続けています。そのほかにも技術的に役立つ情報を常に収集しています。

ファン部門:土居 偉選手(日本)

土居 偉選手 ホンダ学園関東校を卒業後、2003年に株式会社ウィングスポーツ(現:株式会社ホンダドリームジャパン)に入社。ホンダドリーム名古屋南、ホンダドリーム名古屋中央、ホンダドリーム名古屋東と工場長を歴任。電装系の修理が得意。

——サービススタッフとしてのやりがいや醍醐味をどんなところに感じていますか?

土居

やはりお客様から「ありがとう」と言われるときが一番やりがいを感じますね。他店に修理を依頼したが直らず、困って当店に修理を持ち込んでいただいた車両を修理でき、お客様に喜ばれると、とても嬉しく思います。

サービススタッフたちの挑戦は続く。4年後の次回開催への期待

参加者たちの熱い想いに共通するのは、Hondaのバイクへの情熱と、お客様の喜ぶ姿が見たいというプロとしての誇りでした。そんな彼らが現状に満足することなく、お互いに知識とスキルを切磋琢磨する機会こそが、このテクニシャン・コンテスト。4年後の第2回目のテクニシャン・コンテストを目指し、よりレベルアップを図るサービススタッフたちに、これからも期待せずにいられません。

大会当日に撮影された集合写真 大会当日に撮影された集合写真
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