Honda SPORTS

第81回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

1回戦

第81回都市対抗野球大会

8月28日(土) 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda硬式野球部 1 2 0 1 0 1 0 0 3 8
JR四国 0 0 0 1 3 0 0 1 0 5
バッテリー Honda JR四国(高松市)
投手:武藤-佐藤

二塁打
三塁打
本塁打

Honda4点リードを追いつかれながらも、9回に突き放し逃げ切る

 初回、2番小板のタイムリーで先制、その後も追加点を奪い、4点差をつけるが5回に同点に追いつかれる。
 同点のまま迎えた最終回、多幡のタイムリーなどで突き放し、8-5で初戦を制した。

 好むと好まざるにかかわらず、前年王者として注目され、マークされる存在となっている今年のHonda。しかも、去年のチームから中軸の長野久義がプロ入りして抜けたことで、打線の構成そのものも大きく変わらざるを得なくなった。予選当初から、安藤強監督は、「今年は一番から三番までが大きく替わりますから、そこが勝負にもなります」という考え方で戦ってきた。

 さらには、チーム編成上にも新旧交代の過渡期にも差し掛かってきており、「選手を育成していかなくてはならないけれども、結果も残していかなくてはいけない」という使命も背負っている。投手陣も、この日先発した武藤祐太(飯能南)、リリーフで踏ん張った佐藤達也(大宮武蔵野→北海道東海大)はいずれも東京ドームの都市対抗本大会初登板だった。さらには、今年は代表枠が一つ増加したことによってJFE東日本も代表となったこともあり、補強選手なしで挑むこととなった。そういうことも含めて、ディフェンデングチャンピオンとしては、期待と不安が入り乱れた初戦だったかもしれない。

 初戦の不安と緊張を払拭するかのように初回、Hondaは四球と盗塁悪送球で無死三塁とすると小板(浦和学院→東洋大)の中前打であっさりと先制する。さらに、2回にも吉岡(花咲徳栄→立正大)、岡野(東農大二→青山学院大)の連打でチャンスを作ると、佐伯(広陵→立正大)のボテボテゴロの間に生還し、スクイズも決めて2点を追加。
 4回にも九番川戸(日大藤沢→日大)のタイムリーで加点し4-0。Hondaとしては願ってもない展開といってもいいくらいだった。しかも、ここまで気負いが心配された先発武藤はパーフェクトに抑えていた。

 ところが、やはりドームの都市対抗は甘くはなかった。
 4回、JR四国の初安打が左翼へのソロホーマーとなる。ここから試合の展開は急変する。さらに5回、1死二塁から下位に3連打を浴びるなどして同点になった。スタンドでは、飯能南監督時代に武藤を育てた北能徳先生(現久喜北陽)が心配そうに見つめていた。「こういう舞台の雰囲気からの緊張感もあるのかもしれませんが、アイツのよさでもある荒々しさがなくなってしまって上手にまとめようとしすぎているんじゃないでしょうか。もっと向かっていっていいと思うのですが」それでも、安藤監督は同点の段階では動かず続投。武藤も、6、7回はしっかりと抑えた。その間に、Hondaは佐伯の犠飛で再びリードを得ていた。このまま逃げ切るというよりも、応援スタンドとしては何とか失点を防いで、こらえているうちに追加点を奪って楽な展開にしていきたいというのが本音だろう。

 しかし8回、JR四国の三番妹尾のタイムリーで再び追いつかれた。8回裏の同点劇は、先行のHondaとしては非常に厭な感じのする追いつかれ方だった。試合の流れとしては決していいものではない。それでも、慌てることもなかった。安藤監督は常々、「野球は7、8、9回です。その3イニングが勝負なんです」と口にしている。
 9回は一番からの好打順。「何かが起きる」と期待させる要素はあった。1死から、小板がその期待に応えて三塁手を強襲する二塁打で出ると、途中から出場していた上田(育英→日大)が追い込まれながらもしぶとく中前へ落としてつないだ。1死一、三塁で主砲西郷(日本学園)。最悪でも外野飛球が期待できる場面だった。西郷の左翼への飛球は十分犠飛となるものだったが、送球を意識しすぎたのか左翼手が落球して得点が入ってさらに一、二塁と好機が続いた。

 続く、多幡(星稜→立教大)が期待に応えて左中間を大きく破る二塁打で二者を返して土壇場で3点差と突き放した。
 その裏、佐藤達が最速149キロのストレートで抑えて、苦しみながらもHondaは初戦突破を果たした。安藤監督は9回の攻撃については、「この回に勝負という気持ちはありました。上田がよくつないでくれました。西郷に関しては何も言わなくてもやってくれると思っていましたが…、向こうも慌てたんでしょう」。さらに、15安打で8点という、いくらかムダ打ちにも見えた攻撃については、「前半中軸が打てませんでしたし、安打の割に点が入っていませんでした。走塁死もいくつかありましたが、リードもあって積極的に走らせました」と述べていた。

 最後にベテランのワザを示した西郷は、「はじめは(通算本塁打の大会記録もあって)少し力が入っていたかもしれません。9回は何とか三塁走者を返そうと思っていました。試合展開としては、追いつかれても逆転されませんでしたから」と冷静だった。
 2回戦へ向けて、整備が整ってきたというところか。