役員座談会

お客様に選ばれ続けるために、
Hondaを変える

  • 取締役
    執行役
    企業変革責任者 四竈 真人

  • 取締役
    代表執行役社長
    最高経営責任者 三部 敏宏

  • 取締役
    代表執行役副社長
    企業風土改革担当 貝原 典也

役員座談会

Hondaは今、事業環境の大きな変化に向き合っています。
お客様の価値観、技術、競争環境は、これまでにない速さで変化しています。
こうした厳しい現実を受け止め、Honda自身も変わっていかなければいけません。
Hondaが変わるために、会社の仕組みや仕事の進め方をどう変えていくのか。
代表執行役社長の三部敏宏、企業風土改革を担当する貝原典也、企業変革を担当する四竈真人が、Hondaを変えるために何をすべきかを語りました。

お客様に価値を届け続けるために、
仕事の進め方を見直す

三部:いまHondaが向き合っているのは、一時的な業績の問題だけではありません。私たちを取り巻く事業環境そのものが、大きく変わっています。
各国の政策や規制、地政学的なリスク、競争環境の変化により、従来の前提だけでは事業を進められない場面が増えています。また、自動車産業とIT産業の境界が近づき、ソフトウェアやデータを活用して商品価値を高める動きも加速しています。
その中で、お客様に選ばれ続けるためには、これまでの仕事の進め方や判断の仕方を、いまの環境に合わせて見直す必要があります。
お客様に、より早く、より良い商品・サービスを届け続けるため、仕事の仕方を一から見直し、その結果として、事業の成長や企業価値向上につなげていく。この順番を間違えてはいけないと考えています。

四竈:私が強く感じているのは、スピードの重要性です。お客様が必要とする価値を、いかに速く形にして届けるか。そのためには、開発や業務の進め方、データの活用、部門を越えた連携を変えていかなければなりません。
これまでHondaは、品質や信頼性を支えるために、非常に丁寧なプロセスを築いてきました。それは大切な強みです。ただ、競争環境が大きく変わる中では、そのプロセスを前提にするだけでは十分ではありません。
お客様や社会の変化を捉え、必要な判断を速く行い、現場の実行につなげる。そのための仕組みを整えることが、企業変革の重要な役割です。

貝原:Hondaは創業以来、社会やお客様を見つめ、「こんなものがあれば人の役に立つ」と考え、新しい価値を生み出してきた会社です。
会社が成長する中で、経験や知見が蓄積され、ルールやプロセスも整ってきました。それは、品質や信頼を支える重要な財産ですが、お客様の期待が変化する中では、これまでの仕組みを守ることだけが目的になっていないかを、常に問い直す必要があります。
現場には、お客様の変化や仕事の進め方への違和感を覚えている人がいます。その気づきを言葉にし、議論し、行動につなげる。企業風土改革は、そこから始まると考えています。

Hondaらしさを守るために、
変えるべきものを変える

三部:Hondaには、変えてはならないものがあります。Hondaフィロソフィーをはじめ、人の夢を原動力に挑戦すること。技術とアイデアで人の可能性を広げること。そして、自由な移動の喜びを持続可能な形で提供し続けることです。
これらは、今後も変える必要はありませんが、自由な移動の喜びをお客様に届け続けるための方法は、時代に合わせて変えていく必要があります。
これまでの成功体験やルールは、Hondaにとって大切な財産です。しかし、それが次の成長に向けた変化を妨げるのであれば、見直さなければなりません。お客様の期待を超える商品やサービスを生み出すために、既存の前提にとらわれず、価値を起点に考え直していきます。

貝原:「Hondaらしさ」という言葉には、注意が必要です。過去のやり方やルールそのものをHondaらしさだと捉えてしまうと、変えるべきことまで変えない理由になってしまいます。
本当のHondaらしさは、お客様を見て、より良い価値を届けようとする姿勢です。仲間と本質的に議論し、挑戦し、やり切ることです。
そのためには、異論や違和感を言えることが大切です。「これまでこうしてきたから」ではなく、「いまのお客様にとって本当に意味があるのか」を問い直す。その議論があって初めて、変えるべきものと、残すべきものを見極められるのだと思います。

