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第80回 都市対抗野球大会 Honda 熊本硬式野球部

3回戦

第80回都市対抗野球大会

8月29日(土) 13:40
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
東芝 2 0 4 1 0 0 0 0 0 7
Honda熊本硬式野球部 1 0 0 0 0 2 0 1 0 4
バッテリー Honda熊本 東芝(川崎市)
投手:江波戸-上見-河部-高峰-山中

二塁打
三塁打
本塁打深澤

Honda熊本無念、東芝の一発攻勢に沈む

 初回、先発江波戸が立ち上がりを攻められ2点を失うものの、その裏、4番熊丸のタイムリーで1点を返す。
 3回表、1アウト満塁から登板した二番手上見が満塁ホームランを浴びてしまう。
 キャプテン深澤が気を吐き、6回に執念のタイムリー内野安打、8回にはソロホームランと3点差にまで追い上げるが反撃もここまで。
 4-7で東芝に敗れた。


 6年ぶりの出場ながら、ドームで2勝。「出れば簡単には負けない」という実績を立証してみせ、ベスト8以上の進出を目指したHonda熊本だったが、東芝の初回の2ラン、3回の満塁弾と序盤の一発攻勢に惜しくも沈んだ。改めて、都市対抗本大会での一発の恐ろしさを思い知らされた形となった。

 Honda熊本の先発は開幕戦では先発しながら、2本の本塁打を浴びるなど、やや不本意なままマウンドを降りたエース江波戸秀悟(波崎柳川→中央大)だ。「他の投手がいい結果を出しているだけに、負けたくない」という思いで向かったマウンドだった。しかし、「丁寧にいこうという気持ちだったのですが、全体的に球が高めにいってしまいました。そこを打たれてしまった」と反省するように、もう一つ球筋が思ったように行かなかった。ストライクを取りにいったところを狙われたかのように、初回いきなり中前打されると、1死一塁から相手の三番藤原に右翼へ2ランされてしまった。
 それでも、Honda熊本打線もその裏、2死から深澤圭(山梨学院大付)が内野安打で出塁すると暴投で二塁へ進み、四番熊丸武志(筑陽学園→創価大)が右前打で返し1点差とした。取られたらすぐに取り返すという展開は、Honda熊本としては悪いものではなかった。
 しかし、3回丁寧にいこうとしすぎた江波戸は2四球と安打で1死満塁としてしまう。ここで、さすがに渡辺正健監督は江波戸をあきらめた。左対左ということもあって上見仁志(市立尼崎→国士館大)を投入したが、東芝の五番三澤に満塁本塁打を浴びてしまう。
 本塁打は結果論だが、Honda熊本にとっては痛い一発だったことは間違いない。さらに、三番手河部剛史(福岡工大城東→九州産業大)も4回に1点を失って、6点差となってしまった。

 こういう展開になると、打って返していくしかないというスタイルになってしまうのだが、東芝の磯村投手のスリークォーターからの140km/hのストレートと切れ味のいいスライダーを打ちあぐねていた。
 それでも、6回には意地を見せた。
 一番からの好打順となったこの回、藤野裕次(福岡工→福岡工大)、田村亮(郡山→関西大=JR九州)が連打して一、三塁。深澤の執念の二塁内野安打で1点を返す。さらに、熊丸も当たり損ないながら投手内野安打となり無死満塁。一気に攻略したい場面だった。五番宇多村典明(南陽工→九州国際大=JR九州)の一打は右中間を破るかという当たりだったが、好捕され犠牲飛球となる。結局、この回の反撃はここまで。磯村投手を攻略し切れなかった。
 8回には深澤がベテランの意地で右翼へソロ本塁打を放って気を吐いたが、相手外野手の好プレーもあって反撃は絶たれた。9回は予選の防御率が0.00という東芝の誇る抑えのエース木戸が登場するなど、巧みな継投にかわされた。

 Honda熊本としては、序盤の本塁打による失点が大きすぎたが、6回以降は東芝打線を無安打に抑えていた。それだけに、改めて走者をおいての一発の怖さを思い知らされたともいえよう。
 渡辺監督も、「序盤の失点が痛すぎました。江波戸は最初から変化球が高目に浮いているなと思ったのですが、ウチのエースでもありますから、何とか抑えて欲しかったです」と悔やんだ。それでも、大会を通じては、「選手たちは自分たちの力を出し切ったと思います。確実にチームとしての力はついてきていると感じていますので、ゲームの作り方やコンディション調整などをもっと勉強したいと思います。それでも、この試合でも後半に粘れたのは大きな収穫です」と、チームとしての成長を感じとっていた。
 ただ、都市対抗の歴史の中で初めての、Honda対決を実現させたかったという思いも強かったようだ。その一歩手前での敗退は悔やまれる。

 この大会で抑えとして活躍し、この日も最後に登板して打者5人に対して完全に抑えるなど、最も成長した山中浩史(必由館→九州東海大)は、「自分の力は出し切れました。普通に投げられれば、そうは打たれないという気持ちになれました」と自信をのぞかせた。 
 一方、江波戸は、「もう一度ゼロからのスタートですね。調子が悪いときにどうやって抑えていくのか、そういった部分も含めて、何かが足りないと思いますので、それを探しながら、自分を見つめ直して取り組んでいきたい」と、再スタートを誓っていた。