Honda SPORTS

第83回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

2回戦

第83回都市対抗野球大会

7月19日(木) 14:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda硬式野球部
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
東芝 0 0 0 0 1 0 0 2 × 3
バッテリー Honda 東芝(川崎市)
投手:櫻田-河原井-久保

二塁打
三塁打
本塁打 大河原(東芝=8回2点)

明暗分けた5回の攻防、Hondaにツキもなし

Hondaの先発は櫻田、東芝は補強の亀川。序盤から両左腕ともすばらしい投球を見せ、投手戦の様相。Hondaは5回表、連打と送りバントでワンアウト二、三塁のチャンスを作るが、あと一本が出ず無得点。そのウラ先頭打者に二塁打を許し、スクイズで先制点を奪われてしまう。7回から好投の櫻田に代えて、河原井がマウンドへ。8回ウラ、痛恨のツーランホームランを浴び、万事休す。打線も最後まで東芝投手陣を捕らえる事ができず、0-3で惜しくも敗れ二回戦敗退。

 予想された通りの、数少ない好機をどう攻めていくのかという展開になった。そして、わずかな運のあるなし、バントの巧拙が明暗を分けることになった。

 Hondaの先発は、3年目の今年になって、好調で先の日立市長杯優勝の立役者にもなった櫻田裕太郎(横浜→八戸大)。立ち上がり、左腕から伸びのあるストレートとキレのいいスライダーが決まっている。球速表示以上にスピードを感じさせるのは、球そのものが指によく引っかかって伸びているからだろう。4回までは、3安打されたものの0点に抑えていた。そのうちの2本が横浜高校の4年先輩にあたる大河原に打たれたものだった。意識したというわけではないけれども、「上手い打者だということはわかっていたのですけれども、いずれもフォークを上手に合わされて持っていかれました。さすがだと思いました」と、先輩を称えざるを得ない結果になっていた。それでも、それ以外は、ほぼ完璧だった。

 そして、0対0のまま迎えた5回の攻防。
 ここまで、東芝の先発亀川に対して、わずかに吉岡聡(花咲徳栄→立正大)の中前打一本に抑え込まれていたHondaだったが、この回先頭の小手川喜常(大分商→立正大)が中前打で出塁。ムードメーカーの出塁で、それに続けとばかり、今大会初登場の下水流昂(横浜→青山学院大)が三遊間に叩きつける打球で無死一二塁とする。バントの名手佐伯亮(広陵→立正大)がきっちり決めて、1死二三塁。すっかりお膳立てが出来て、「史上最強の九番打者」と言ってもいい長島一成(修徳→青山学院大)だ。

 真芯で捉えたかと思われた長島の一打は遊撃手横をライナーで抜けていくかのように見えたが、相手遊撃手に好捕される。遊撃手が、通常よりもやや前で守っていたということも、不運だった。野球で「たら、れば」は言ってはいけないとは言われるけれども、あと10センチでもずれていたら、2点先制というところだっただけに、Hondaとしてはいささかアンラッキーな一打だった。続く、吉岡も亀川投手を打ちきれず好機を逸した。

 そして、その裏、「ピンチの後にチャンスあり」とよく言われるが、Hondaサイドとしてみれば、その逆になってしまった。先頭の六番藤原に左中間二塁打を許すと、バントで1死三塁。打者は八番井川。スクイズの可能性は非常に高い場面である。言うならば、どのカウントでスクイズを仕掛けてくるのか、それをどう読むのかというところだったのだが、東芝ベンチはフルカウントまで粘って、そこでスリーバントスクイズを仕掛けてきた。櫻田としては、カウント2ボール1ストライクというところでの4球目がボールとなったことで苦しくなっていたところでもあった。このあたりの駆け引きが、明暗を分けた。

 それでも、まだ1点。Hondaの強力打線をもってすれば、十分に返せると思われたが、徐々にこの1点が重圧になっていった。
 悔やまれるのは8回だ。
 この回先頭の長島は期待に応えて右翼線二塁打で出塁。1点ゲームでもあり、何とか1死三塁を作りたいところで、当然送りバントが予想されたが、吉岡のバントはいささか正直すぎた。また、7回からマウンドに登っていた東芝の二番手新垣のフィールディングも素早かった。長島が三塁で刺されてしまい、1死一塁になってしまった。結局、後続も抑えられた。

 その裏、7回から投げていた河原井章太(日大高→東洋大)が、大河原に2ランを浴びて、ほぼ決着がついてしまった。
 9回には1死後、川戸洋平(日大藤沢→日大)が右中間二塁打して、抵抗を示したものの、及ばなかった。Hondaとしては、本田技研時代の1977年以来の完封負けということになってしまった。

 試合後、長谷川寿監督は、「投手がいいので、ロースコアゲームになることはわかっていました。(東芝とは)先の北海道大会でも当たっていますし、お互いに手のウチもわかっている相手でしたし、先発も補強の亀川を予想して三菱重工横浜のビデオも見ていました。櫻田もよく投げていたのですが、大事なところでのバント失敗など、細かいところでのミスが痛かったです。秋の日本選手権と、来年へ向けて仕切り直しです」と、出直しを誓った。

 多幡雄一(星稜→立教大)主将も、「送るべきところを送れたか失敗したか、そういう差が結果となってしまったと思います。勝ちたいと思ってやっているのですが、相手も勝ちたいと思ってやっていますし、その気持ちが相手の方が強かったのかもしれません。自分としても、打ってチームを乗せたかったのですが…」と、冷静に試合を振り返って、もっと準備をしておかなくてはいけなかったと反省していた。