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第80回 都市対抗野球大会 Honda 熊本硬式野球部

2回戦

第80回都市対抗野球大会

8月26日(水) 15:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda熊本硬式野球部 0 0 0 0 0 3 0 0 2 5
東海理化 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
バッテリー Honda熊本 東海理化(豊川市)
投手:高峰-山中

二塁打
三塁打
本塁打藤野、西川

「打たれる気がしない」山中が好リリーフ、Honda熊本余裕の逆転

 初回、ピッチャー高峰、立ち上がりを攻められ先制を許す。
 その後もランナーを出す苦しい展開が続くが、粘りの投球で追加点を許さない。
 すると6回、主将深澤のツーベースから山内、工藤のタイムリーで逆転。
 9回には藤野、西川の連続ホームランも飛び出し、Honda熊本が5対1で東海理化に快勝した。


 前の試合が延びて試合開始が遅れ、まだ応援団が入りきっていない初回に、二塁打とバント、内野ゴロの間に1点を失ったHonda熊本。その1点をなかなか返せないまま、序盤はいささか苦しい展開となったものの、6回に集中打で逆転に成功。以降はリリーフした山中浩史(必由館→九州東海大)が自信の投球で東海理化打線を抑え込んだ。9回には、まさかの連続本塁打も飛び出して、余裕を持って逃げ切った。終わってみれば、快勝といっていい試合展開だった。

 1点を追うHonda熊本は2~5回まで、毎回先頭打者が出塁し、次打者がきっちりと送りバントを決めて1死二塁という形を作るという自分たちの戦い方をしながらも、あと一本が出ないで歯がゆい展開となっていた。これは、それだけ東海理化の左腕川脇投手が粘りの投球をしていたともいえよう。いずれにしても、Honda熊本としては、必ずしもいい流れではなかったということも確かであった。
 結局、前半は初回に失った1点が重くのしかかったままだった。
 それでも、先発の高峰成範(専大玉名→愛知学院大)も丁寧な投球で試合を作った。5回裏の1死二塁からは、1回戦に続いて下手投げの山中がリリーフしてピシャリと抑えた。Honda熊本としては、これで何とか流れを変えていきたいところだった。

 そんな6回、先頭の三番深澤圭(山梨学院大付)が左翼線へ二塁打を放つ。「クリーンアップであっても、送るべきところではバントです。バントはウチのチームの方針です」と言い切る渡辺正健監督は、四番熊丸武志(筑陽学園→創価大)のときにも、そのこだわりの姿勢を崩さず、迷わずバントのサイン。熊丸もしっかりと送りバントを決めて1死三塁とした。続く宇多村典明(南陽工→九州国際大=JR九州)は四球を選ぶと、六番山内清二朗(東福岡→北九州市立大=熊本ゴールデンラークス)が狙いすましたように初球を叩いて左前へ同点タイムリー。なおも、2死一、二塁から、“意外性のある男”工藤隼人(熊野→東農大)がその本領発揮とばかり、右中間へ三塁打して2者を迎え入れて逆転した。内側を攻められた球だったが、上手にバットに乗せて右中間フェンスを直撃した一打だった。

 このリードで、山中の右腕はますます冴えてきた。低目へスーッと消えていくようなシンカーと、切れ味のいいスライダーに加えて、浮き上がってくるようなストレートが決まって東海理化打線はほとんどバットが合わなかった。ストレートのスピードそのものは130㎞/h前後しか表示されないが、山中自身はこれに自信を持っている。「ボクはストレートが最大の武器だと思っています。打者の手元で、ホップしてくるので自分では、これは変化球だと思っています。今日は、打たれる気がしませんでした」と言い切れるだけの見事な内容だった。4回2/3というロングリリーフとなったが、被安打2、四死球0、で失点は0。打者15人に対して6奪三振は文句のない見事なものだった。
 地面をするような感じで手が出てくるアンダースローは必由館高校2年のときからだというが、この日の活躍で一躍プロのスカウトたちの目にもとまる存在となりそうだ。「こういう大きな舞台で注目されるのは素直に嬉しいです」と、無邪気に喜ぶ入社2年目の好漢である。

 Honda熊本は9回には2死から、藤野裕次(福岡工→福岡工大)、途中から出場して二番に入っていた西川翔大(履正社→国士館大)がいずれも左翼へ連続本塁打してダメを押した。これで、応援席も安心して見ていられる最終回となった。

 前半は得点圏へ走者を進めながらも、なかなか点にならないで焦りも出てくるような辛抱戦だったが、終わってみればHonda熊本らしい試合だったといえよう。渡辺監督も、「序盤は少し厭な展開だったのですが、2点目は何としても阻止しようと思っていました。そういう意味では、高峰もよく辛抱してくれました。あの場面(6回)では、山内がよく打ってくれました。リードした後は、山中は調子がよかったし、安心して見ていらました」と語っていた。「あと一つ勝ってHonda対決ができればと思います」と、準々決勝への思いも述べていた。