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第82回 都市対抗野球大会 Honda 熊本硬式野球部

1回戦

第82回都市対抗野球大会

10月26日(水) 18:20
試合会場:京セラドーム大阪

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda熊本硬式野球部 0 0 1 0 0 0 3 0 0 4
日本通運 0 0 0 0 1 0 0 0 1 2
バッテリー Honda熊本 日本通運(さいたま市)
投手:山中-幸松

二塁打
三塁打
本塁打

バントにこだわったHonda熊本、決勝点はスクイズからの相手失策

 序盤から息の詰まるような投手戦。先制したのはHonda熊本。ツーアウトから畠中のタイムリー。ピッチャー山中も粘りのピッチングで6回を1失点に抑える。そして同点で迎えた7回表、藤野のスクイズで待望の追加点。さらに畠中の今日2本目となるタイムリーヒットで日本通運を突き放し、4-2で勝利。見事初戦突破を果たした。

 2年ぶり6回目の出場となった、Honda熊本の初戦の相手は、狭山市のHondaと同県内のライバルでもあり、何度も対戦しているさいたま市の日本通運だ。そういう意味では、情報としては、ある程度入手できている相手ともいえるのではないだろうか。
 昨年は都市対抗と日本選手権のどちらにも出場を果たすことが出来なかったHonda熊本としては、「1こそすべて~最高の準備がすべての1に繋がる」というスローガンを掲げて臨み、9年ぶりの第1代表を勝ち取っての出場である。

 注目の先発マウンドは、2年前にも東京ドームで好投した実績のある、右下手投げの山中浩史(必由館→九州東海大)。傾斜が少し、普通の球場よりも急になっているという京セラドームのマウンドだけに、下手投げ投手にとっては、どうかなという心配もあったのだが、さほど気にはならなかったようだ。
 しかし、調子そのものは必ずしも絶好調というものではなかった。それでも、要所を締めていく投球ができたのは、やはり実績からくる自信といってもいいであろう。

 山中が抑えている間に、何とか先制点の欲しいHonda熊本だったが、3回に、2死から藤野裕次(福岡工→福岡工大)、三木剛(日本航空→愛知学院大)、畠中伸知(鹿児島玉龍→近畿大)と一番からの3連打で先制する。予選のJR九州戦で見せた、2死走者なしからの7点奪取を再現させるかのような勢いだったがここは1点止まりだった。
 5回には、日本通運の落合に投手強襲打を浴びて追いつかれる。落合選手は、JFE東日本からHonda狭山の補強で出場して貢献することが多いのだが、今年は日本通運の補強で敵に回っているという選手だ。

 同点にはなったものの、Honda熊本はリードされたわけではないので慌てることはなかった。次の1点がポイントとなっていく展開となったが、7回、試合が動いた。この回、Honda熊本は1死一塁で一塁走者佐久本匠(宜野座)と浜岡直人(九州学院→亜大)とのエンドランが鮮やかに決まり、一三塁。相手を揺さぶる。
 九番岡崎集(倉敷商→中部学院大)は四球で満塁となると、一番藤野。ここで、渡辺正健監督は、ボール1からスクイズのサイン。これを、藤野がきっちり決めるのだが、慌てた相手投手が本塁へ悪送球をして、二走も帰って2点が入った。さらに、2死一三塁から、畠中が、この日自身2本目のタイムリーを放ってこの回3点。流れは、大きくHonda熊本に傾いた。
 満塁でのスクイズは難しいと言われるが、高目の力のある真っすぐをしっかりと転がした。予選ではあまり出場機会のなかった主将の藤野だったが、渡辺監督は、「大きな試合になると、気持ちの強い選手が引っ張ってくかどうかがカギになる」という思いから、敢えてこの日は一番に起用した。藤野は、それにきっちり応えた形となった。
 試合後藤野は、「サインが出たときは、夢中で決めたスクイズでしたが、(相手ミスもあって)二塁へ進んだときは、ベース上で“どや顔”になっていましたね」と、喜びを語った。ここぞというところで、主将がいい仕事をして、一気にムードは盛り上がった。

 試合が動いたことで、渡辺監督はその裏から、思い切って山中投手を下げて、九州三菱自動車から補強していて、「このところ、調子がよかったので使ってみたかった」という幸松司投手(敬徳→九州産業大)を投入した。9回は、連打を浴びるなどして、犠飛で1点を失ったものの、与えられた仕事をきっちりこなしてリードを保って逃げ切った。

 Honda熊本は、大会入りする直前の強化練習でも、バント練習を徹底していたという。「三菱長崎から補強した二人(伊藤、野口)にも、ウチはバントが出来なかったら、試合には使わないよということは伝えてあります」と、渡辺監督が言うようにバントに対するこだわりは強い。練習では、シートバッティングならぬ“シートバント”というメニューもあるという。
 そうした、バントへのこだわりが功を奏して、大事な場面でスクイズが決まり、相手のミスまで誘発したところに、バントに対するこだわりの大事さが、改めてクローズアップされたともいえそうだ。
 08年夏に就任した指揮官は、02年の準優勝はコーチとして経験している。「出れば簡単には負けない」というHonda熊本の伝統は、今年も生きている。「次も、初戦のつもりで行きます」という藤野主将の言葉も力強かった。