アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト支援
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ロボコン経験が、エンジニアとしての自分を大きく成長させてくれたロボコン経験が、エンジニアとしての自分を大きく成長させてくれた

仲間と共にロボットづくりに夢中になった高専時代。
Hondaのエンジニアとなった今振り返る、ロボコンの魅力や学び、当時の苦労とは。現役エンジニアにリアルなロボコン経験談とモノづくりへの想いを聞きました。

profile

全国大会出場も経験全国大会出場も経験

全国大会出場も経験松田高範全国大会出場も経験松田高範

2016年に本田技研工業㈱入社後、当時ホンダエンジニアリング㈱に配属(現在、本田技研工業㈱に合併)。
2010年に北九州工業高専制御情報科に入学し、高専ロボコンの全国大会出場経験を持つ。

学生時代はロボコン一筋!学生時代はロボコン一筋!

学生時代はロボコン一筋!佐藤輝一学生時代はロボコン一筋!佐藤輝一

2020年に本田技研工業㈱入社後、㈱本田技術研究所に配属。
東京工業高専機械工学科へ入学し、高専ロボコンの地区大会ベスト4進出。東京都立大学システムデザイン学部に編入後も、ロボコンへの想いから、ロボコンサークルを立ち上げて学生ロボコンに出場。

「夢はロボコン出場」「高専生らしいことをやりたい」それぞれが歩み始めたロボコンへの道「夢はロボコン出場」「高専生らしいことをやりたい」それぞれが歩み始めたロボコンへの道

「夢はロボコン出場」「高専生らしいことをやりたい」それぞれが歩み始めたロボコンへの道「夢はロボコン出場」「高専生らしいことをやりたい」それぞれが歩み始めたロボコンへの道

佐藤
僕が初めてロボコンを知ったのは、小学生のときにテレビで観た高専ロボコンの大会がきっかけです。「学校の図工の授業とは全然スケールの違うものを作って動かしている! なんて面白いんだろう」と子どもながらに衝撃を受けました。同時に、「自分なら、もっとすごいロボットをつくってやる!」という対抗心を抱いて、ロボコンに出場したい一心で高専に入学したんですよ。
松田
僕は残念ながら、そんなかっこいい理由はないなあ…… (笑)。自分のレベルに適した進学先として高専を選んで、せっかく高専に入ったのだから高専らしいことをしようとロボコン部に飛び込んだんですよ。モノづくりは好きでしたけど、あんなに大変な日々が待っているとは思いませんでしたね。
佐藤
本当ですよね。当時、ロボコンの活動時間を計算してみたんですけど、授業時間よりも多かった。大会出場に向けて年中、仲間とひたすらロボットづくりに励む日々の連続でした。

地味な作業の連続、ロボコン漬けの毎日で身についたのは、モノづくりの基礎とエンジニアとしての姿勢地味な作業の連続、ロボコン漬けの毎日で身についたのは、モノづくりの基礎とエンジニアとしての姿勢

佐藤
ロボコン部に入部したものの、1年生の時はひたすらアルミパイプに穴をあける作業を続けましたね。休みの日も集まってひたらすら穴あけ……体力的にもきつかったですね。
松田
僕らもネジの仕分けからのスタートだった。小さな部品を長さや種類ごとに分ける本当に地味な作業でしたが、ネジ一つに歪みがあってもだめだと学んだ。2年生からはさらに複雑な作業をするんだけど、作業が全然終わらなくて……夜遅い時間までやる日も普通にありましたね。でも、作業時間が短くてもいい成績を出す高専もあったから、作業時間の長さを美談にしてはいけない(笑)。
佐藤
そうですね(笑)。作業は確かに地味だけど、ロボット作りの基礎知識を学べたし、将来エンジニアとして働いていくうえでの地道な作業への耐性を身につけられたと思います。こういう経験を通して、すごいものを作るには泥臭い作業の積み重ねが必要というのを理解しているから、今も多少面白くないと感じる仕事でも前向きに取り組める。これはロボコン活動で身についた意識かもしれないですね。

