2022年にシビックは誕生50周年を迎えます。この間、世界170カ国以上で2700万台以上をお客様へお届けしました。
今回、11代目を迎えたシビックについて、歴代シビックオーナーと新型シビック開発者に語りあってもらい、オーナーの愛車と新型シビックの共通点や継承されたDNA、これからのシビックについて、試乗を交えて紹介します。
11代目コンセプトは、1972年のあるジャーナリストの言葉から
数々の名車を生んだシビックですが、同じ名前でも時代によって印象が異なりますね。
そして11代目は、「爽快シビック」というキャッチフレーズをグランドコンセプトとし、開発してきました。
爽快シビックを紐解いていくと、「初代シビック」に行き着きます。1972年に発売したとき、あるジャーナリストが「一服の清涼剤のようなクルマが誕生した」と形容してくれました。束の間の爽やかな気分にさせてくれるクルマが誕生したと。改めて、シビックは初代からお客様の気持ちを動かすクルマとして世に出ていたんだなと思いました
上山さんは3代目シビックに乗っていますが、そもそもきっかけはなんだったのでしょうか?
30年間ほど3代目シビックに乗り続けていますが、実はこのクルマで9台目となります。乗りはじめたきっかけは、当時の愛車の故障でした。人と同じものが嫌いで、珍しいモデルや、クセの強い輸入車ばかり乗っていました。
当時所有していたのはその1台だったので、日常生活に困るんです。だから、動けばなんでもいいやとクルマを探していたのですが、そのとき知人から譲り受けたのが3代目シビックでした。荷物がそこそこ積める。3人、4人乗っても平気。実はそういうクルマに乗ったことがなかったので、衝撃を受けました。「すごいぞ、Hondaのクルマ」って。それが始まりです。
他のクルマも入れて9台目ですか?
いいえ、3代目シビック「だけ」で9台です。いま乗っているクルマを手に入れたのが10年ほど前です。このシビックは、意のままに操れて、楽しく走れる魅力があります。30年前に偶然、3代目シビックに衝撃を受けたのがきっかけで現在に至っています。
最新モデルにも息づくHondaのDNA
新型シビックの開発にあたって、歴代モデルをフィーチャーした部分はあるのでしょうか?
Hondaのラインアップでシビックほど歴史のあるクルマもないですから、11代目開発の初期段階で、自分たちがやってきたシビックを一度振り返りました。その中でもHondaのDNAである、M・M思想※を最も強く感じたのが、上山さんの3代目シビックなんです。パッケージ、エクステリア、インテリアのデザインをゼロベースで考えた際に、クルマの本質的な魅力を高めるための骨格のヒントになったのが3代目です。当時のM・M思想に基づき、低く水平基調にデザインすることで独自の魅力を創造していて、これからの時代にふさわしいモデルへ進化していくやり方もHondaの文化だと思っています。
※ マン・マキシマム、メカ・ミニマム。人のスペースは最大に、メカニズムは最小にというHondaのクルマづくりの基本思想のこと
岡崎さんのいまの愛車との出会いをお話いただけますか?
シビックとの出会いは運転免許を取得する前に、イベントで展示されていた10代目シビックのシートに座ったことです。「なんだこのクルマは!」と感動・・・ひと目惚れでしたね。ディーラーでもらったカタログを穴があくほど読み、プラモデルやミニカーなども集めて夢を膨らませていました。
シビックにひと目惚れしたあとは?
教習所でマニュアル免許を取得したちょうどその頃、家のクルマを買い換えようという話が持ち上がり、家族そろってディーラーに行くことに。そこで試乗すると、家族全員が「このクルマしかない」とシビック Type Rに決まりました。ただスポーティーな走りだけでなく、コンフォートモードも搭載しているので家族を乗せたときも快適に乗れるのがシビックに決めた理由です。
佐藤さん、岡崎さんの愛車は歴代モデルのType Rと比べてどういう特徴のクルマでしょうか?
歴代のType Rと違いオールマイティーで幅広いユーザーに乗ってもらえるように進化しました。Type Rのデフォルトがスポーツモードで走りを予感させる足まわりとなっていて、コンフォートモードに設定すれば滑らかな動きになって、岡崎さんのように家族で乗ることもできます。スタビリティーが高いので速く走らせようと思えばそれももちろん可能です。オールマイティーで幅広いユーザーに乗ってもらえるようにさらに進化したのが岡崎さんのクルマです。
爽快シビック、こだわりの強いオーナーの目にどう映るのか
新型シビックを見ていただきましたが、いかがでしたか?
