2019.05.14 update
余剰電力が増えるゴールデンウィーク中、電力の需給調整に貢献!
エネルギーマネジメントシステムを基盤にカーボンフリーの研究所を目指す。
2019年4月28・29日、株式会社本田技術研究所 オートモービルセンター(栃木)は電力会社と連携し、蓄電池の一種である大容量のNAS電池に電力会社の余剰電力を蓄えることで、環境負荷低減にも繋がる電力の需給調整を行いました。従来より同センターはカーボンフリーの研究所を目指しており、蓄電池や複数の発電設備を高効率に制御する、独自開発のエネルギーマネジメントシステムを導入しています。今後も同センターはこのシステムを活用した省エネ、開発プロセスなどの見直しによる使用エネルギーの抜本的な低減、再生可能エネルギーの導入などの取り組みを積極的に進めていきます。
2019年4月28・29日、株式会社本田技術研究所 オートモービルセンター(栃木)は電力会社と連携し、蓄電池の一種である大容量のNAS電池に電力会社の余剰電力を蓄えることで、環境負荷低減にも繋がる電力の需給調整を行いました。従来より同センターはカーボンフリーの研究所を目指しており、蓄電池や複数の発電設備を高効率に制御する、独自開発のエネルギーマネジメントシステムを導入しています。今後も同センターはこのシステムを活用した省エネ、開発プロセスなどの見直しによる使用エネルギーの抜本的な低減、再生可能エネルギーの導入などの取り組みを積極的に進めていきます。
Hondaが世界に送り出す四輪車の研究・開発拠点 オートモービルセンター(栃木)。
Hondaが掲げる「カーボンフリー社会の実現をリード」 するという2030年ビジョン実現のために、四輪車を研究・開発する株式会社本田技術研究所 オートモービルセンター(栃木)もまた、それに対応する商品の開発はもちろん、開発業務自体のカーボンフリーの実現を目指しています。
栃木県芳賀郡にある、同センターの200万㎡を超える広大な敷地内にはオフィス棟や実験棟など100を超える建屋があり、お客さまに喜ばれるクルマをつくるために、最先端設備を駆使した様々な研究が日々行われています。
同センターの環境取り組みを取りまとめる(株)本田技術研究所 環境総合責任者・萩原正道が、その取り組み方針を説明します。
「センター内においての省エネを第一に、クルマの開発現場で行われる設計やテストに関わるプロセスの見直しや研究開発設備の効率化によって、使用するエネルギーの総量を減らす取り組みを続けています。そのうえで再生可能エネルギーなどを利用する発電設備を積極的に導入することで更なるCO2排出量の低減を図り、最終的にはカーボンフリーの研究所を目指したいと考えています」。
社会的環境負荷低減への貢献につながる、大容量蓄電池を活用した電力の需給調整。
このように環境負荷低減に積極的なオートモービルセンター(栃木)は、2019年4月28日・29日に電力会社と連携して実証実験を行いました。同センターが設置している需要家としては日本最大の容量を持つNAS電池と呼ばれる蓄電池を活用して、電力の需給調整に貢献しました。
通常使っている電気は、電力を供給する側と電力を使用する需要側の電力バランスが崩れると、電力系統に支障をきたし停電などのトラブルに陥いるリスクがあります。
これを避ける為に、電力の需給のバランス調整のひとつには、そもそもの発電量を減らす“出力抑制”という措置が取られます。この出力調整を避けるためにも今回の実証では、太陽光発電などで過剰となりやすい昼間の電力を、同センターが所有する大容量蓄電池に蓄える需給調整を電力会社と連携して実施しました。
(株)本田技術研究所 統括機能本部 設備管理室 栃木施設管理ブロック 岸将司指導員がこの実証を受けて以下の様に話しました。
「出力抑制を回避できるこの手法を活用すれば、再生可能エネルギーによる発電の停止を減らすことができます。社会全体でみると、このような再生可能エネルギーを最大活用できる需給調整は、カーボンフリー社会の実現に向けても大きく寄与できるでしょう。多くの企業が休みになり電力需要が低くなるゴールデンウィークに行ったこの取り組みは、再生可能エネルギーの有効活用、カーボンフリー社会の実現という社会的な環境負荷低減への貢献にもつながるため、今後も実施していきたいと考えています」。
高効率でエネルギーマネジメントを行う、独自システム「CEMS」。
この実証実験を行ったオートモービルセンター(栃木) は、自社内でもカーボンフリーの研究所を目指した取り組みを行っています。全量自家消費のためにメガソーラーの設置や、高効率発電を行えるガス式コージェネレーションシステム、廃ガソリンを燃料とする超低公害型VOC発電機という構成の総出力11,000kWを稼働させています。
そして同センターは、これらのエネルギーを統合・制御して効率的に最大限活用するためのマネジメントシステム「CEMS(Community Energy Management System)」を独自開発しました。
この「CEMS」が各発電設備と大容量NAS電池に蓄えた電気、そして電力会社から購入した電気まで、構内すべての電気を一元管理。需要に合わせて最適なエネルギー供給を行っています。
しかもこの「CEMS」は、全建屋の照明や研究設備の電源にいたるまで1万数千ポイントのエネルギー消費を計測。緻密な需給管理と監視を行い、エネルギー使用の無駄に対して様々な改善を行うことで、CO2排出量の低減に大きく貢献しています。
「CEMS」について(株)本田技術研究所オートモービルセンター(栃木)管理室 施設管理ブロック 井坂裕治技術主事は次のように語ります。
「私たちが開発した『CEMS』は、制御できる電気量と精緻な計測において日本一のエネルギーマネジメントシステムと自負しています。この『CEMS』を活用してエネルギー需給を管理・監視し、改善を重ねることは、エネルギー使用量を極限まで減らしCO2排出量の低減させるためにはとても有効な手段です」。
さらに同センターは再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでおり、CO2排出量の低減と将来的なカーボンフリーに向かって水力由来のCO2フリー電力の購入を開始。そして今後は、メガソーラーの増設、食堂で使った食用油を再利用するバイオディーゼル発電機、水素を利用する燃料電池発電設備などの導入も検討中で、CEMSによるエネルギーマネジメントを進化させていきます。
「CEMS」によるエネルギーマネジメントを基盤に、カーボンフリーの研究所の実現へ。
現在CEMSが行っているのは、同センター内でのエネルギーマネジメントです。今回の実証試験で社会的な電力需給調整へ貢献するなど新たな活用の幅も広がる中、一方で今後は近隣にあるHondaの事業所とも連携していきたいと、井坂技術主事は思いを語りました。
「当センターを中心として、他の事業所と連携して送電網を構築した広域連携をしていきたいと考えています。各事業所がそれぞれ電力使用量の管理・監視を行い、例えばそれぞれの場所で電気が足りなくなった時や余った時に、相互に電気を蓄電・融通することが可能になる。そうすれば、今以上にCO2排出量を低減することができるでしょう」。
今後、同センターは既存設備の省エネをさらに強化すると共に、再生可能エネルギーの最大活用に積極的に取り組んでいきます。そこには高効率なエネルギーマネジメントの基盤となるCEMSの存在は欠かせません。さらに開発プロセスの見直しや研究設備の効率化といった抜本的なエネルギー使用量の低減も実践していきます。
電力の需給調整といった実証実験を含めて、同センターは社会的な環境負荷低減に貢献しながらも、カーボンフリーの研究所の実現を目指していきます。
(取材日 2019年4月4日)