Honda SPORTS

第77回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

準々決勝

第77回都市対抗野球大会

9月3日 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
TDK 2 0 1 1 0 1 0 0 0 5
Honda硬式野球部 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2

勢いのTDK旋風に、Honda打線も封じられ無念
投手陣、微妙な制球の狂いが致命傷に。前半の失点を返しきれず

 無念! 打線ふるわず、ベスト8で幕を閉じる
 TDKの勢い止められず5失点。Honda、打線つながらず沈黙。

 今大会9回目の出場で初勝利をあげたTDKの勢いは、ここまで絶好調だったHonda打線をもってしても止めることが出来なかった。むしろ、Hondaとしては相手の勢いに押されるかのように、負ける試合の最も悪い展開の典型のようになってしまった。

 Hondaの先発は2年目の今年は故障も癒えて予選から好調で、1回戦でも好投している筑川である。大応援団の期待も大きかったが、初回、1死後微妙にコントロールがずれて、2者連続四球を与えてしまう。この時点で何となくリズムが悪いかなという感じもしたのだが、佐伯捕手は筑川自身の調子は決して悪くはなく、球も来ていたので、心配はしなかったということだった。ただ、ここで「思い切って行こう」と声をかけて、TDKの四番佐々木(本荘)を迎えたが、インコースストレートを左中間に運ばれる二塁打で1点を許したのが精神的にはダメージとして残ったようだ。さらに、六番岩下(市立船橋→城西国際大)にも一二塁間を破られて2点目を許してしまった。「勝負を急いだわけではないのですが、やはり微妙にコースが甘かったんでしようか」と佐伯捕手は初回の失点を振り返った。

 今大会好調の強力Honda打線にしてみれば、2点はさほど大きな負担ではないはずだと思われたが、相手の田口投手(東亜学園)の調子は抜群だった。とくに、スライダーのキレはよく、宇田川監督も、「スライダーがいい投手だということはわかっていましたが、こちらの想定以上によかったですね。右打者はスライダー、左打者はストレートに的を絞っていこうと指示したのですが、相手バッテリーに巧みに交わされました」と、完全に兜を脱がざるを得なかった。
 確かに、田口投手の投球のキレ味はよく、福田捕手(桐生一→東洋大)のリードも巧みだったが、それ以上に今大会のTDKの勢いがそのまま試合にも表れたといっていいだろう。とにかく、流れがすべてHondaには逆風、TDKには追い風となっていったように思えるくらいだった。

 3回にも四球の走者を置いて高倉(高槻北→大阪産大=補強・岩手21赤べこ)に左中間二塁打されてさらに追加点を許してしまった。これで、Hondaベンチは筑川をあきらめて、2回戦で最後をぴしゃりと締めた吉原を送り込んで何とか交わした。しかし、予定以上に早すぎる投手交代だったことは確かだ。
 さらに、4回途中からは、満を持してベテラン坂本が今大会初登板のマウンドに向った。坂本も、6回に四球から1点を失ってしまった。その四球もフルカウントから、見逃し三振と思ったスライダーがボールと判定される痛い走者を出してしまった。坂本投手が先頭打者に四球を与えること事態が珍しい。それだけ、試合の流れがよくなかったということがいえるのではないだろうか。

 試合後、宇田川監督もやや肩を落としながら、試合を分析してくれた。
 「相手の勢いを止めきれませんでした。ヒット数はむしろ上回っていながら(Honda9本、TDK7本)、点差が開いたのは、TDKさんは野球をやり、ウチは個人技だけということでしょうね。これまでの2試合もそうでしたけれど、今年は予選から接戦を経験していないんですよ。だから、競り合いになったときにどう戦っていくのかということは課題だとは思っていたのですが、いざ接戦の展開になると試合をしっかりマネジメントできなかったのは、私の責任でもあります。」
 最後は、一生懸命に戦った選手をかばいながらも、「新たな課題が見えましたから、また、練習に励んでチームを作り直します」と、先を見つめていた。
 筑川投手も、「今大会で、まだまだ自分のレベルが社会人野球に達していないことがわかりました。社会人のトップになれることを目標に頑張ります。そのためには、生命線でもあるコントロールをもっと磨くことです」と、さらなるステップアップを約束してくれた。心強いひとことであった。