実際に着座してみると視界もすごくいいです。小さい窓もついているので斜め後方の視界も見やすいですね。その辺は佐藤さんが仰ってたように、人中心にクルマ作りをしているHondaのモノづくりを感じますね。最新の1.5Lのターボエンジンでどれだけパワーを出してくれるのか運転が楽しみです。
コクピットのボタン類が少なく、シンプルでスマート家電のような印象を受けました。シートに座って感じたのはクルマの中にいるという感じよりも、リビングルームのソファに座っているようなイメージ。くつろげる空間です。走る前から、爽快感を感じるところはまさにコンセプト通りですね。走りの爽快感も早く感じたいです。
それではこの後に新型シビックに試乗していただきます。
シビック、そのポテンシャルは?
お二人に新型シビックに試乗していただきました。愛車との比較も交え、試乗を終えて感じたことはありますか?
マニュアル車とCVT車に試乗して、両方に共通して感じたのがドライバーに寄り添ってくれるクルマであることです。特に、マニュアル車に不慣れなドライバーにもシビックが「大丈夫だよ」、「がんばれ」と言ってくれているようで、人に優しいクルマでした。シートも、座っているというよりも包まれている感じで、僕のような初心者にも安心して乗りやすかったです。
爽快シビックの「爽」の字には人の文字があるように、Hondaとしても人を中心に開発してきて、どうやったらドライバーに寄り添えるのかを研究してきました。その目指した爽快シビックというコンセプトを実際に感じ取っていただけて、嬉しく思います。
上山さんは3代目からからの比較になりますが、クルマの進化など感じましたか?
1.5Lのターボがこんなにトルクフルで、パワーが出ることに驚きました。3代目シビックの時代のATだと少しイラッとする瞬間があったんですが、新型のシビックはストレスフリーで思ったとおりに加速してくれるんだな、CVTの進化はすごいなと感じました。
クルマを操るというところで、マニュアル車はいかがでしたか?
一つひとつの操作が本当に気持ちいい。操る気持ち良さをすごく感じました。一連のシフト操作がカチッと決まり、上手くなったような気がします。このクルマ、楽しいです。本当に楽しい。その一言に尽きます。
上山さんがマニュアル操作を楽しんでいる姿を助手席から見ていたら、「クルマを操る喜びを感じてもらうためにも、一人でも多くのお客様にシビックを届けたい」と改めて思いました。今後、EVや自動運転の時代へと向かいマニュアル車がなくなっていく時代の中で、HondaのDNAである操る喜び、走る喜びを不変価値として提案していくことになんら変わりはないと思っています。
今後のシビックに変わらないでいてほしいこと、さらに期待することはありますか?
私にはシビックがHondaの顔だというイメージがあります。これからもHondaを象徴するようなクルマとして、いつの時代でも胸を張って運転でき、10代目同様に家族で乗れるクルマであって欲しいです。
シビックは大好きなクルマなので、これからもどんどん代替わりして、よりよいクルマになってもらいたいですね。デザインは髪型やファッションと同じでトレンドや好みがあり、シビックも時代に合ったモデルがこれからも登場すると思います。「でも、ハンドル握れば黙らせてしまうよ」という操る楽しさは変わらないでいてほしいです。
ユーザーの期待の先、シビックはどんな価値を生み出せるか
50年の歴史があるシビックだからこそ期待の声は多いと思いますが、これからの展開は?
つねに時代とともにHondaの思想を語りかけているのがシビックであり、ユーザーの一歩先のニーズを捉え、進化しつづけるのもシビックです。まだ11代目シビックは始まったばかり、ここでいただいた言葉を次の開発に展開していきたいと思います。
Hondaにはハイブリッドの「e:HEV」があります。またシビックといえばスポーツの「Type R」ですよね。
今後の展開としては、2022年にe:HEVとType Rが出ます。今回、CVTとマニュアルをラインアップしたことで、シビックのベースを築いてきました。さらに今後一歩先を進めて、CVTとの組み合わせにおいては先進技術のe:HEVを投入し、マニュアルとの組み合わせにおいては究極の操る喜びを体現したType Rの登場により、シビックシリーズの新しいページを開けるのではないかと思っています。私たちは、シビックを通して、お客様の暮らしや生活の可能性が拡がる喜びを提供していきます。ぜひ、楽しみにしていただければと思います。
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8代目の登場の頃にフィットが誕生しましたので国内のベーシックカーの位置付けをフィットに託し、シビックのポジションをミドルカーとして一段上げ、8代目からボディーサイズも大きくなっています。