Honda SPORTS

第81回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

2回戦

第81回都市対抗野球大会

9月3日(金) 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京ガス 0 1 0 0 0 0 0 3 0 4
Honda硬式野球部 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2
バッテリー Honda 東京ガス(東京都)
投手:武藤-櫻田-諏訪部

二塁打
三塁打
本塁打

遅かった反撃、9回に追い上げるもあと一歩届かず

 先発武藤、2回表レフト線にポトリと落ちるテキサスヒットで先制を許す。その後好投を続けていたが8回に捕まり、ヒットと死球でワンナウト満塁。代わった櫻田が3番に3点タイムリー三塁打を浴び0-4。Honda攻撃陣は先頭バッターが出塁するものの榎田を崩しきれず。最終回、ディフェンディングチャンピオンの意地を見せ、ツーアウトから上田、小板の連続タイムリーが飛び出すが、追い上げ及ばず2-4で惜敗した。

 今年もHondaはチームスローガンとして「“一”への挑戦」を掲げた。これは、当然昨年に続いての都市対抗制覇「日本一」を意識してのものである。そして、決勝戦までの戦いを見据えた場合、組み合わせが決まった段階で最初のヤマとなるのが2回戦だと思われた。昨年8年ぶりに本大会に復帰して、ベスト8に進出している東京ガスだ。そして、今年はその勢いでさらに上位進出を狙えるだけのチーム力も備わっているという前評判だった。また、8月になってすぐに組まれていた東京ガスとのオープン戦では、お互いが手の内の探り合いというところもあったのだが、3-4でHondaは敗れている。もちろん、オープン戦であり得点結果がそのままチーム力を表すとは限らないものの、東京ガスは手ごわいぞという印象があったことは確かである。
 お互い初戦から約1週間空いて、条件もほぼ同じである。東京ガスは1回戦の応援団コンクールで前期トップ賞を獲得しているだけあって動員力もすごい。Hondaを上回る勢いでスタンドが埋まっていっていた。

 東京ガスはプロからも注目されているこの秋のドラフト候補でもある左腕エース榎田が当然のように先発してきた。もちろん、Hondaもそれを予想して左対策の打線を組んでいる。一番と二番を入れ替え、三番にベテラン開田(柳川→早稲田大)をDHで入れ、二塁には矢尾(福井商→青山学院大)が七番で入った。

 Hondaの先発は、1回戦に引き続き武藤(飯能南)。硬さもあった初戦は中盤に崩れたが、それを反省しての投球である。上々の滑り出しで初回を抑えた。両投手の出来からして、ロースコアの試合になることが予想された。それだけに、先制点が大きくモノを言うだろうと思われたが、2回Hondaにとってはやや不運な形で東京ガスに得点が入った。
 この回、1死二塁から六番村上の一打は打ち取ったかに見えたが、打球はフラフラと左翼線付近に舞い上がった。飛び込んだ吉岡(花咲徳栄→立正大)だったがわずかに届かず二塁走者の生還を許した。
 1点を追いかけるHondaだったが、2回、4回、5回と無死の走者を出しバントできっちりと送りながらも後続が打てず、じりじりする展開となっていった。それでもその間、武藤投手は、4回に無死で安打を許して以降は3人ずつで抑えていた。何とか味方の反撃を期待したいという辛抱の試合となった。

 次の1点がどちらにどういう形で入るのかということで展開は大きく変わると思われたが、その得点が入ったのが東京ガスの方だった。8回1死後、東京ガスの九番水島が安打すると続く濱田に死球を与えてしまった。その後送りバントが内野安打となり1死満塁。ここまでよく投げていた武藤だったがここでマウンドを降りることになった。
 ピンチのマウンドを任されたのは2年目の櫻田(横浜→八戸大)だったが、相手の三番照屋に代わる代打黒田にフルカウントから右中間を破られ、これが走者一掃となった。黒田は左投手に滅法強いということで起用された選手だった。Hondaにとってはあまりにも痛い3点が入ってしまった。満を持して送り込んだ櫻田だったが、相手の勢いを止めきれなかった。

 まさかの4点のビハインドを背負って迎えた9回のHonda。前年王者のプライドに賭けても、このまま完封負けするわけにはいかないところだが、この回先頭の多幡(星稜→立教大)が中前へはじき返す。1死後矢尾も右前打して一、三塁。佐伯(広陵→立正大)は倒れて2死となったが、「とにかく、つなぐことだけを考えていた」という代打上田(育英→日大)は三遊間を破り三塁走者を返し、ベテランの意地を示した。さらに小板(浦和学院→東洋大)も会心の左前打で2点差とする。応援席はこの試合で最高に盛り上がる中で代打岡野(農大二→青山学院大)が告げられる。一発が出れば逆転サヨナラという場面でもある。

 東京ガスもここで美馬をリリーフのマウンドに送ってきた。大応援団の期待を背負った岡野だったが、二塁ゴロに倒れ万事休した。「もちろん、一発逆転を狙っていました。その可能性を期待されての代打だったと思っていましたが、自分自身にもう一つ積極さがありませんでした」と、岡野主将は悔いた。それでも、自分が最後の打者となったことに対しては納得する気持ちもあったという。また、主将としては、武藤をはじめ今大会はドーム初登場となった若い選手が大舞台でそれぞれ力を発揮できたことは喜んでいた。

 最後に追い上げながらもあと一歩届かなかった展開に安藤強監督は、「前半のチャンスにあと一本が出ませんでした。相手の榎田君は右打者に対して外のコントロールと切れがよかったですね。今回は補強なしという体制の中で、総勢30人という中で絶対的なコマの不足は否めませんが、連覇を狙えるということはプレッシャーではなく、自分たちしか味わえないことだという意識で戦ってきました」と、肩に刺繍された都市対抗制覇を示す黒獅子のエンブレムを示してくれた。
 今回、黒獅子旗は手放すことになったが、それを再び取り戻すべく新たなスタートは、この瞬間から始まっているのだ。