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第82回 都市対抗野球大会 Honda 熊本硬式野球部

2回戦

第82回都市対抗野球大会

10月28日(金) 14:30
試合会場:京セラドーム大阪

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda熊本硬式野球部 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
住友金属鹿島 0 1 1 0 0 0 0 0 × 2
バッテリー Honda熊本 住友金属鹿島(鹿嶋市)
投手:幸松-荒西-山中

二塁打
三塁打
本塁打

Honda熊本9回追い上げ食い下がったが、あと1点が届かず無念

 Honda熊本の先発は補強選手の幸松。二回裏相手の四番にホームランを浴び先制を許してしまう。追いつきたい攻撃陣は四回表、畠中の2塁打でノーアウト2塁のチャンスを作るも無得点。0-2のまま試合は後半へ。 6回裏より荒西、八回途中から山中が無失点で抑え味方の反撃を待つ。9回表、畠中のヒットや相手エラーからワンアウト満塁のチャンスで佐久本が四球を選び押し出しで1点を返すが反撃もここまで。1-2で二回戦敗退となった。 皆様のご声援ありがとうございました。

 試合前に、応援団コンクールで前期の部の優秀賞に輝いた住友金属鹿島の表彰が行われた。さすがに、動員も多く盛り上がっていたが、Honda熊本としても負けてはいられない。そんな思いの人たちが多く、一塁側応援スタンドにも集まった。
 そして、その応援を受けてマウンドに送り出されたのは、九州三菱自動車からの補強で加わっている幸松司(敬徳→九州産業大)だった。1回戦では、7回からのリリーフで3イニングを投げて勝利に貢献した右腕だ。実は、昨年は九州三菱で出場し、初戦に住友金属鹿島と対戦して惜敗している。それだけに、幸松としてもリベンジのマウンドになる。
 その時に投げ合った相手が、この日も先発している石田投手である。

 そんな因縁の両投手。まずは、お互いいい感じのスタートで1回を終えた。
 ことに、幸松は、二番、三番打者を連続三振で切って取るなど、完璧の状態で3人でピシャリと抑えた。ところが、「好事魔多し」とでもいおうか、2回、住金鹿島の四番二村に対して、2ストライクと追い込みながら、やや外側高めに入ったストレートを捉えられて、打球はそのままバックスクリーンに入ってしまい、先制ソロを許した。
 さらに、3回にも、先頭の八番岩永に右前打を許すとバントで1死二塁。2死としたものの、二番福盛に右前適時打されて2点目を失った。幸松としては、調子そのものは悪くなかった、というよりもむしろよかっただけに、それが却って「抑えてやろう」という気持ちになったところを打たれてしまった。
 それでも、Honda熊本としては、序盤の失点だから、その後を抑えていけば、反撃の余地はあるという気持ちだった。しかし、石田投手をなかなか攻めきれなかった。重いストレートを打ちあぐんで8回まではわずか3安打しか放てなかった。

 もっとも、その3本はいずれも無死からだった。それだけに、本来のつないで行く野球で、ねちっこく攻めていき、早いイニングで1点を詰めておきたいところでもある。
 ことに悔やまれるのが4回だ。この回、先頭の畠中伸知(鹿児島玉龍→近畿大)右線に二塁打すると、四番熊丸武志(筑陽学園→創価大)にも、あえて送りバントで1死三塁とした。さらに、四球もあって一三塁としたものの、結局、後続が打ち切れなかった。何とか、犠飛が内野ゴロででも1点は欲しかったという場面でもあった。5、6、7回は3人ずつに抑えられて、反撃ムードは停滞していた。

 それでも、投手陣も踏ん張っていた。6回からリリーフした荒西祐大は地元の玉名工から今年入った19歳だが、独特のサイドハンドで好投。キレのいいスライダーとシンカーがよく決まっていた。そして、8回1死からは1回戦で好投した山中浩史(必由館→九州東海大)も継ぎ込んで、住金鹿島の反撃を抑えた。

 そして迎えた9回の攻撃。住金鹿島は、この回から抑えとして大島投手を投入してきたが、石田をもう一つ打ち切れてなかったHonda熊本してみれば、これはラッキーだったかもしれない。その代わり端、先頭の三番・畠中が内野安打で出塁すると、熊丸も失策で出塁して一二塁と、チャンスを貰う。伊藤大輔(福岡大大濠→法大=三菱重工長崎)がしっかり送ると、野口心(創成館=三菱重工長崎)は四球で満塁。一打同点、長打で逆転という場面になった。
 七番・佐久本匠(宜野座)は、フルカウントからファウルで2球粘って、相手投手が投げる球がなくなるくらいに追い込んで、四球を選んで押し出し。ついに1点差とした。
 ここで、九州予選で打率5割の浜本直人(九州学院→亜細亜大)だ。期待は高まったものの、フルカウントから打たされた形になってしまった打球は、三塁ゴロとなり併殺網にかかってしまい、万事休す。あと1本、あと1点及ばなかった。

 最後の場面、浜岡は、「あそこは、見ていく場面ではないですから、積極的に行きながら、何とか食い下がっていこうとしたのですが…」と、悔しがった。
 結果的には、4安打しか放てず、抑え込まれてしまったという印象だ。渡辺正健監督は、「負ける試合というのは、こういう試合になってしまいます。勝負を決められる選手をもっと育てていかなくてはいけません。9回は、せっかく貰ったチャンスでしたから、追いつきたかったんですが、あと1本が出ませんでした。このあたり、攻撃に厚みをつけて、来年に挑みたいと思います」と、再出発を誓った。

 そんな中で、収穫は新人の荒西の好投だった。独特の横手投げのフォームから、キユッと鋭く曲がるものと、スーッと沈むように落ちていく2種類のスライダーが持ち味だ。初の都市対抗のマウンドで、2回1/3で打者9人に投げて、振り逃げを含めて奪三振3。被安打1は素晴らしい。渡辺監督も、「この好投は、来年につながります。バッテリーを中心に、守り抜く形は出来てきた」と、期待を込めている。
 荒西本人も、「マウンドに立つまでは、少しビビっていたところもあったかもしれませんが、(マウンドに登ったら)思い切って投げられたことがよかったと思います。九州には、サイドハンドのいい投手が多くいますが、九州で一番の投手といわれるようになりたいです」と、目標を口にする。
 藤野裕次(福岡工→福岡工大)主将も、「(チームとしての)形は出来てきていると思います。あと1本を出せる勝負強さ。確率を上げていくことです」と、敗戦の中にも確かな手ごたえを感じつつ、先の目標を見据えていた。