座談会画像1(貝原 典也)

四竈:企業変革を進める上でも、同じ考え方が必要です。効率化や自動化だけを進めることが目的ではありません。
Hondaには、まず「なぜやるのか」という問いを立て、そこから考え抜く文化があります。
私が企業変革で目指すのは、その議論や創造の時間を削ることではありません。データやデジタル技術を活用し、現場が価値づくりに向き合う時間を生み出すことです。その時間を、お客様にとっての価値を考え抜くことに使う。それが、Hondaらしさを守りながら変わることにつながると考えています。

座談会画像2(四竈 真人)

三部:Hondaには、ワイガヤに代表される自由闊達な議論の文化があります。ワイガヤは、単なる話し合いではありません。高い目標に向かって、異なる考えを持つ人が集まり、本質的に議論する。その中から、一人ではたどり着けない答えを見つける。それが、Hondaの価値創造を支えてきました。
いま必要なのは、その本質を、現在の事業環境に合わせて機能させることです。お客様の期待を超えるために、何を変え、何を磨くのか。そこを一人ひとりが自分の言葉で議論できる会社にしていきたいと考えています。

企業変革は、経営と現場をつなぎ、
価値を届ける仕組みを変える取り組み

四竈:我々が取り組む企業変革は、お客様にどのような価値を届けるのかを起点に、経営、現場、人、データ、業務をつなぎ直す取り組みです。
この企業変革の取り組みでは、目標やロードマップを明確にし、各本部やプロジェクトの取り組みと結びつけます。
現場ではすでに、さまざまな変革プロジェクトが動いていますが、それらのプロジェクトの進捗や成果を見える化し、必要な支援を行います。
また、それぞれの現場だけでは解けない課題もあります。部門を越えた課題、データ基盤、人材やリソースの不足などです。
そうした全社的な構造課題を解き、現場の活動を全社の成果につなげ、経営の意思決定のスピードと質の向上につなげていきます。

三部:経営として企業変革に期待しているのは、意思決定の質とスピードを高めることです。
経営判断には、台数や売上だけでなく、お客様にとっての価値、利益、キャッシュ・フロー、実態データなど、多面的な情報が必要です。必要な情報をタイムリーに確認できれば、経営判断の速さと精度は大きく変わります。
情報が一部の部門に閉じていると、変化への対応が遅れます。必要な人が必要な情報にアクセスし、会社全体の知見として活用できる状態をつくる。それにより、お客様に届く価値を、より速く形にしていきます。
ただ、AIやデータを活用すれば、それだけで会社が変わるわけではありません。何を判断するために使うのか。どのプロセスを変えるのか。人がどこで価値を出すのか。そこまで設計することが大切です。

貝原:データや知見を全社で生かすには、企業風土も変わらなければなりません。組織には役割・責任があります。それは必要なものですが、役割が行き過ぎると、部門が持つ情報や知見まで「自分たちのもの」と捉えてしまうことがあります。
本来、会社の知見はHonda全体で活用すべきものです。ある部門が管理している情報であっても、それをお客様価値の向上にどう生かすかを考える必要があります。
また、過去の知恵を生かすことも重要です。過去の意思決定には、その時代の背景や、先人たちの葛藤があります。そうした知見を共有し、現在の判断に生かすことで、Hondaらしい意思決定につなげることができます。
デジタル化に、Hondaフィロソフィーをどう組み込むか。そこまで考えることが、これからの企業変革には必要だと考えています。

