はじめに

安全運転普及への取り組み開始から50年を迎えて

日頃はHondaの安全運転普及活動に多大なるご理解、ご支援を賜り誠にありがとうございます。お陰さまで私どもの活動も今年で50年を迎えることができました。これも、ひとえに多くの方々のお力添えによるものと、改めまして御礼を申し上げます。
Hondaには「人間尊重」と「三つの喜び」(買う喜び、売る喜び、創る喜び)という基本理念があります。この「人間尊重」の考え方は安全な二輪車、四輪車の開発はもとより、お買い上げいただいたお客様に正しい乗り方や安全の知識をお伝えする「人に焦点をあてた」まさに安全運転普及活動の原点といえます。また「三つの喜び」はこの「人間尊重」に基づきHondaの企業活動に関わりを持つすべての方々と喜びを分かち合える信頼関係を築いていきたいという信念を表した言葉です。二輪車や四輪車を使うことでより豊かな生活や移動の喜びを感じていただくために個々を尊重するとともに、信頼関係のもとに私どもは活動を続けてまいりました。
さて、「安全運転普及本部」は、モータリゼーションの高まりによる急激な交通量の拡大に伴い、交通事故が大きな社会問題として取り上げられ、交通戦争という言葉も生まれた1970年に設立されました。
他に例がなく、安全運転教育という考えも一般的でないなか、設立から間もない半年後の翌1971年3月には新聞広告を通じて、「積極安全思想に徹した安全車を提供」、「万全の安全整備」、「安全運転普及活動を推進」を3つの柱とし活動を展開、具現していくことを社会に約束し、体制づくりとともに活動を開始しております。
モビリティ企業の社会的責任として、安全な車を提供することは当然のことながら、安全運転の普及の必要性を強く認識し、すべての発想を交通参加者の目線でとらえ、手渡しの交通安全活動により、私どもの安全思想をハードとソフトの両面で展開していくことは、今も変わらず脈々と受け継がれています。
半世紀前に始まりましたこの活動ですが、めざす先にある「交通事故ゼロ社会の実現」に向けて国内はもとより、アジア地域を中心とした海外においても、ますます重要性が高まっており、急激な時代の変化にも対応する一層の進化が求められます。また、交通安全活動は幼児から高齢者に至る体系化された生涯教育として「Safety for Everyone」のグローバル安全スローガンのもと、すべての交通参加者に向けて、これからも関係団体、関係者の皆様とともに発展させていきたいと考えます。
この度、安全運転普及本部50年の節目として、活動のまとめを発行いたしました。Hondaの活動の振り返りをご覧いただければ幸いです。

本田技研工業株式会社 専務取締役
安全運転普及本部長