アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト支援
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参加人数
延べ人数
4,552名
高専生(27チーム)
266名
Honda従業員観戦(家族含む)
323名

「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」、通称“高専ロボコン”は、全国の高専生が毎年異なる競技課題に対し、アイデアを駆使してロボットを製作・競技を通じてその成果を競う。「自らの頭で考え、自分たちの手でロボットを作る」ことを通じて発想する事の大切さやものづくりの素晴らしさを育むコンテストだ。“技術は人のために”という想いをもつHondaは、この大会を通じ次世代を担うエンジニアたちのものづくりへの情熱とチャレンジを応援するため、2002年から審査員の協力等、協賛を続けている。

36回目を迎えた2023年度の競技テーマは「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」。11月26日に両国国技館で行われた全国大会には地区予選を勝ち抜いた全27チームが集結し、知恵と工夫、技術と戦略を駆使して熱戦を繰り広げた。

11月26日に両国国技館で行われた全国大会には地区予選を勝ち抜いた全27チームが集結し、知恵と工夫、技術と戦略を駆使して熱戦を繰り広げた。

今年の競技課題「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」は、角材とロープという2つの「障害物を越える」ことと「フルーツに見立てた、ネットに入ったボールの収穫」という2つのミッションに加え、コースを周回してスタートゾーンまで持ち帰ってくることで高得点になるという、難易度の高いもの。2分30秒という試合時間の中で、技術やアイデアだけでなく作戦面も重要となる競技内容となった。観客席から各チームの応援団が見守る中、各チームが知恵と工夫を凝らした、形やデザインが全く違うロボットが次々に登場しトーナメント方式で勝敗を競った。激戦を勝ち抜き優勝を勝ち取ったのは大阪公立大学工業高等専門学校の「鴉(カラス)」。また、唯一無二のアイデアで見る者に感動を与えたチームに贈られるロボコン大賞は、長岡工業高等専門学校の「ダブルラリアット」が受賞した。

トーナメント方式で1対1の試合が行われる中央のステージは緊張感と熱気にあふれていた。

ロボット本体だけでなく、操縦を行うコントローラーも重要なパーツだ。人間の手とロボットの手が遠隔操作で連動する高度な技術を搭載する等、各チーム多様な工夫を凝らした。

観客席には全国から出場選手の家族や仲間、高専OB・OGなどの応援団が集まり、色とりどりの衣装に身を包んで熱い声援を送った。

Hondaは、ロボットづくりに自由な発想や独創的なアイデア、創意工夫が光るチームに「Honda賞」を贈呈している。今大会でHonda賞を受賞したのは東京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパス(産技高専荒川)のチームだ。

「Fruits full 2(フルーツフルツー)」と名づけられたロボットの車輪はスポークのみ(リムが無い)かつ前後2輪ずつのホイール幅を変えられる構造を採用、角材の段差障害ではホイール幅を広くして安定的に早いスピードで乗越え、もう一つのロープ障害ではホイールの幅を狭めてロープがたるんだ最下部を狙って踏みつけて越えるという、他校のチームとは全く違うアイデアで唯一無二の機構を採用。このことがHonda賞受賞の大きな決め手となった。

ロープ越えに苦戦するチームも多い中、独特のモーションで難なくスムーズにロープを越えていく姿に、観客からは驚きと感動の声があがった。

独創的な足回りがスムーズな動きを可能にしたため、角材とロープの障害を難なくクリア。その後センターエリアに入り、フルーツのもぎ取りに成功。

「Fruits full 2(フルーツフルツー)」と名づけられたロボットは、ホイール部の上に台形のフレームを組み、もぎ取ったフルーツを入れるカゴを配したバランスのいい構造。

Honda賞に選ばれた最大の理由となったホイール部。ロープの直前で車輪間の幅を狭め、垂れ下がった部分を踏みつけて乗り越えるという独創的で効率のいい機構を採用。

制限時間内にスタートエリアに戻り、フルーツをかごに入れると得点が高くなる。見事に成功したため有利に試合を進めていると思われたが…わずかな点差で1回戦敗退となった。

