Honda SPORTS
1回戦
第83回都市対抗野球大会
7月16日(月) 18:00
試合会場:東京ドーム
チーム名 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TDK | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 |
Honda硬式野球部 | 3 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 5 |
バッテリー | Honda | TDK(にかほ市) |
---|---|---|
投手: 筑川-河原井-久保 |
二塁打 | |
三塁打 | |
本塁打 | 西郷(1回3点)、長島(4回2点) |
昨年の反省を生かしたHonda、確信の2回戦進出
一回表、不安定な立ち上がりだった筑川がいきなり先制される。その裏Hondaは西郷が大会最多記録に並ぶ通算14本目のスリーランで3-1と逆転。さらに四回ウラ、長島のツーランで5-1と突き放す。六回表ソロホームランと連打で筑川が2点を失うが、代わった河原井が後続を抑え5-3。河原井は八回の表にも2アウト満塁のピンチを迎えるが三振でピンチを切り抜ける。最後は補強選手の久保(かずさマジック)が最終回を抑え見事勝利。
昨年は、東日本震災に伴った諸事情の影響もあって、秋に関西で開催された都市対抗。Hondaは、主軸の怪我や調整の戸惑いなどもあって、まさかの初戦敗退の苦汁をなめた。都市対抗初采配となった、長谷川寿監督もショックだった。
それから一冬越えて、その反省のもとに練習してきた。シーズン当初から優勝を狙っていくことを決めていた日立市長杯で結果を出して自信を深めた。そして、南関東予選も危なげなく勝ち上がって第一代表を勝ち取っての出場となった。
本大会前最後のHonda熊本とのオープン戦では、主砲の西郷泰之(日本学園)に、待望の一発が出るなど万全の状態で迎えた初戦となった。
ところが、試合の入りは少し硬かった。やはり、トーナメント初戦の緊張感があったのだろうか。エース筑川利希也(東海大相模→東海大)の立ち上がりは、球数が多かった。一死後、死球と捕逸、内野ゴロで三塁まで進めると、TDKの四番菅原に三塁への内野安打を打たれて先制点を許してしまった。
さらに、続く打者にも四球を与えるなど、初回だけで30球も費やしてした。1点を失い、いくらか不安の残る立ち上がりとなった。
しかし、そんな不安を吹き飛ばしたのが待望の西郷の一発だった。その裏、一死後四球の篠塚宣政(桐蔭学園→青山学院大)を置いて、多幡雄一(星稜→立教大)が左翼線二塁打して二三塁としてお膳立てを作った。ここで西郷がTDKのエース阿部正のストレートを叩いて右翼中段へ放り込む豪快な3ランが飛び出した。待望の通算14号タイ記録となるアーチは、にかほ市応援席のナマハゲもビックリしてぶっ飛ぶくらいの一発だった。
西郷自身も、「今大会で達成したい記録でしたから、ホッとしています。今日は、行ける雰囲気がありました。コースは覚えていなかったですけれど、自分のスイングが出来ましたから、打った瞬間に行ったと思えるものでした」という完璧なものだった。ちょうど1週間前、大会前最後のオープン戦、最後の打席で満塁本塁打を放っていたが、そのいい感触をそのまま持ち込めた。
チームもこれで勢いづいた。
さらにHondaは4回にも九番長島一成がこれまた右翼スタンドに2ランを打ち込んでリードを広げた。これで、相手エースをマウンドから引きずり下ろした。追加点の欲しいところでもあって、試合の流れは完全にHondaペースになったかに思えた。
ところが、相手もさすがに東北第一代表、2006年には黒獅子旗を獲得しているTDKだ。そのまま終わらせてはくれなかった。6回には、三番阿部博の左翼へのソロアーチや、さらにポテン安打などで好機を作られ、八番新田に二塁打されてこの回2点目を失った。
筑川は6回途中、88球で降りた。代わって、リリーフに出た河原井章太が後続をぴしゃりと抑えて凌いだ。河原井は、7回も3人で抑えた。8回は2安打されて、四球もあって二死満塁となり、一打同点、長打で逆転というピンチの場面も迎えたが、慌てることなく冷静に抑えた。そして、9回は長谷川監督が「抑えとして使いたい」と、かずさマジックから補強した久保貴広(前橋育英→東海大北海道)が、先頭に安打されながらも最後は併殺で切り抜けた。
Hondaとしては2年ぶり、長谷川監督にとっては、初めての都市対抗の勝利となった。
「去年は、悔しい思いをしましたから、それをバネに1年間練習してきました。内容はどうであれ、まずは勝てたことでよかったと思います」と、素直に、初戦突破を喜んだ。そして、試合内容に関しては冷静に分析していた。
「筑川も、久しぶりの東京ドームということで、立ち上がりは硬かったですね。それでも、何とか踏ん張ってくれました。継投はイメージ通りです。初回に(点を)取られましたが、すぐに西郷の待望の一発が出て、あれで勢いがつきました。その後、つないでタイムリーという形は出来なかったのですが、長島がいいところで打ってくれました。勝てて、本当によかったです」
三番打者として、この日3安打して、初回には西郷の3ランを引き出す二塁打を放つなど、気を吐いた多幡主将は、「まさか、西郷さんの一発が最初に出るとは…、左中間の方に打つのかなと二塁ベースから見ていましたけれど、完璧でしたね。自分も、いいイメージで振れているし、これで雰囲気も上がっていくと思います」と、チームが勢いづいていることを感じていた。