地味な作業の連続、ロボコン漬けの毎日で身についたのは、モノづくりの基礎とエンジニアとしての姿勢地味な作業の連続、ロボコン漬けの毎日で身についたのは、モノづくりの基礎とエンジニアとしての姿勢

悔しさ、うれしさ…さまざまな想いが交錯した大会出場悔しさ、うれしさ…さまざまな想いが交錯した大会出場

松田
一番思い出に残っているのは、3年生のときに地区大会で敗退したロボット。「これは全国大会に行くだろう」と思えるほどのいい出来だったから、現状のロボットのクオリティに甘んじて精度の向上を怠ってしまったんですよ。「全国大会までに直せばいいや」と。でも地区大会で他高専が同じようなコンセプトでもっと完成度の高いものを出してきて、僕らは敗退。勝ち筋が見えていた分、本当に悔しかった。チームに申し訳なかったし、自分の怠惰を恨みました。未だにその時の放送、僕観れないんですよ。
佐藤
「これはいける!」と思えるロボットができたのが、すごく羨ましい。僕は高専時代、自分が納得できるものが作れなかったから。大会前日のテストランで他高専のロボットを初めて見せられ、「明日の本番、どうすればいいの?」という気持ちで試合に臨んでいました。でも、好成績は望めなくてもこだわりは貫きました。障害物を越えるために有利なタイヤを使わず、敢えて歩行機構を使ったり。他の高専生がそれに注目してくれたときは、めちゃくちゃうれしかったですね。

悔しさ、うれしさ…さまざまな想いが交錯した大会出場悔しさ、うれしさ…さまざまな想いが交錯した大会出場松田さんが北九州工業高専在学中に出場
した2012年の高専ロボコン大会

高専ロボコン2014大会で歩行機構を担当した佐藤さん。

高専ロボコン2014大会で歩行機構を担当した佐藤さん

自作のロボットが会場を沸かせたときの感動は、何にも代えがたいもの自作のロボットが会場を沸かせたときの感動は、何にも代えがたいもの

佐藤
高専ロボコンの魅力は、あんなに費用や人を必要とする大きなプロジェクトに、高専生という若い身でチャレンジできるということ。生活のほぼすべてを費やして情熱を注ぎ、仲間と試行錯誤してつくり上げたロボットが大会に出て、会場を沸き上がらせる……あの瞬間は何にも代えがたいですね。
松田
そう!いいよね、あの瞬間。その瞬間が最高すぎるから、それまでの苦労を忘れちゃうんだよね(笑)。アイデア出しは楽しいけれど、現実には課題がたくさんあってトライ&エラーの繰り返し。大会まで辛い日々が続くので、完成したロボットが大会で良い動きをすると、本当に胸が熱くなる
佐藤
僕は大学でも自分でチームを作り、学生ロボコンに出場したんですけど、ポッと出の初参加のチームが強豪といい勝負ができて、会場が本当に盛り上がった。あのときが、自分のロボコン人生で最高の瞬間だった!
松田
ロボコンをやる人間にとって、見てくれる人の存在は大きいですよね。僕らの頑張りをみんなに見てほしいという気持ちもわくし、次のロボコンに挑戦するための原動力の一つになっていた気がする。

エンジニアとしての基礎を作ってくれたロボコン経験。すべてに全力だったからこそ、見失うものもあったエンジニアとしての基礎を作ってくれたロボコン経験。すべてに全力だったからこそ、見失うものもあった

