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| 昨年、(財)国際交通安全学会より同学会設立30周年の記念に、ホンダ安全運転普及本部、鈴鹿モビリティ研究会および全国8カ所のHondaの交通教育センターが、長年の理論と実践を通じた安全運転教育の普及活動および同学会の活動への協力と支援に対し、感謝状を贈られました。(財)国際交通安全学会の越正毅会長に、ホンダ安全運転普及本部と本紙への期待などを語っていただきました。 |
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越正毅 (財)国際交通安全学会会長/東京大学名誉教授 |
いま日本では、警察と道路管理が共同で交通事故が多発する地点としてワースト4000カ所をピックアップして、重点的に対策を講じる事業を実施中です。この4000カ所で生じている年間2万件の人身事故の30%減らしたとしても、全体事故総数の0.6%が減るに過ぎません。死者数の半減には、こうしたワースト箇所以外の、全国無数の地点での散発的、偶発的な事故に対応しなくてはいけないということです。無数の事故を減らすには、やはり道路全体の安全水準を万遍なく上げるとともに、無数のドライバーの質を万遍なく上げることが必要です。そこに教育の重要性があるわけです。
Hondaをはじめ様々なドライバー教育が行われていますが、交通安全教育の課題は、そうした教育に参加してこない、アプローチしてこないいわば潜在的な危険側の人にどのように広げていくのか、たどりついていくのかということです。これは悩ましい問題で、これだという名案はないのですが、安全意識の高い人もそうでない人も分け隔てなくアプローチできるのは、1つには学校があります。免許取得年齢層を対象にした年に1、2回の実践的な教育が確実に実施できると、かなり違ってくると思います。そうした学校の事例や教え方の方法論などがSJ紙にも紹介されていますが、学校という場を生かすための協力、支援といったことで、安全運転普及本部の1つの役割があるように思います。また、Hondaが取り組んでいるクルマを売る段階でのユーザーへの指導とか、教育機会の場を用意していくといったことも、無数のドライバーへの教育のアプローチとして大事な試みです。
教育を考えるには、現場のドライバー教育の実態をもとに、今の教育がどういう効果をあげているのか、より効果をあげるには、何が問題で、何が課題とされているのかを明らかにしなくてはならないわけですが、その点で、これまでにも増して、安全運転普及本部や各地の交通教育センターからの現場に密着したデータや実践現場でしか得られないノウハウなどの情報に対する期待が大きくなると思います。
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