Aug 3, 2006

2006年グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを訪ねて vol.1

概要篇

今年のテーマは、「Racing for Glory - a Century of Grands Prix」。1906年にフランスのル・マンで、初の国際規格のグランプリ・レースである第1回ACFグランプリ自動車レースが開催されたときから数えて、今年2006年が100年目の節目の年となることから決められたテーマだ。その第1回目のACFグランプリ・レースで優勝したのは、フランスのルノーだったので、今年のイベントのメインスポンサーはルノーが務める。昨年は、Honda F1初優勝40周年ということで、Hondaが日本メーカーとしては初のメインスポンサーを務めた。

毎年最大の話題となるのが、メインスポンサーが製作し、グッドウッドハウス前に展示される、イベントのテーマを象徴するモニュメントだ。今年は、直径50m以上はあろうかという巨大な白色の円形テントで、その下に1906年の第1回ACFグランプリ・レースで優勝した90馬力型ルノーと2005年型のルノーのF1マシンR25が並んでいる。

1993年から数えて、今年で14回目を迎える「Goodwood Festival of Speed 2006」は、とにかく走って、見て、感じて、楽しむイベントとなっている。このスタンスは第1回目から不変だ。マーチ卿を主催者とするこのイベントには、無類のクルマ好きの仲間が集まり、当初はわずか十数台で始まったこのイベントも、現在では参加台数が数百台、観客動員数は十数万人という巨大イベントに成長した。現在世界中で行われているこの種のイベントとしては、最も盛大で有名なもののひとつとなっている。

晴天もあり、降雨もありという、英国で言う「ミックスド・ウエザー」の3日間だったが、入場者はおよそ15万人であったという。

成り立ち篇

グッドウッドという名称は、1948年にこの辺り一帯の領主であったデューク・オブ・リッチモンド(第9代リッチモンド公爵)が、今のイベント会場にあった飛行場を改装し、一周3.2kmの周回コースを持つレーシング・サーキットを開設、グッドウッド・サーキットと命名したことに始まる。飛行場を改装してサーキットにしたものでは英国で最も旧いという。ちなみに、有名なブルックランズ・サーキットは、もともとモータースポーツ用サーキットだったところを飛行場に改装したものだ。

周回コースのグッドウッド・サーキットは、1966年に閉鎖され、以後メーカーや有力チームがレーシング・マシンのテストに使う程度だったが、クルマ好きで知られる現在のアール・オブ・マーチ(マーチ伯爵)が、コースの一部を使ってプライベートなクラシック・カーのイベントを開催した。1993年のことだ。参加車はモーターサイクルを含めて17台だった。このイベントを成功裏に終えたマーチ卿は、本格的なクラシック・イベントへと拡大して開催する計画を立て、世界中のメーカーやクラブ、コレクターなどへ呼びかける。この計画は大当たりで、翌年からは参加申し込みが相次ぎ、主催者は嬉しい悲鳴をあげたという。走行するマシンの多さだけではなく、クルマに関係するメーカーやショップなどの協力を取り付けたことで、イベントは次第に世界的な規模へと成長を遂げることになる。Hondaは、元社長である川本信彦が個人的にマーチ卿と親しかったこともあり、1999年以来、歴代のF1マシンやレーシング・モーターサイクルを、著名なドライバーやライダーと共に参加させている。モータースポーツの本場である英国で開催されるクラシック・イベントに、長年にわたって参加するというのは大変栄誉なことだ。