ロボットのパーツはほぼ手作り。
得点よりアイデアを
評価してもらえるのがうれしい。

都立産業技術高等専門学校荒
川キャンパス(産技高専荒川)
チームリーダー
村上雄飛
(むらかみ おと)さん

仲間たち皆の力で初めての全国大会に出場でき、とても嬉しいです。もともと誰も考えつかないようなアイデアを考え、人を驚かせるのが好きで、ロープを踏みつけて越える、という方法は通学中にふと思いついたもの。地方大会の際にはオムニホイールを使っていたんですが、うまくロープを越えられず、全国大会ではメカナムホイールに変更しました。同様に車輪上部の構造も、全国大会に向けてより軽量化と強度を増したものに改良しています。それも、既製品ではサイズや重量に納得できず、ほぼすべてのパーツを3Dプリンターや手作業の加工によって、自分たちで手づくりしました。

高専ロボコンは他の大会と違い、得点や勝ち負けだけでなくアイデアも大切にし、評価してもらえるのが楽しいし、やりがいがあります。実験的なアイデアを成長させ形にし、披露できる場としても貴重だと感じます。将来は高専ロボコンにチャレンジした経験を活かし、自分が作りたいもの、かつ世の中の役に立ち歴史に残るようなものづくりを続けていきたいです。

どのチームも考えつかなかった
独自の課題解決方法を評価
(特別賞審査員 株式会社本田技術研究所 吉池孝英さん)

今回は複数の課題をクリアする必要がある難しい競技でしたが、なかでもロープをどうやって越えるか、が難題でした。各チームが様々なアプローチを見せる中、ロープの一番たるんだ部分を踏みつけて越えるという発想と機構を独自性として評価し、受賞のポイントとしました。また、ロープの一番低いところを探して効率的に越えられるようガイドを設けたり、ホイールの幅を前後で順に狭めて安定性と乗り越えのスピードを両立させるなど、高い完成度を追求する姿勢と多くの工夫が見られたところも評価しました。以上2点が、独創的なアイデアと工夫が光るチームに贈られるHonda賞として相応しいと思い選出いたしました。

今年の課題は段差とロープという2つの障害を越え、コースを1周回った後にお助けアイテムを装着し、それを使ってフルーツを模したボールをもぎ取るという、非常に複雑で難易度の高いものでした。特にロープ越えはとても難しいものでした。この課題をクリアするのに車体ごとロープの下をくぐったり、ロープを車体の中に通してすり抜けたり、車輪を上げ下げするなど、各チームがさまざまな知恵とアイデアを繰り出し、もぎ取り機構とともに非常に高いレベルで実現させていた印象です。

ものづくりの現場では、直接自分でモノをつくって動かした経験が必ず活きてきます。また、本番で確実に成功させるための入念なテストや試行錯誤、そして成功に向けてしっかりと準備をすることが非常に重要です。また、たとえ失敗しても自分たちのやってきたことを信じ、やり抜くことも大切です。

高専ロボコンではそれらをしっかり学ぶことができるため、さまざまなものづくりの現場で活躍できる人材が育つ場でもある、と感じています。今後もぜひ未来のエンジニアを目指す多くの学生さんにロボコンにチャレンジしてもらいたいです。

特別賞審査員
株式会社本田技術研究所 先進技術研究所
フロンティアロボティクス研究ドメイン統括
エグセクティブチーフエンジニア
吉池孝英さん

全国の高専生たちがアイデアと技術、戦略などさまざまな力を競い合い、情熱を
ぶつけ合った2023年の高専ロボコン。
学生たちは決められたルールの中での最良の答えを探し、
「自らの頭で考え、自らの手でロボットを作る」ことの面白さを体験し、
発想することの大切さ、ものづくりの素晴らしさを高い次元で経験したはずだ。
仲間とともに楽しみ、時には苦しみながら夢中になって取り組んだこの経験は、
何物にも代えがたい宝物になるに違いない。

ここで得たすべてを糧として、さらなるチャレンジを続けてほしい。
Hondaはこれからも高専ロボコンを通じて、夢を追い続ける未来のエンジニア
を応援していきます。