企業風土改革は、
戦略を実行する力そのもの

貝原:企業風土改革は、戦略を実行できるかどうかに関わる重要なテーマです。
どれだけ良い戦略やプロセスをつくっても、人の行動が変わらなければ実行されません。違和感があっても言わない。部門の役割を守ることが優先され、全社の価値につながらない。こうした状態では、お客様に届く価値は生まれにくくなります。
Hondaフィロソフィーには、「自立、平等、信頼」という考え方があります。一人ひとりが自分で考え、立場にかかわらず意見を交わし、信頼を前提に議論する。それを日々の仕事の中でより多く実感できる状態にすることが大切です。
ワイガヤも、突き詰めれば多様な意見を生かす取り組みです。最初から意見が合う必要はありません。異なる見方をぶつけ合いながら、最後にはベクトルを合わせていく。そのプロセスが、新しい価値を生むのだと思います。
そのためには、人と組織のあり方も変える必要があります。部門の境界にとらわれず、必要な人材が必要な場所で力を発揮できるようにする。横連携によってより良い成果を生む行動を後押しする。
マネジメントが、現場の挑戦を支えられるようにする。こうした取り組みを通じて、一人ひとりの行動が変わるところまでつなげていきます。

三部:経営自身も変わらなければなりません。現場の気づきや違和感を、より早く経営の判断につなげる仕組みと風土が必要です。
経営の発信が一方通行にならないよう、問い方や受け止め方も変えていく必要があります。経営が変わらなければ、会社は変わりません。だからこそ、私たち経営陣が先頭に立ち、現場と対話しながら進めます。
変革は、誰かにやらせるものではありません。私たち自身がまず変わり、現場とともに実行していきます。

座談会画像3(三部 敏宏)

四竈:「企業変革」と「企業風土改革」は、別々の活動ではありません。プロセスやデータの流れを変えても、人の行動が変わらなければ定着しません。逆に、挑戦する風土があっても、仕組みがなければ成果にはつながりません。だからこそ、両方を同時に進める必要があります。現場が自分たちで考え、決め、実行し、成果を実感する。その循環ができれば、変革は一過性で終わりません。

小さな実行を積み重ね、
社会から期待される企業へ

四竈:変革を一過性で終わらせないためには、小さくてもよいので、できることを実行し、「何かが変わった」と早く実感できる状態をつくることが大切です。
成功体験を積み重ね、現場が「自分たちで変えた」と感じられる状態を広げていく。その積み重ねが、全社の変化につながっていきます。

貝原:企業風土改革でも、一人ひとりが自分の考えを持つことが出発点です。今の仕事にどのような課題を感じているのか。何をしたら、もっとお客様や社会に価値を届けられるのか。そうした問いを、日々の仕事の中で持ち、周囲と話すことが大切です。
そのためには、言いたいことを言える環境が必要です。互いに気配りや目配りをしながら、率直に議論する。
特にマネジメント層が、現場の声を受け止め、挑戦を支えることが重要です。
一人ひとりの力が重なったとき、Hondaは変わることができます。その力を引き出したいと思っています。

三部:Hondaが目指すのは、変化に追われる会社ではありません。変化を捉え、お客様の期待に応え、さらに期待を超える会社です。

環境や安全への取り組みは、これからも土台として進めていきます。その上で、お客様に「Hondaが欲しい」「Hondaを選びたい」と思っていただくことが大切です。
Hondaに期待されているのは、お客様や社会の期待を超える商品、技術、挑戦を生み出し続けることに加え、収益性を高めることだと考えています。
創業以来、Hondaには、ほかの会社とは違う何かを期待してくださるお客様や社会があります。
その期待に応え、さらに超えていくことが、Hondaらしさです。

市場の声を知ることは大切です。しかし、それをそのまま形にするだけでは、お客様の期待を超えることはできません。その先に何があるのかを考え、お客様がまだ気づいていない価値を提案する。そういう会社であり続けたいと考えています。

変えるべきものを変え、変えてはならない原点を磨く。そして、お客様に選ばれ続ける価値を届けるために、経営、現場、人、データをつなぎ直す。経営が先頭に立ち、現場とともに、実行できるHondaへ変えていきます。

座談会集合写真
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