Honda SPORTS
2回戦
奇しくも昨年の2回戦と同じ顔合わせとなった。
昨年は、坂本の好投で6-0と快勝しているHondaである。雪辱を狙ってくる三菱自動車岡崎に対して、Hondaは相手どころか味方もびっくりという意表をついた2年目の角田を先発マウンドに持ってきた。「角田先発は、今朝決めました。実は、夢を見ましてね、角田が6回までヒット1本しか打たれない好投をする夢でした。それに賭けたんですよ」と、宇田川丈昌監督のヒラメキで送り込んだ先発マウンドだった。
さすがに角田はいささか硬く、立ち上がり、3安打で1点を失った。それでも、その後を何とか抑え、4回2死まで粘りの投球で踏ん張り、以降を田中につないだ。「先頭打者にヒットを打たれても、それ以降打たれないんじゃないかと思ったんですけれど、そうはいきませんでしたね。悪夢にならなくてよかったです」と、試合後の宇田川監督は取材陣を笑わせる余裕もあった。というのも、今井、長尾とかずさマジックからの補強勢が踏ん張って、中盤のリードをしっかりとキープしたからだ。さらに、9回には期待の吉原をマウンドに送り込むことも出来、その吉原は2三振を奪うなど好投したこともあったのだろう。
そして、それ以上に打線が好調で、この日は11安打のうち8本が長打、その半分の4本が本塁打という大爆発で三菱岡崎のリベンジの思いを完全に封じ込めた。前半は内野陣に失策が相次いでやや不安も感じさせたが、投手陣が踏ん張り大崩れはしなかった。
好調打線の火付け役はこの日も主砲金子だった。1-1の同点で迎えた4回、三菱岡崎元木投手(鳴門工)の渾身のストレートを叩くと打球は見えないくらいのスピードで一直線に飛んでいき、外野スタンドも越えて上段の看板を直撃した。推定飛距離140mの超特大本塁打だった。1回戦の2発に続いて、早くも今大会3号である。この好調の原因を聞くと、「明るく、楽しくやっていますから。実は、大会が始まる前に職場の人たちが激励会を催してくれたんです。その場で、『オマエは中途半端なことしても似合わないから、空振りしてもいいから思い切り振ってスカッとさせてくれ』と言われたんですよ。それで、とにかく思い切って振ってスカッとしようと、そういう気持でやるようにしています」と話してくれた。職場仲間の励ましでパワーをもらい、メンタル面にも好影響を与えられて、金子は今、激励してくれた仲間に勇気と爽快感を与え続けているのだ。
そして、金子の一発に引っ張られて、この回、平間も右中間スタンドへ運んで続いた。さらに、7回にも1死二三塁から、かずさマジックからの補強・鬼崎が右翼スタンドへ大会42号となる3ランを放り込んだ。鬼崎は、初回の同点とするタイムリー二塁打に続いてこの日は4打点である。これで試合の方向性はほぼ決したといってもよかったが、好調Honda打線は8回にも岡野勝が2試合連続となるソロホーマーを右翼スタンドへ運んでとどめを刺した。「岡野勝の2試合連続本塁打なんて、私も知りませんよ。見たことありません」と、宇田川監督はまさに嬉しい誤算といった感じだった。
絶好調の打線爆発を援護する応援席はこの日も15,000人を超える大応援団で盛り上げた。ドームでもすっかりおなじみとなった狭山市名物の狭山茶の「茶摘娘」の踊りも初回から登場して選手たちを激励する。5回には相手応援席に岡崎市の岡崎城西高校和太鼓部「彩輝」の勇壮なバチさばきが登場して、一瞬されたものの、Hondaジェットのバルーンなどで吹き飛ばした。そして、バックスクリーンの横まで外野席もいっぱいにした大応援団は最後まで止むことなく声援を送り続けた。
これで、Hondaは3年連続のベスト8進出である。
5人の投手の継投で戦いきった試合だったが、エース筑川、ベテラン坂本を温存して戦えたことは、今後の正念場を見据えて、大いに価値のある継投策だったといっていいだろう。