Honda SPORTS

第79回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

2回戦

第79回都市対抗野球大会

9月4日(木) 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda硬式野球部
0 0 0 0 2 0 0 1 0 3
JR東日本
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

勢いつけたHonda安藤采配的中、投打が噛み合う


 1回戦の劇的サヨナラ勝ちで勢いに乗るHondaは、そのムードを生かしながら打線を多少組み替えた。サヨナラランニングホームランした吉岡聡(花咲徳栄→立正大)を一番に起用し、七番には3月のスポニチ大会以降不調で苦しんでいた小板佑樹(浦和学院→東洋大)を左投手先発を予測してあえて入れた。それが、見事に当たった形になった。さらには9回には代打で送り出した開田成幸(柳川→早稲田大)のタイムリー打でダメ押し。Hondaとしては理想的な形の試合となった。


 Hondaの先発は関東代表決定戦で好投した角田理生(鎌倉→国際武道大)だったが、巧みな投球術で好投した。社会人野球の投手としては必ずしもスピードがあるというタイプではないが、巧みにコーナーを突き、投球術はさすがと思わせるものがあった。味方打線が初回、2回とバントを送れないで併殺となるという苦しい展開にもかかわらず、辛抱の投球だった。4回にはこの回先頭のJR東日本の一番で角田の大学の後輩でもある川端に出会い頭の一発を浴びてリードを許してしまった。
 よもやの一発だったが、取られたら取り返すのが今季のHondaの持ち味でもある。
 すかさず5回に、2死からこの日久しぶりのスタメンとなった小板が起用に応えて、同点ソロアーチを左翼スタンドに運んでいった。「最初の打席で三振したんですけれど、振れていたので全然気になりませんでした。むしろ気楽に行けた2打席目でした。打った瞬間に入ったと思った会心の本塁打でした。こんな当たりはそうはありません。ベンチに帰ってきたら、完全にいけるというムードに変わっていました」というようにこれで勢いづいた。


 さらに佐伯亮(広陵→立正大)、上田真也(育英→日大)と下位打線が連続安打してチャンスを広げる。ここで一番の吉岡に回る。このとき、安藤監督が三塁コーチャースボックスから歩み寄ってアドバイス。「当たっているんだから、振ればヒットになるから最初から思い切って降っていけ」の指示通り初球を叩いて、逆転の中前打。Hondaにとっては、いい感じの逆転劇となった。
 序盤、辛抱の投球となった角田投手だったが、逆転してからはリズムも快調になり、5回、6回とピシャリと三者凡退。しかも、遊撃手川戸洋平(日大藤沢→日大)、三塁手多幡雄一(星稜→立教大)ら内野の好プレーも相次いだ。投球テンポのよさが、守りにもいいリズムを作っていったという感じだった。角田は、7回2死まで投げ、ここでHondaベンチは予定通り、筑川利希也(東海大相模→東海大)を送り込んだ。筑川は1回戦に引き続いて完璧なリリーフを見せた。とくに、ボールの回転がいいというか、打者の手元でグーンと伸びていく感じで、軸のブレないフォームは完全復活といっていいだろう。この日も、打者7人に対して、三振2つ、内野ゴロ4、外野飛球1という文句のつけようのない内容だった。これで、1回戦から通算6イニング、パーフェクトリリーフが続いている。


 筑川をさらに楽にしたのは8回のダメ押しだった。この回、1死から川戸が右翼線に三塁打を放って、やや打ちあぐんでいた相手の二番手、変則の木城投手をマウンドから引きずりおろした。三番手として登場してきたのはプロも注目する東京ガスからの補強選手の左腕木村投手。四番の長野久義(筑陽学園→日大)は敬遠気味の四球だったが、代打開田がしぶとく食い下がって中前へはじき返して三塁走者を迎え入れた。
 数こそ、JR東日本の大動員応援団にやや劣ったHonda応援席だったが、このときの歓声は間違いなく相手応援団を圧倒していた。


 Honda安藤強監督としては、この日は采配がズバリと的中したといっていいだろう。「今日は、まさに監督冥利に尽きる試合といってもいいくらいです。ここのところ、ずっと当たっていなかった小板がよく打ってくれました。吉岡の一番起用は、前の試合の勢いをそのまま持って行きたかったからですが、いいところで打ってくれました。開田には、いつでもいけるように準備しておけと指示していました。投手もよく投げてくれたと思います」と、まさに監督の采配が当たり、投打の歯車がピッタリとあってきたという感じである。
 これで、Hondaは2年ぶりのベスト8進出となった。