佐藤
ロボコンを通して一番学んだのは、自分の手で一から作り上げる体験です。企画、設計、加工、組立という制作フロー、そしてそこに携わるメンバーの存在など、モノづくりの裏側にあるものを知っているから、仕事で図面を描くにしても、「こういう風に作ってもらいたい」という自分の想いを現場に配慮しながら表現できている気がします。
松田
確かに、それを学べたことで、エンジニアとしての基礎ができたと思う。定めたゴールを目指してあきらめずに一生懸命、責任感を持って取り組む姿勢は、今、仕事に一番活かされているかもしれない。
佐藤
それから、チームリーダーとして、メンバーの個性や強みを把握して、いかにチームをうまくまわすかも学ぶ所が大きかったですね。悩んでも他のメンバーに相談できるわけでもなく、思えば孤独だったなと思います。
松田
悩んだときは自分一人で抱え込まずに、まわりに相談していいんだよね。それがチームだから。僕もチームの中での自分の価値を見出すことができず、居場所がないと決めつけてモチベーションを自ら下げてしまった時期がありました。学業との両立ができず、ロボコンを去らなければならなくなった。結局、中途半端なままロボコンから離れてしまったことを今でも一番後悔しています。あのときの自分に「誰もお前のことを嫌いになったわけじゃないんだよ」と伝えたい。
佐藤
僕は実際に結構嫌われたんですよ(苦笑)。やはり目標を目指して闘志を燃やしていた分、メンバーに強く言ってしまうこともあった。熱意が空回りしてしまうこともあったけど、まあそれも仕方がなかったのかなと思いますね。

モノづくりの楽しさは変わらない、でも責任の重さは高専時代とは格段に違う今モノづくりの楽しさは変わらない、でも責任の重さは高専時代とは格段に違う今

佐藤
モノづくりの楽しさや達成感は昔から変わらないけど、仕事になった今、責任への意識が変わったと思います。よく知るメンバーと目に見える範囲内で1台のロボットを作る高専時代と違い、今は顔を知らないメンバーも含めて“問題なく使ってもらえるもの”を大量に作る。驚くほどの金額がかかるし、大勢の人が関わるので責任重大。自分のやっていることの重要性を感じますね。
松田
確かに。機械の設計はもちろん、扱い方に関しても使用者への説明責任も作り手には求められる。同じモノづくりでも、責任の重さが高専時代とは格段に違うので、モノづくりに対する意識は変わりましたね。

「自分が作った」と胸を張って言える仕事をして、Hondaと新しい世界を作りたい「自分が作った」と胸を張って言える仕事をして、Hondaと新しい世界を作りたい

松田
まずは、プロジェクトリーダーとして仕事を円滑にまわせるようになるのが目下の目標ですね。そして自分の仕事を通して、世界がより便利に変わっていけばいいなと思っています。自動車メーカーの過渡期ともいわれる時代だけど、だからこそ大逆転できる可能性がある。未来のモビリティづくりに携わり、Hondaが新しい世界を作っている瞬間に立ち会えているのが面白くて仕方ないし、新しい世界をHondaと一緒に作っていきたいですね。
佐藤
僕は、お客様に直接届く製品づくりに携わることが今の夢です。その延長線上で多くの方に「良いものを作ったな」と思ってもらいたいし、自分が携わってできたものが世の中で役に立つ姿を見て、「これは自分が作ったんだぞ」と胸を張って言えるようになりたい
松田
それはそう! 「これは俺の仕事だ」と言いたい。じゃあ、僕もそれでお願いします(笑)。

ロボコン経験に加えて年代が近いお二人。取材中も笑いが絶えない

ロボコンを目指す若きエンジニアへ伝えたい、モノづくりの楽しさと素晴らしいロボットと生み出す喜びロボコンを目指す若きエンジニアへ伝えたい、モノづくりの楽しさと素晴らしいロボットと生み出す喜び

佐藤
ロボコンで経験したモノづくりの楽しさを子ども達に伝えたいと思い、高専ロボコンOBとして小学生ロボコンのお手伝いをさせてもらいました。デジタルツールが浸透してモノづくりに接する機会が減っている今だからこそ、自分で何かを作る楽しさをぜひ知ってもらいたいです。そしてその楽しさを得た先で、僕らの時代では考えられなかった“すごいロボット”が誕生するのを楽しみにしています。
松田
自分のやりたいことを表現できるのが、モノづくりの魅力。そして、自分の想いを形にした結果、誰かを助けることができる。Hondaが掲げる「技術で人を助けたい」という言葉、とても良い言葉だと僕は思います。昔も今もこれからも、そんな人のモノづくりに対する想いはきっと変わらない。自分の情熱を尽くして、「これは自分が作ったんだ!」と人に自慢できるほどの物を作り上げる経験は、社会に出ても役立ちますし、そんな物ができたらぜひ自慢しに来てください!